第13話 ダンジョン地下2階(その3)
今日は短いです
「扉が開くような音がしなかったか?」
「したニャ」
スライムのいた部屋を調べていてラムシュンドとカートは、どこかで扉が開くような音を聞いたのである。
「考えられるのは1つしかニャい」
「そうだな」
結局、スライムのいた部屋では何も見つけることが出来なかった2人は、この階に入って最初に見つけた“開かずの扉”に移動した。
・・・
「開いてるニャ」
「開いてるな」
どうやっても開くような気配すらなかった扉が、何故か開いていた。
(スライムを倒すと開く仕組みだったのかも・・・)
ラムシュンドは扉の開いていた理由を考えながら、中に入っていった。
「地下3階への階段ニャ」
2人が階段を覗き込むと、階段の先に灯りが見えた。
「とりあえず行ってみよう」
そう言うと、ラムシュンドは、階段を降りていく。
「なんじゃこりゃ~」
「ニャんじゃこりゃ」
降りた先には、広大な森が広がっていたのである。
「ニャんか腹減ったにゃ」
「確かに」
2人は一度地下2階の休憩室に戻ることにした。
・・・
戻ってきた2人は、早速、フードカードリッジを自動調理器に入れ、食事を作っていた。
ラムシュンドにはステーキのような何か、カートには魚の煮物ような何かが出てきたのである。
「今日は、ここで休んで、明日は地下3階に行こう」
「それがいいのニャ」
2人は疲れていたのか、食事後、すぐにベッドに入っていった。
・・・
起床後、食事を食べた2人は水筒に水を入れていく。ここなら、水が簡単に確保できるので、補充できるだけしておくことにしたのだ。
「ひょっとして」
カートが、自動調理器にフードカードリッジを入れる。
「さっき食べたばかりだろう・・・」
ラムシュンドが呆れ気味に言うが・・・。
2分後、出来上がったものは、おにぎり3個に何かの肉の塊・・・揚げてあるような感じに見える。であった。
「弁当が出来たニャ。」
カートはドヤ顔でアイテムボックスに仕舞う。
(なるほど・・・上手い方法だ)
ラムシュンドも同じようにフードカードリッジを自動調理器に入れると、2分後に、そっくりなもの・・・おにぎり3個と肉の塊が出てきたのである。
「自動調理器とフードカードリッジごと持っていけばいいのニャ」
そう言うと、カートは自動調理器をアイテムボックスに入れようとしたが・・・。どうやっても移動させることが出来なかったのである。どうやら、動かすことは出来ないらしい。
自動調理器が持ち出せない以上、フードカードリッジだけ持って行って意味がなさそうだった。というのも、自動調理器に入れる前のフードカードリッジはただの箱でしかなく、何故か開けることが出来なかったのである。
「残念ニャ」
同様に、ベッドやテーブルなども、動かすことが出来なかった。コップなどは収納できるかと思ったが・・・。アイテムボックスに入れようとしても何故か入らなかった。因みに、さっきのおにぎり3個と肉の塊は問題なく収納できたのである。水筒に入れた水も問題なく収納できた。
「かくなる上は・・・」
カートがフードカードリッジを自動調理器に入れてスタートさせてみるが、何故か動き出さない。
「おかしいニャ」
カートが首を捻ったとのとき、自動調理器の扉に表示が現れた
“食べすぎはいけません”
まさかの調理拒否であった。
「そんニャあ~」
カートの発した絶望の声が休憩室に響いた。
・・・
結局、弁当1食と水筒の水を補充しただけで地下3階を目指すことになった。
「干し肉と魚があるから大丈夫だろう」
ラムシュンドは言うが、
「自動調理器の飯は美味かったのニャ・・・」
明らかに落ち込んでいるカートであった。
そんなカートをゴブリンが襲ってきたが、憂さ晴らしとばかりにカートはショートソードでゴブリンを倒していった。
(食べものの恨みが怖いねえ)
カートの様子を眺めながらラムシュンドはゴブリンを叩いていた。
・・・
「昨日と変わらないな」
「そうニャ」
地下3階は昨日と同じく、森が広がっていた。
・・・
そんな2人の背中を眺める1人(?)の若者・・・
「まったく、親切で用意した休憩室を何だと思っているのか・・・」
彼の呟きは2人には聞こえなかった。
アイテムボックスがあるのだから、休憩室のものを持ち歩ければ快適・・・だったんですが・・・。そんなお話があったような気が・・・。