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狸戦記(仮) =他の異世界知識が組み込まれた勇者=  作者: OPPA
第3章 セントラル王国編
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第29話 北門復活作戦

まずは門の復活から・・・

結局、会議の後は、北門を視察しただけで、用意された宿に入ったラムシュンドとカートは、今後について検討していた。

「今は、フヤ王国が協力してくれている。だが・・・」

「なにか気になるかニャ」

ラムシュンドの不安そうな様子にカートは首を傾げる。


「イジニーの街を開放するまではうまくいくと思う・・・だが、瘴気発生装置を持ってきた男たちが気になる。必ずどこかで戦うことになるだろう」

「確かにニャ」


(瘴気発生装置の存在は、神様からも何も聞いていない。波高と阿久津の記憶にも存在しない。だが、波高と阿久津の記憶にある瘴気封印装置は、何故かこの世界にあった。そして、瘴気発生装置の出す瘴気に反応した・・・。つまり、瘴気発生装置は、波高や阿久津の記憶にある瘴気と根本的には同じもの・・・なのではないか。ラムシュンドは必死に考えていた。狸がすることじゃない・・・全く)


カートは明日に備え、アースウォールの力加減を考えていた。

(きっと最初は半円の壁を作るのかいいだろうニャ)

口髭を触りながら、

(作業スペースを考えると、半径100mといったくらいだろうかニャ)その内側に半径50mくらいの壁を作ってだニャ・・・)


2人は同じ部屋に居ながら、話すこともなく、別々の思考の世界に突入していたのだった。


・・・


「朝だニャ!」

ベッドから跳び起きたカートは、隣のベッドにいたラムシュンドを見る。どうやら、カートの声が目覚ましになったようだ。


「おはよう!」

ラムシュンドが寝ぼけながらもカートに挨拶すると、


「おはようだニャ」

カートは元気120%であった。


「さっさと壁を作るのニャ」


2人が起きて1階に降りると、既に朝食の用意がされていた。護衛騎士の3人は既に食べた後らしい。


「ニャあ。あなた達は、どこまで俺たちを護衛してくれるのニャ?」

元々、彼らの受けた命は、セベビカイまで無事送り届けることだったはずなのである。そして、その目的は既に達成されたのである。にも拘わらず、今日もここでラムシュンドとカートを待っていたのである。


「はい。最初の任務は達成しました。そして、先ほど、新たな命を受けたところです」

護衛騎士の1人が答えた。


「新たな命ですか?」

ラムシュンド、怪訝そうに護衛騎士たちを見る。彼らは、国王直属の騎士なので、ここでは、彼らに命を下すものはいないはずだった。


「アレックス=ヴァーツラフ閣下の命により、北門復活作戦が完了するのを見届け、王都に報告するようにとの命を受けました!」

別の護衛騎士が補足するように答えてくれたのである。

(なるほど・・・そういう事なら解る。今日1日で終わるし・・・ニャ)


・・・


宿からは、馬車に乗せられて北門まで移動する。大した距離ではないので、歩いたほうが楽な気もしたが、護衛が付いた状態で、ゆっくりを北門に移動したのだった。


「じれったいのニャ!」

馬車を降りるなりカートが言った。


「まあ・・そういわずに」

ラムシュンドも多少うんざりしている。


そこに、だが、その雰囲気は一人の男によって破壊される。


「おはようございます。ラムシュンド殿、カート殿」

周囲に緊張感が走った。凍ったような張り詰めた雰囲気になったところで登場したのは、先ほどの声の主、アレックス=ヴァーツラフである。


「司令殿。そんなに硬くならないでください」

ラムシュンドはそう言うのが精一杯だった。


「昨日の会議では、2人が、門の外に出て壁を作ると言われていたが・・・どうやってこの壁を超えるご予定なのか?」

アレックス=ヴァーツラフは真顔で聞いてきた。


実は、ラムシュンドの身体強化を使って、カートを抱えて飛び越えるつもりだったのである。

(説明していなかったからな・・・どうするか)


