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ナンバーズクエスト  作者: 鳴神 春
4/8

瓦解した友情

「ええと、今日はどんなご用件で?」


ニベがシドの淹れてくれたお茶を一口飲んで男子生徒に尋ねた。


「はい、僕は田原たはらと言います。実は悩みがありまして……」


そう言って田原は少し溜めを作って話し始める。

ちなみに余談だが、学生応援部にこの手の「悩みを聞いてほしい」という内容の依頼は結構ある。

解決するしないにしても、話だけでも聞いてもらいたいという生徒も大勢いる。

田原もその1人だろう。


「あれは、一週間くらい前の話です。僕が友達に勧められたゲームをしていた時でした……」


「ちっ、またゲームか……」


田原が回想に入る前に、ミケがボソッと呟く。





「なあ田原、やっぱ面白いだろ?これ」


「ああ、たしかにこれは面白いかもな藤原」


数日前、田原は藤原という友達と勧められたテレビゲームをやっていた。


「だろ?今密かに人気なんだぜ」


「人気だったら密かにならないだろ」


「うーん、そう言われるとこの言葉って間違ってんのかな」


「どうでもいいだろ。次のやつ行こうぜ」


たわいも無い話を電話越しで話していると、突然音声が乱れはじめた。


「あれ、電波、乱れてるか?」


「たしかに、ちょっと聞きづらいな」


雑音が入り、徐々に声が聞こえなくなる。


「おい藤原?藤原⁉︎」


「た…ら……お………い……………」


その後電話は繋がらなくなり、切れてしまった。


「なんなんだ……」


田原が携帯の画面に視線を落とし、電話を再度かけようとするが、繋がることはなかった。

再び視線をテレビに戻すと、ゲームの通信も切れており、画面にはエラーの表示が出ていた。




「………それ以来、僕らの仲にひびが入り、友情が瓦解しました………」


「それぐらいで壊れる友情なら壊れてしまえ!!」


話を全部聞き終わったミケが思わず叫んだ。


「なんだよその話!結局脆い友情話聞かされただけじゃないか!」


「ちょ、ちょっと待って!話はまだあるんです!」


田原が焦って言う。


「僕が頼みたいのはなんで急に電波が乱れたか調べてほしいんです。普段そんなこと絶対ないのに急に電波が乱れるなんて……」


「うーん、たしかにおかしいね……」


ニベが呟く。


「こういうのは適任がいるじゃない?」


ロキがチラッと視線を動かす。


「お、俺ですか……」


シドがおどおどして答える。


「そういうの得意だもんね!シド!」


ニベがニコニコして話す。


「そ、そうなんですか?」


田原は思わず聞いてしまう。


「まぁ……俺の存在理由なんて、それぐらいだし……やらなきゃですよね」


シドがぐーっと背筋を伸ばして呼吸を整える。

ミケがやっていたゲームを閉じ、画面を切り替える。


「えっと、何を……」


「まあ、見てなって。こういう時にこいつがいるんだから」


戸惑う田原にミケが言う。

シドは何やらカタカタパソコンをいじったかと思うと、カターンとエンターキーを叩いた。


「……出たよ。電波の原因」


シドがいつもよりはっきり喋った。

皆シドがいじったパソコンに注目するが。


「んー……全然わかんないよー!」


ニベが思わずお手上げのポーズで叫んだ。

他のメンバーもさっぱりわからなかった。


「原因は、その時間帯に電波の流れがおかしくなる何かがあったからなんだ。現に今までは問題なく通信が出来てたみたいだし」


シドはそう言って、田原に視線で問いかける。


「た、たしかに。おかしくなったのはあの時だけだった気がする」


田原も頷いて答える。


「うん、それで、ここを見てほしいんだけど」


シドがパソコンの画面を指差す。


「ここに電波が集中してるのがわかる?」


シドが指差す先に、赤い何かが動いていた。


「わかるけど、それってなんなんだ?」


ミケがシドに聞く。


「何かはわからないけど、おそらくアマチュア無線を積んだ大型トラックだと思う。あれは家の近くを通るだけで電波を乱れさせるくらい強いから」


シドが淡々と話す。


「なるほどねー、その時間帯にたまたまトラックが通って電波がおかしくなったって訳だね!」


ニベが手を合わせ嬉しそうに喜ぶ。


「そういうことね。じゃあ一件落着って事で、私は奥の部屋にいるから」


そう言ってロキは部室の奥のロキ専用の実験部屋に入って行った。


「ありがとうございます!早速藤原に原因を話してきます!」


田原がお礼を言い、部室を後にし、その日は一件落着で幕を閉じた。





そして後日。


「お、シドじゃねーか。この前はご苦労様だったな」


部室棟の廊下でシドを見つけた一海が声をかけた。


「この前は部活に行けなくて悪かったな。シドが解決してくれたんだろ?」


一海はシドに詫びを入れる。

礼を言われたシドは少し言い淀んでから答え出した。


「ああ、あれは……」


シドは一海に廊下の端に来るよう手招きして、小さな声で話した。


「じ、実はあれ、あの時咄嗟に出た、嘘なんだ……」


「ん?どういうことだ?」


「あ、あの日、俺がネットの情報の収集に夢中になってた、から……だいぶ大がかりなネット環境、作っちゃった」


「お前なぁ……」


一海は思わず呆れてしまった。

ちなみに、田原は無事藤原と仲直りしたとのこと。

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