表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/67

第12話 ダンジョン地下2階(その2)

ラムシュンドが右手を壁に沿わせながら進んで行く。カートはその後をついていく・・・しばらくすると、開かずの扉との分岐についた。ラムシュンドとカートは元来た方向に戻っていく、結局、休憩室の前まで戻ってきた。


「続けるよ」

ラムシュンドはそう言うと右手を壁に沿わせたまま進んでいく。休憩室から見ると、直進した方向に進んで行く。カートは何かの気配を左右から感じていた。

(ニャんか居そうだニャ)

左右の別れ道を右に向かって2回ドックレッグ(90°変針)した先には、

「いましたね」

「いたのニャ」

明らかに大きなゴブリン・・・体長3mくらいだろうか・・・巨大ゴブリンである。但し、特に装備はなく、ラムシュンドとカートの存在を確認すると、その様子を凝視している。ラムシュンドが床の色が途中で変わっていることに気が付いた。ちょうど、ゴブリンのいる周り・・・といっても半径10mくらいだけ、床が赤くなっている。


「たぶん、あの色が変わっている床の範囲に入ると襲ってくるのだろうな」

「正直、面倒だニャ」


そして、ラムシュンドとカートが、床の色が違う・・・赤い床に入ると、


「グギャー!」

ゴブリンはラムシュンド目掛けて突進してきたのである。


突進してきたゴブリンを右に躱し、ショートソードで切りつける・・・が、体長3mもあるために、腹を切りつけたのみになってしまった。それでもかなりのダメージだったらしい。切りつけられた腹を左手で押さえながら、ゴブリンは、カートに突進した。


「お前ニャんか嫌いニャ」

そう言いながら、左脚にショートソードを切りつけると、見事にゴブリンの左脚は切断された。ゴブリンは左手で腹を押さえたまま、床に転んだ。


転んだところに、ラムシュンドがすかさず襲い掛かる。3mあっても、転んでしまえば、問題ない。ラムシュンドのショートソードがゴブリンの胴体と首を切断した。


・・・


ゴブリンの死体は、しばらくすると、魔石を残して消えていった。それを回収したカートは、

「少し大きいかニャ」

いくらか大きい魔石を、今まで倒してゴブリンの魔石を取り出して比較しながら言った。


「ボスみたいだったが、周囲になにも落ちてないな」

ラムシュンドが呟いた。ボスキャラを倒す=ドロップ品が出る というラムシュンドの予想は外れていた。


「もしかすると、こいつはボスじゃニャいのかも・・・」

カートも周囲を見渡しながら言った。


結局、ゴブリンのいた、赤い床のある部屋には何もなく、ラムシュンドとカートは再び、移動を始めた。今回もラムシュンドが右手を壁に沿わせて・・・。左右に別れた所まで戻り、そのまま進んでいく、左に2回ドックレッグ(90°変針)した先には、

「いましたね」

「いたのニャ」


ここにも、体長3mのゴブリンがいたのである。唯一違うのは、こちらは床の一部、ゴブリンの周辺、半径10mくらいの範囲が青い床であったことくらい。ゴブリンは2人を凝視している。


「ということは・・・」

ラムシュンドが青い床に足を置いたとたん、ゴブリンがラムシュンドに突進してきた。


「同じパターンだニャ」

そう言いながら、カートもショートソードを手に、青い床の上に立つ。


「今度は、もうちょっと・・・」

ラムシュンドは、突進してくるゴブリンを躱すと、右脚にショートソードを切りつけた。腹では致命傷を与えられなかったので、先ほどのカートのように、脚を切って転ばせる気であった。そして、その目論見通り、右脚を切断されたゴブリンが、床に転がったのだった。

「今度は俺がいただきニャ」

そう言うと、カートは転んだゴブリンの首と胴体を切断した。

こちらのゴブリンは、声を出さなかった。


「声を出す暇なく死んだニャ」

妙に納得のカートに、


「たまたまだろう・・・」

ラムシュンドは気にもしなかった。


・・・


しばらくすると、このゴブリンも魔石を残して消えていった。

「さっきとほぼ同じ大きさニャ」

カートは回収しながら言った。


「まあ・・・そんなものじゃないのか」

魔石には、それほど興味のないラムシュンドであった。


「こっちにも何もニャい」

「何もないな」

2人は、ここでもドロップ品を探したが、結局、何もなかった。

(やはり、こいつはボスではないらしい・・・)

