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第17話 ダンジョン地下3階(その4)

ほぼ同時に目が覚めた2人は、テーブルに残っていたパンを再び食べたのち、出発することにした。


「持っていくニャ」

カートはそういって、残っていたパンをアイテムボックスに収納した。


「そんなにあっても食べきれない気がする・・・」

ラムシュンドが呟いた。


・・・


「まずは、オークを解体するのニャ」

時々現れるコボルトをショートソードで薙ぎ払いながら草原を進んでいく。この2人には、コボルトはどうでもいい雑魚モンスター扱いである。


(美味しくないからニャ)

ゴブリンほど酷くはないが、オークがあるならば、決して必要ない肉でしかないコボルトは放置である。ラムシュンドが歩いてきた方を振り返ると、倒したはずのコボルトは消えていた。


(そういえば・・・ダンジョンの中は、魔石以外は消えるはずだったのでは?)

どういうう訳か、カートのアイテムボックスには、地下3階の森で倒したオークが入っていたのである。冷静に考えれば可笑しなことであった。


(ひょっとして・・・)

ラムシュンドは、襲ってきた3匹のコボルトをショートソードの一撃で倒すと、すぐに、1匹をアイテムボックスに収納した。


「コボルトは美味しくニャいから要らニャい」

カートがその様子を見て言うが、


「ちょっと実験・・・」

ラムシュンドは、そう言うとその場に立ち止まった。

しばらくすると、アイテムボックスに収納しなかったコボルトは、魔石を残して消えた。

「予想通りだな」

そして、先ほど収納したコボルトを取り出す。


そして、2匹が消えたあたりに置いてしばらく様子を見る・・・。ラムシュンドが2匹のコボルトを対して消える時間の倍以上待ってもアイテムボックスに収納したコボルトは消えなかった。

(やっぱり・・・)

カートも、何時までも消えないコボルトを見て、ようやく気が付いた。


「もしかして、アイテムボックスに収納したものだけが消えニャい?」

カートは、地下1階でスライムが消えたことをやっと思い出したのであった。


「このダンジョンでは、倒した魔物は魔石を残して消える・・・が、アイテムボックスに収納した場合には消えない・・・ということらしい」


カートは慌てて、アイテムボックスに収納したオークを確認する。

「オークも消えてニャい」


((あの神様が作った世界だから・・・))

2人は妙に納得して、川に向かったのであった。


・・・


(やっぱり・・・)

ラムシュンドは、自分の予想が当たっていたことを確信した。川の対岸は、昨日、消失したはずだったが完全に元に戻っていたのである。そして、ラムシュンドが作った道・・・最大パワーで放ったウインドアローによって出来た道も消えていたのである。


「森が復活しているニャ」

「昨日作った道も消えているな」

驚くカートと、何となく納得しているラムシュンド。対岸にはオークがいるのが見えたが、川の対岸にいるせいか、こちらに向かってくる気配はない。


「オークの集落も復活しているのかニャ?」

「多分な・・・」


「昨日の努力は何だったのニャ!」

カートはこの理不尽さに怒っていた。

それを横で見ながら、


「レベルアップにはなったみたいだし・・・」

ラムシュンドは冷静であった。


・・・


カートが川の傍で始めたオークの解体は問題なく進んだ。対岸にいるオークが、川のする傍まで来たりしたが、川を渡って襲ってくることは無かった。


(このダンジョンにいるオークは、移動範囲が川までなのだろう・・・)

その様子を観察しながらラムシュンドは思っていた。


「これで、豚肉のストックは十分ニャ」

大量のオークを解体した結果、カートのアイテムボックスには、大量の豚肉(オーク肉)が収納されたのであった。


「試しに・・・」

ラムシェンドが解体で出た残骸を摘まんで、対岸

森に放り投げる・・・。しばらく様子見ていたが、オーク

残骸はそのままであった。

(どうやら、一度アイテムボックスに収納したものは、ダンジョンに吸収されないらしい)


それを見ていたカートは

「残骸は焼却処分だニャ」

と言って、解体の結果発生した残骸の山に向かって


「ファイヤーボール」

を放った。オークの残骸は、キャンプファイヤーのごとく、大きな炎となって燃え始めた。


・・・


その後、草原をひたすら探索していくと、光る石の塊を見つけた。

(あれは・・・)

2人が近づいて見ると、それは見覚えのある若者の像であった。


「ウインドアロー」

ラムシュンドは、光る像に向かって風の矢を放った。なんとなくムカついたのである。だが、命中したと思われたとき、光る像は消え、代わりに、下に降りる階段が現れたのである。

「こいつを倒すと下に行けるのかニャ?」

カートが思わず呟く。


「んな訳ないだろうが!いきなり攻撃するな!」

どこからともなく声がした・・・そう2人に聞き覚えのある声・・・神様(若者にしか見えない男)の声であった。

やっとダンジョン地下4階に行ける・・・。

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