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第5話 神様(若者にしか見えない男)の説明

説明を始める神様ですが・・・

 2人が服を何とか着たところで、若者にしか見えない男は、

「私はこの世界を担当する神である」

といって胸をそらしてみたが、


「神様に見えない(ニャ)」

と言い返される。思わずよろけるが、気を取り直し

「君たち2人には、この世界に発生した瘴気と、瘴気によって発生したモンスターを討伐してもらう」

そういうと、目の前に大きなスクリーンを出した。


「これは・・・」

唖然としてそのスクリーンを見るラムシュンドとカート。


「これは、この世界の地図である。今君たちはここにいる」

そう言った直後、地図の一番下あたりが点滅した。ラムシュンドとカートがよく見ると、大陸の下に小さな島のようなものが書いてあり、点滅しているのは島そのものであった。


「南の島は、この世界の人は住んでいない。普段、ここに人が来ることは無い」


「何故かニャ?」

カートが思わず質問した


「この島は、大陸から天気のいい日には見える・・・が、この世界の海にはシーサーペントが住んでいて、この世界の人はシーサーペントをと戦えるだけの戦闘力がない。したがって、沿岸漁業に使う以外は船を持っていないため、この島までくる方法がないのだ」


「空は?」

今度はラムシュンドが質問する。彼の中にある波高の記憶が、飛行機を思い浮かべたのだが、

「この世界には、飛行機や飛行船は存在しない。この世界の人類は、空を飛ぶ方法を知らない。海と違って、モンスターは配置していないいので不可能ではない・・・が・・・」

どうも神様(若者にしか見えない男)の歯切れが悪い。


「どうしたのかニャ」

カートがその様子を察して問いただすと、観念したのか


「実は、瘴気の発生に伴って、ドラゴンが発生してしまっている」

ラムシュンドは波高の、カートは阿久津の記憶からドラゴンという存在を理解すると


「ダメじゃん(ニャ)」

と呆れられる。


「まあ、最後まで聞いてくれ。この地図にある通り、この大陸には7つの国があった。しかし、現在は南にある3ヶ国以外は瘴気に呑まれており、人類、動物の生存は絶望的である。」


「ニャんで南の3ヶ国は無事なのニャ?」

カートは首を捻りながら言った。


「この3ヶ国には、国境に城壁がある。この城壁の存在が瘴気と魔物を食い止めている」

「なら拡大は止められているのですね?」

ラムシュンドがいうと


「いや、この世界の人は、瘴気に触れると動けなくなる。すなわち、この城壁は修復作業が出来ない状態で、放置しておくと、何れ老朽化して崩れるとみている」


「ダメじゃん(ニャ)」

ラムシュンドとカートの声が揃った。


「現在、国境付近の魔物は、レベル5程度であった。そこで、この島にダンジョンを設け、一番下の階である地下5Fに大陸に繋がる転移門を設置して置いた。このダンジョンで実力を上げればレベル10くらいにはなれるようにしてある」


「転移門は何処に繋がっているのか?」

ラムシュンドが真剣になって聞くと、

「各国の王都にある教会に繋がっている。だが、瘴気に占領されている4ヶ国には行くことが出来ない状態なので、今使えるのは南側3ヶ国の王都にある教会になる」


「ひょっとして、あなたの像が祭ってあったりするのかニャ?」

カートが目を細めて神様(若者にしか見えない男)を見ながら言った。

「この世界の神は私なので、教会には私の像はあるぞ・・・」

「守れニャのに?」

カートは目を細めたまま、隣のラムシュンドも呆れ顔である。


「うるさい。信じる者は救われるのだ!」

神様は2人の態度にイライラし始めていた。


「信じるものしか救わない神様なんて・・・ニャ」

「信じるものも救えていない気がしますね」

カートに続いて、ラムシュンドも呆れたままである。


「だから、お前たちをこの世界に連れてきたのだ」

必死に反論する神様(若者にしか見えない男)だったのだが・・・


「なら、神様の力で瘴気を除去すればいいのニャ」

カートに核心を突かれてしまう。彼の今の力では、溢れてしまった瘴気を封印する力はなかったのである。彼は、N2122HDの神が持っていた、瘴気封印装置すら知らなかったのである。


「確か、よその異世界には“瘴気封印装置”があったはずだ(ニャ)」

波高の記憶にも、阿久津の記憶にも存在する装置であったため、2人の声が再び揃ったのであった。


「なにそれ・・・」

思わず神様(若者にしか見えない男)から漏れてしまった言葉・・・。それを聞いたラムシュンドとカートは


「この神様大丈夫か(ニャ)」

再び声を揃えてしまうのであった。


・・・


「とにかく、君たち2人は、瘴気に触れても大丈夫な体になっているから、そのまま魔物を討伐しながら大陸北の瘴気発生個所に行ってこれを沼に放り込んできてほしい」

そう言って神様はブイのようなものを渡した。


「何故か見たような気がする(ニャ)」

再び声を揃えてしまった2人であった。


まぎれもなく、かつて波高が飛行機ごと召喚されてしまった世界(N6276GP)にあったブイだったのである。なので、波高の記憶を持つラムシュンドと、阿久津の記憶を持つカートは知っていたのである。


「沼に放り込んだら、瘴気封印装置を稼働させる必要があるはずだ(ニャ)」


神様(若者にしか見えない男)を見るラムシュンドとカート。神様の顔からは汗らしきものが流れている。本来、神様に汗は無いはずなのだが・・・。


「いや・・・これは自動で発動するはずだから・・・」

適当にごまかそうする神様に


「そんなはずはない(ニャ)!」

と言い切ってしまう2人。


「つまり、この世界にもどこかに瘴気封印装置があるということなのです(ニャ)ね」

何故か、説明している神様より詳しい2人であった。


「とにかく、このダンジョンで力を付けて大陸に渡ってくれ・・・健闘を祈る」

神様(若者にしか見えない男)はそう言うと消えてしまった。


「これは大変だ」

ガックリと肩を落とすラムシュンドに、


「どうも、元の世界にいた記憶の持ち主が、過去に召喚された世界に近い世界らしいニャ。なら、どこかに同じような仕組みがあるのかもしれニャい・・・。そうとでも思わないとやってられニャい・・・」

だんだん声が小さくなっていくカートであった。


(とんでもない神様の世界に来てしまった)

と2人は同じ思いになるのだった。

どういう訳か、神様より詳しい、ラムシェンドとカートなのでした。

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