ラムシュンドは周囲を見渡しながら思っていた。


青い床のある部屋にも何もないことを確認した2人は、元来た通路を戻っていく結果、また、休憩室の前に戻ってきたのである。


「行くぞ!」

ラムシュンドは、相変わらず右手を壁に沿わせたまま進んでいく。

「待ってニャ」

カートは、後を追うようについていった。


途中、ゴブリンの群れ(5匹)と2回遭遇するも、2人はショートソードで切り倒し、魔石を回収して進んでいく。右にドックレッグした先・・・かなり先には灯りが見えた。


「ニャにかあるニャ」

「たぶんな」

そう言いながら、警戒を解かずに近づくと、行き止まり通路には1冊の本が落ちていた。


2人は本を覗き込むように見ると


“タヌキのための風魔法”


と表紙に書いてあった。


「これはラムシュンド用だニャ」


そう言うと、興味をなくしたのか周囲を散策し始めた。一方、ラムシュンドは、本を手に取って開いてみる。

(やっぱり・・・何が書いてあるのかさっぱり解らない)

ライトの魔法を修得したときのカート様子から想像していたものの、やはり、本の中身は読めない文字が並んでいた。それでも、最後の頁までめくってみると、本は、忽然とラムシュンドの手から消えたのである。


(ということは・・・)


ラムシュンドがステータスを開いてみると


名前 ラムシュンド(Lv.4)

HP 3010/3510

MP 8700/11700

魔法 神聖  :プリフィケーション(Lv.1)

火属性 :ファイヤーボール(Lv.2)

風属性 :ウインドアロー(Lv.1)

スキル なし

称号 タヌキの英雄


(やっぱり・・・)

予想通り、風魔法を修得していたのである。


「上手くいったかニャ?」

カートは確認するように言った。


「ああ、予想通り風魔法を修得していた」

「早速、試し撃ちだニャ」

そういって、カートはやってきた通路を指さした。よく見ると、ゴブリンが5匹こちらに向かって走ってきている。


「丁度いい。ウインドアロー」

ゴブリンの方に右手をかざし、叫んでみたラムシュンドの右手から風の矢ともいうべき、空気の塊(何故かうっすらと矢の形をしているのが見える)がゴブリンめがけて飛んで行く。5匹の丁度真ん中を走っていたゴブリンを直撃した。


「グギャー」

一撃でゴブリンは消し飛んだ。残りの4匹はい立ち止まり、消えた仲間を探すように、顔を左右に振っていたが、その姿が確認できないと判ると、残りの4匹で再びラムシュンドとカートに向かって走ってきた。


ラムシュンドとカートは、ショートソードで2匹ずつゴブリンを倒したのち、


「そいつで、巨大スライムを倒したらいいのニャ」

「そうだな。ウインドアローなら、燃えているスライムに触らなくて済むしな」


2人は巨大スライムのところに移動することにした。


・・・


「よく燃えているニャ」

ラムシュンドとカートが巨大スライムのところに戻ってみると、スライムは先ほどとほとんど変わらずに燃えていた。


「では早速・・・ウインドアロー」

ラムシュンドは、巨大スライムにウインドアローを放った。矢の形をした風の塊は燃えているスライムに直撃する。と同時に火の勢いが一瞬増したかと思うと、巨大スライムがいくらか小さくなった。

(これは、ダメージ受けた分、小さくなったのかも・・・)

ラムシュンドは、ウインドアローを何回か巨大スライムに放った。その度に火の勢いが一瞬高まり、巨大スライムが小さくなっていった。


「巨大スライムが小さくなっていっているニャ」

カートが叫ぶ。よく見ると、ウインドアローを使っていないときでも、段々小さくなってきたのである。

(恐らく、火の力にスライムが対抗できなくなってきたのだろう・・・)

巨大スライムが持っていた回復力とファイヤーボールがもとになった火・・・この力のバランスが崩れたということらしい。


「ファイヤーボール」

カートが巨大スライムに打ち込んだ瞬間。徐々に小さくなっていたスライムの体がはじけ飛んだ。


「倒したニャ」

最後の一撃が効いたと思われるカートはご満悦である。

巨大スライムのいたところを探すと、魔石が落ちていた。


「さっきの大きなゴブリンよりこっちの方が大きいニャ」

風魔法はウインドアローにしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