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第18話 ダンジョン地下4階(その1)

オークの次は・・

2人が階段を降りていくと、そこは、石の壁、天井も床下も石が敷き詰めたように見える。そう・・・地下2階そっくりなダンジョンであった。階段の周りは広場のようになっていて、1ヶ所だけ通路が続いている。2人は広場を見渡したが、何も発見することは出来なかった。


「あれって・・・」

「あれニャ・・・」

2人は通路の入り口、正確には、少し通路に入ったところにいる、体長3mがあると思われる熊のようなものを見ていた。


「あれって、オーガだよニャ」

「オーガらしいな・・・」

ラムシュンド、カートのそれぞれの記憶にある魔物と照合がされていた。そして、2人の結論は、オーガという魔物であったのである。


「熊のような肉らしいニャ」

カートは食べる気になっている。地下3階で、倒したあとにアイテムボックスに収納したものは、消えないことを学習したからである。


(こいつは、オークよりも強そうだ・・・)

ラムシュンドは冷静にオーガを見ていた。


・・・


「ウインドアロー」

「アースウォール」

ラムシュンドは、挨拶がわりに風の矢を放った。直後に、オーガの接近を止めようと、カートが土の壁を作ろうとするが、


「ありゃ、壁が出来ニャい」

正確には、高さ10㎝程度のものが出来ていたのであるが・・・。


「ここに土がないからではないのか?」

ラムシュンドは冷静であった。一方、オーガは、風の矢をまともに受け、多少よろけたが、直ぐに立ち直って、ラムシェンドに突進・・・出来なかった。カードの作った、アースウォールに足を引っかけ、盛大に転んでしまったのである。


それを確認したラムシェンドは

「役には立っているみたいだね」

と言いながら、


「ファイヤーボール」

と火の玉をオーガに向かって放つ。


「ダンジョン内でそれは・・・」

カートが言いかけた時、ファイヤーボールはオーガに当たり炸裂したのである。だが、ラムシェンドとカートのいる場所は、広場のように広くなっていることもあり、通路の直線上からずれれば、爆風を回避できた。それを確認したカートは


「ファイヤーボール」

「ファイヤーボール」

「ファイヤーボール」

立て続けに3発のファイヤーボールを放った後、爆風を避けるために回避・・・。オーガがどうなったのかよく見えないが、ファイヤーボール三連弾はオーガがいると思われるあたりで爆発した。爆風後、


「ウインドアロー」

を放ちながらラムシェンドが覗き込むと、オーガは倒れていた。そこに、更に


ウインドアローが命中した結果・・・。オーガの体は粉々に飛び散ってしまった。

「あ~。熊肉が・・・ニャくなってしまったのニャ」

オーガを倒したことよりも、オーガ肉を回収できなかったことにがっかりするカートであった。


そんなカートを横に見た後、ラムシェンドはオーガのいた所に近づいた。そして、床に落ちている魔石を見つけ


「魔石はあったぞ」

そう言ってカートの方に魔石を投げたのである。


慌てて掴むカート・・・まさに猫の本能がなせる業であった。


通路は途中の分岐もなく、まっすぐ続いている。

「行くぞ!」

ラムシェンドはショートソードを右手に持って歩き出した。


「待ってニャ」

慌てて後を追うカートであった。


・・・


途中3回、左にドックレッグした後、4回目

ドッグレッグが見えてきた。


「少し距離が短いニャ」

直線距離が今までより明らかに短かった。


「曲がった先は何があるのか・・・」

多少、警戒しながら2人は左に曲がると、いきなり石が飛んできた。


慌てて躱す2人。そして石が飛んできた方を見ると・・・


「オーガの群れだニャ」

「そうだな」

だが、よく見ると、横1列に並んだオーガの後ろには、大きなテーブルがあり、剣と思われるものと本があった。


(これは厄介だな・・・ファイヤーボールを使うとテーブルにあるものまでダメージを与えてしまいかねない・・・)

ラムシェンドは


「ウインドアロー」

「ウインドアロー」

「ウインドアロー」

「ウインドアロー」

「ウインドアロー」

立て続けに風の矢を5発放った。オーガが5匹いたからである。先制攻撃のともりだったのだが、身をかがめたオーガは大したダメージが無いようであった。

一方、カートは、オーガの大きさに我を失いそうだった。何せ、3mの巨体が5匹立ち上がって横に並んでいるのである。テーブルの上のことなど忘れて


「ファイヤーボール」

「ファイヤーボール」

「ファイヤーボール」

「ファイヤーボール」

「ファイヤーボール」


と、こちらも5発放ってしまった。思わず何か言おうしたラムシェンドだったが、直後に火の玉がオーガに当たり炸裂する。こちらの方が、オーガには効果的らしい。空間が広かったためか、爆風が2人にむかってくることは無かった。


(手遅れか・・・)

ラムシェンドも諦めたのか、


「ファイヤーボール」

「ファイヤーボール」

「ファイヤーボール」

「ファイヤーボール」

「ファイヤーボール」


をオーガに打ち込んでいく。


・・・


5匹のオーガは、ファイヤーボールが効いたのか、その場に倒れて動かなくなった。

「オーガの丸焼き5匹完成だニャ」


とカートが言った直後、5匹のオーガは消えていった。


「消えるのが早すぎニャ」

オーガの肉を回収できなかったカートが叫ぶ。


「おや?テーブルは無事らしい」

ラムシェンドは最初心配したテーブルと、その上にあるものに被害がないのを確認していたのである。


コンコン

ラムシェンドがテーブル

周辺に張られた結界を軽く叩いてみると、分厚いガラスでも叩いているような音がした。


「こいつ、剣で叩いても壊れニャい」

カートは、ショートソードで結界を叩いてみたが、傷一つつけることが出来なかった。


(おそらく魔法も効かないだろう・・・どうするかな)

ラムシェンドは、周囲を調べ始めた。すると、奥の壁に一か所、明らかに色が違う石がある子に気が付いた。


ラムシェンドはアイテムボックスから小石を出すと、色が違う石に向かって投げた。


「どこでそんなもん拾ったのニャ?」

小石の存在に突っ込みを入れたカートであったが、その答えを聞く前に、結果が弾ける音がしたのである。


ラムシェンドの投げた石は、色の違う石に命中すると、その石は、そのまま奥にずれたのである。その直後、“パン!”と乾いた音が響き、結界が消えたのである。


「普通に押しても良かったのではニャいか?」

ラムシェンドに向かって叫んだカートに、


「なんか嫌な予感がしたんだ・・・」

根拠のないラムシェンドの言葉が響いた。

オーガ肉・・・・

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