第1話 いたずら
新しいお話の始まりです。
なお、このお話は
N6276GP(魔物のいない世界にくらいしたい)
N2122HD(ネオー間違って異世界に送られた猫)
との関連が出てきます。
他の異世界経験の知識を埋め込まれた狸が異世界の勇者として戦うお話です。
第1話 いたずら
「悪酒が・・・」
何やら呟きながら男のようなものが歩いていた。
「おや。これはN6276GPの神ではありませんか」
見るからに若者にしか見えない男が、話しかけた。
呟きながら歩いていた男は、声に気がついて顔を上げるその姿?を確認すると見覚えがあった。
「おお。これは今度新しく世界を持つことなった新人か・・・」
つい先日、N2122HDの神に紹介された新人?であった。
「はい。ようやく世界が無事に出来上がったところです」
若者にしか見えないものは、そう言って胸を張った。
新人の神様であったN2122HDの神での出来事は、この若者にしか見えない男は知らないらしい・・。
(これは、代わりに使えるかもしれん)
「ほう・・・どんな世界にしたのかな」
N6276GPの神である男は、先輩らしく、まるで何かを心配するかのような意味深な様子で若者にしか見えない男に向かって言った。
「はい。大きな大陸を7つの国で治めさせることにしました。」
そういうと、若者にしか見えない男は、突然、何もなかった空間に地図が表示させた。思わずN6276GPの神が覗き込む。そこには、彼の世界のように、海に囲まれた大陸があり、中央に1つと海岸沿いに6つの国が作られていた。どうやら、N6276GPの世界には大陸の名前がなかったのだが、この世界にも大陸の名は無いらしい・・・
「何か、私の世界に似ているね」
N6276GPの神は若者にしか見えない男にいった。
「はい。新人教育のテンプレートを流用しました」
若者にしか見えない男は何の疑問も感じないのか、当たり前のように答えた。
「7つの国がそれぞれ切磋琢磨していく世界にしようと思っています」
続けて説明した若者にしか見えない男をN6276GPは目を細めて見てから、
「争いが起こるぞ」
「はい。それも含めて切磋琢磨です」
そういうと、若者にしか見えない男は破顔した。争いが起こることは何も問題だと思っていないらしい。
(これは使えるかも)
N6276GPの神は心の中でにやけていた。
・・・
「ここですね」
若者にしか見えない男に案内されて、N6276GPの神は。彼の作った世界に来ていた。そこは、大陸の北側中央付近、N6276GPの世界で瘴気の沼があった森に相当する位置であった。
「悪くはないが、地形が平坦過ぎないか?」
N6276GPの神は若者にしか見えない男を見ながら言うと
「はい。山脈とか作ると、人に行き来に支障がでますから・・・山脈が無くても、森があって、沼があって川もありますから・・・」
若者にしか見えない男は特に問題には思っていないらしい。
「山があることによる環境の違いで多様性が出来るのだがね。他の世界を参考にしてみてはいかがかな?」
N6276GPの神は、先輩の指摘として淡々と言った。
(山とかないと、いろいろ仕込めないだろうが・・・)
「そういうものですかね」
「そういうものだよ」
「ちょっと、他の人の世界を見てきます」
「わかった。ここで待っているから、ちょっと行っておいで」
会話が終わると、若者にしか見えない男が、消えていく。
(しめしめ・・・。今がチャンス!)
N6276GPの神は急いて、自分の世界から瘴気の沼を取り寄せ、森の中に埋め込んだ。
「ここにちょっと口をあけておいてだ・・・何か、この穴に生き物が落ちると瘴気が発生するわけだ・・・」
・・・
「困った!!」
若者にしか見えない男は途方に暮れていた。順調に7つの国が発展していく中、大陸に北にある森から瘴気が発生しはじめたのである。彼の作った設定では、瘴気の口は何処にも設けていなかったので、本来であれば発生しないはずのものであった。
そこに1人の男が通りかかった。
「よう!新人、頑張っているか?」
若者にしか見えない男が声のした方を見ると、そこにはN2122HDの神がいた。彼の世界では、未だに”新人の神様”と呼ばれている彼であるが、ようやく後輩が出来たのが嬉しくて、様子を見に来たのだった。
「あっ!N2122HDの神様!」
「実は、設定していなかったはずの瘴気が発生してしまい・・・対処に困っています」
若者にしか見えない男が示すマップを見ると、最初7つあったはずの国の内、南側3ヶ国以外が瘴気に飲み込まれていた。
「これはひどい・・・」
N2122HDの神様は思わず呟いた。
(このままだとこの大陸ごと滅びるな・・・)
「どういう訳か、この大陸の人は、瘴気に触れると動けなくなってしまうのです・・・4ヶ国があっという間に滅びました。どうすればいいのでしょうか」
若者にしか見えない男は泣き出しそうである。文明崩壊させると、神としては失敗として汚点になる。2回、同じ世界で起こすと神様失格になる可能性もある事項であった。
「私の時はこのような瘴気は無かったが、世界の崩壊を防ぐために、瘴気をまん延させる者たちを、異世界から召喚した者に討伐させたな・・・」
決して、間違って猫を召喚してしまったとは言わないN2122HDの神であった。
「でも・・・私には異世界からの召喚をする力はまだありません」
若者にしか見えない男はそう言うと、肩を落とした。
「恐らく、異世界人の魂を移植すれば、何とかなるだろう。神聖魔法の設定をして、そいつに身に着けさせれば・・・神聖魔法を設定できる、強い魂を見つけてくることが必要だな・・・念のため2つ」
N2122HDの神は、そこまで言うと、自分の世界が心配になったのか、消えてしまった。
「神聖魔法の設定ができる強い魂・・・そんなのどこにいるんだよ!」
若者にしか見えない男は、N2122HDの神が消えた所にむかって叫んだ。
・・・
「自分でも連れてくることが出来る強い魂・・・」
若者にしか見えない男は異世界召喚の能力がないため、何等かの原因で死亡した者の魂を回収して、その魂の同意を得ないと連れてくることが出来ない。しかし、安らかに成仏した魂は、いずれも弱く、悪事を働いて殺されたものなどは、神聖魔法の設定が出来るような資質を持っていない・・・。いくら探しても、N2122HDの神が言っていた
神聖魔法を設定できる強い魂
は見つからなかった。
主役の登場がないまま終わってしまいました。次回には登場しますので・・・しばらくお待ちください。
毎朝7時の投降予定です。