ラムシェンドは、1秒程度考えた後、

「私がカートを抱えて飛び越えます。その後、壁が出来たら空に向かってファイヤーボールを打ちますので、そうしたら、北門を開けるべく作業を開始してください」

ラムシェンドの答えが予想外だったのか、顔を引き攣らせてながら答えるアレックス=ヴァーツラフであった。


・・・


「では、ちょっと行ってきます」

ラムシェンドはそう言うと、カートの手をもってジャンプした。カートも合わせるようにジャンプした結果、2人はあっけなく3mの壁を飛び越えて外に出てしまったのである。


「ラムシェンド殿、カート殿、大丈夫ですかな~」

北門の内側からアレックス=ヴァーツラフの声がしてきた。


「ニャんの問題もニャいから、ちょっと待っていてニャ」

そう言った直後、気配を感じたラムシェンドとカートは左右に分かれて

移動した。直後に何かが彼らのいた所を通り過ぎ、北門に激突する。


「いきなり、お出迎えらしいニャ」

よく見ると、ゴブリンの群れであった。その数30匹。ラムシェンドはウォレスの剣を取り出し、斬撃を放ちながらゴブリンを倒していく。よく見ると、ゴブリンだけでなく、コボルトはオークに至るまで、こちらに向かって多くの魔物が向かって来ているのが見えたのである。


「カート。先に外側の壁を作れ!」

ラムシェンドに言われ、


「アースウォール!」

昨夜考えていた半径100mの半円状の壁を出現させた。但し、高さは1.5m程度である。壁が出来たのを確認したラムシェンドは、


「プロモーション」

を発動、壁の内側を浄化していく。それでも、壁が出来た時点で、その内側にいた魔物たちを討伐すること約10分。

ゴブリン50匹

コボルト50匹

スライム150匹

オーク10匹

を討伐したのであった。

魔物は、魔石を回収した後、一か所に集めてファイヤーボールで焼却したので、全ての作業が終わるのに1時間を要したのである。


壁の外には、オークが来たりしていたので、近づくものには

「ウインドアロー」

「ファイヤーボール」

で攻撃しながら、壁の高さを3mまでかさ上げ、かつ補強する作業に2時間


少々お疲れのカートに少し休憩させた後、

半径50mの壁を内側に作ったところで、

(戦闘しすぎで、ファイヤーボールを打っても、わからないだろうし・・・)


「もう大丈夫だぞ~。北門を開けてくれ~」

ラムシェンドは門の内側に向かって叫んだのだった。


・・・


ラムシェンドとカートは、南の島で作った干し肉と、宿で貰っておいたパンを食べた後、カートの魔力の回復を兼ねて休憩をとっていた。もちろん、北門を開けるべく、フヤ王国軍が奮闘していたのは言うまでもない・・・。


ラムシェンドは、補強された壁を確認しながら、魔物の侵入がないか確認していた。何せ、この世界の人は瘴気に触れただけで動けなくなくなってしまうのだ。どうしても念入りに確認しないわけにはいかなかった。時たま、魔物が外側の壁を叩いたりしているようだが、特に壊れそうな様子はない。とりあえず、安全は確保できそうであった。


ラムシェンドが叫んでから2時間後、アレックス=ヴァーツラフが北門から現れた。

どうやら、元の北門を使えるように慎重に作業したらしい。北門はすぐに使用可能になっていた。


「人類反撃の一歩だ!」

アレックス=ヴァーツラフはそう叫んで、右手の拳を上げた。背後で、北門の作業をしていたフヤ王国兵が答えるように右手に拳を作ってあげる。中には感動して泣いているものまでいる・・・。余程嬉しかったらしい。


・・・


「今日のお仕事は終わりかニャ?」

宿に戻りたそうなカートをラムシェンドは捕まえて、


「内壁を外壁と同等に補強してからな」

そう言ってカートに作業を再開させるラムシェンドであった。


(いきなり魔物が襲ってくるとは・・・しかし、壁が出来た後は、襲ってこなくなったな・・・何か訳がありそうだ)

今日の出来事を頭の中で整理するラムシェンドであった。

魔物との戦闘が始まりました。でも、この世界の人は魔物を食べれないようです。

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