表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狸戦記(仮) =他の異世界知識が組み込まれた勇者=  作者: OPPA
第3章 セントラル王国編
49/67

第44話 エリア開放検討

いよいよ、レンボ連合国への街道を・・・

「瘴気をかなりの範囲消すことが出来るニャ」

セントの南西部の表示を見たカートが言った。


「そうみたいだ」

ラムシェンドもモニタを見ながら納得している。

(でも、瘴気発生源にブイを入れて、瘴気封印装置を稼働させれば・・・いや、瘴気発生装置で作られた分はたぶん・・・)


「ラムシェンド?」

一人で考え込んでしまったラムシェンドにカートが話掛けた。


「ああ・・すまない。次は。レンボ連合国とセントの街道だったね」

「そうニャ」

ラムシェンドの言葉にカートが答える。


「街を開放しても、街に暮らす人達の生活が成り立たない・・・な」

ラムシェンドは自分に言い聞かせるように言った。フヤ王国とラダフントゥス王国が支援してくれるので、セントの街は大丈夫だろう。だが、この先、瘴気発生装置を破壊しながら街を開放していった場合、深刻な食糧危機になることは間違いなかった。

(ま・・・どれくらい生存しているか次第だけど・・・)

セントのように、多くの人が無事?だった場合、プリフィケーションで復活したあとの生活がある。街の外に出られないので、南の3か国から食料を供給する必要が生じる。


「魔物の肉が食べれればニャ」

そう言いながら、カートはオークの肉を焼き始めていた。何故か、地下5階に休憩所が増設されていたからである。そう、ラムシェンドとカートは、いつの間にか出来ていた、地下5階の休憩室にいたのである。


「プリフィケーション」

ラムシェンドは、カートが焼いていた肉にプリフィケーションを掛けてみたところ、肉そのものが消滅してしまった。


「ラムシェンド!」

突然、目の前の肉がなくなったカートがラムシュンドを睨みながら叫んだ。


「すまない」

ラムシェンドは、肉が消えた事実に驚きながら、カートに謝罪した。

(魔物の肉は無理か・・・)

瘴気に耐性のない、この世界の人に魔物肉を提供することが出来ないことを改めて悟ったラムシェンドであった。


・・・


「セントラル王国の転移門が光っているのニャ」

転移門のところに来たラムシェンドとカートは、セントラル王国への転移門が復活していることを確認した。


「では、セントからレンボ連合国までの街道を復活させよう」

ラムシェンドはそう言うとセントラル王国の転移門に入っていった。

「置いていくニャ」

カートが慌てて後を追った。


「予想通りのところに出たな」

「そうだニャ」

だが、予想していないこともあった。神様の座像(のお腹)から出てきたラムシェンドとカートの目の前には、何故か絨毯がひかれ座像から降りやすいように階段まで設置されており、瘴気発生装置を破壊したときに壊れた部分は、見事に修復されていたのである。見張りと思われる兵士がこの部屋の入り口を守っていた。その兵士にカートが声かけようとすると

「ようこそセントラル王国へ」

と言って駆けだしていってしまった。

(???)

しばらくすると、先ほどの兵士が誰か連れてきた。連れてこられた初老の男は、いかにも高そうな服を着ている。そして、

「ラムシェンド様、カート様、セントラル王国にようこそ。私はセントの大司教をしている セトリア=パロールです」

そう言って、深々と頭を下げたのであった。


・・・


どうやって手配したのか、用意された馬車に乗って城に移動すると、1人の見覚えのある男が出迎えていた。


ラムシェンドとカートが馬車から降りるなり近づいてきて、

「よく来てくれた」

ダルムシュタット=セントラルであった。


「・・・ということは、ダルムシュタット=セントラルが国王陛下なのかニャ?」

ダルムシュタット=セントラルの話を聞いていたラムシェンドとカートであったが、カートが我慢しきれずに言った。


「まあ・・・暫定だがそんなところだ」

ダルムシュタット=セントラルは多少照れたのか、バツが悪そうに言った。


「早速、レンボ連合国への街道を開放しようと思う」

ラムシェンドの言葉に、


「頼む。今は、街道から供給なしではこの街が成り立たない」

ダルムシュタット=セントラルは状況を把握できているらしい。


・・・


翌日、王宮から西門まで馬車で移動した、ラムシェンドとカート、そしてダルムシュタット=セントラルが見送りを証してついてきた。


西門の見張り台から外を見ると、魔物はほとんどいなかった。

「瘴気も少し薄い気がする」

ラムシュンドが呟くと

「そうだニャ、黒い霧が薄く見えるニャ」

カートが言葉を返す。


「ひょっとして、外に出られるのか?」

ダルムシュタット=セントラルが言うと、

「まだ無理!(ニャ)」

ラムシュンドとカートの声が揃った。


カートが、街壁の外に降りて、街道の両脇に壁を作った。高さ3mの壁は街道に沿って、途中曲がりながら、かなり先まで出来ている。門を出てすぐにある、イタシオン王国への街道との分岐は無視した状態で、レンボ連合国務に向かう街道沿いに壁が出来た。

その後、街道の分岐部分で、一旦、道を壁で塞ぎ、閉鎖空間を作る。ここはいままでと同じ方法である。そこまで出来たところで、ラムシュンドが

“プリフィケーション”

を閉鎖された街道内に掛ける。薄くなっていた黒い霧はなくなっていた。

その後、壁の内側にもう1つ壁を作る。内壁無いに瘴気がないことを確認した後、門に向かってラムシュンドが合図を送ると、西門が開かれた。


門からダルムシュタット=セントラルが出てきた。

(お前が先頭で出てきて、何かあったらどうするんだよ!)

ラムシュンドは心の中で叫んだ。

 兵士達が後に続いてきた。

「見事だ!」

ダルムシュタット=セントラルは楽しそうである。


「これでレンボ連合国とも街道で繋がれ、安心が増える・・・だが・・・」

ここでダルムシュタット=セントラルの表情が暗くなった。


「セントの南側は、農業地帯だったのだ。小さな村も点在していたはず・・・何とか南側だけでも復活させたいんだが・・・」

ダルムシュタット=セントラルの声は最後の方はほとんど聞こえないくらい小さくなっていた。


「この街道が出来た後考えよう」

ラムシュンドはそう言うと歩き出した。カートが後を追う。

「開通したら連絡にくるニャ」

カートが振り返って言った。


・・・


「ニャあ。本当に誰も連れてこなくて良かったのかニャ」

歩き始めてからカートがラムシュンドに言った。


「私たちのレベルが上がってきたので、その方が効率いいですよね」

ラムシュンドはそう言うと、壁の外側に向けて

「エリアプリフィケーション」

を発動させた。

かなり広い範囲の瘴気が消えていく。

「もう少しでレベルが上がる・・・そうすれば、ひょっとして・・・」

ラムシュンドは瘴気が消えた空間を見ながら呟いていた。

もし少しでも気に入ってくださったのなら、画面下部より【ブックマーク】と【評価☆☆☆☆☆】をいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