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冴えない王配に女王陛下の好感度がわかるようになりました  作者: きつねうどん
Ep1 再会の季節
3/47

「その理由を聞かせてくれるよな」

というと彼はもちろんと言った表情で首を縦に振る。


「いろいろ話すことはあるんですが、この国では“魔女”という存在は有名ですか?」

と彼が語りかける。

“魔女”、確かノーザンデリア王国の西部にはクピトの森という所があり、魔女が密かに暮しているという話を聞く、伝承にも町に魔物が現れたとき一人の魔女がそれを倒し、町を救ったという同じような話もたくさんある。


「あぁ、クピトの森や伝承なんかでは、知ってるけどそれと何の関係があるんだ?」

と疑問を投げかける。

「実はこの腕輪はその魔女が作った通常“魔具”と呼ばれる物なんです」

「これが、魔具!?」

そう言われ腕輪の方に目をやる。


「これをもともと作ったのはそのクピトの森で暮らす、大魔女クロエなんです」

「大魔女!?それってすごい魔女なのか?」

「いいえ、本人が言っているだけですよ。僕はポンコツロリ魔女って呼んでます。」

(ポンコツってどのくらいポンコツなんだ…)

と気になってしまったが彼の話に耳を傾ける。


「クロエはもともと召喚魔法を主に使う魔女で、その日も召喚しようとしていたら誤って書き間違いをし、それに僕が巻き込まれたんです。」

「巻き込まれたって何で!?」

「実は、もともと僕はここノーザンデリアの出身ではなくて、もっと別の異世界からクロエの魔法で飛ばされてしまった人間なんです!!」

(なっ、なんだってーーー!!)

あまりのことに頭がついて行けず、何も発することが出来なくなってしまった。

(でも、なんとなくわかる気がする)

名前も変わってるし、この国の君主の名前もわからない。なんとなく合点がいく。


「じゃあ、お前は、もともとここの人間じゃなかったのか!?」

「えぇそうなんです。召喚に巻き込まれて、現実世界からここに飛ばされて、その時に腕輪を付けさせられたんです。この腕輪はもともと召喚獣用の首輪のようなもので言うことを聞かせるために、魔女が命令したことを叶えないと外せない仕組みになっているんです。」

と彼の腕を見ると俺と同じようなものが左腕に付いている。


「おい、それって」

「えぇ、俺もオズモンドさんと同じ腕輪を付けています」

「でも何で同じ腕輪をもっているんだ?」

と聞いてみる。


「実は、ですね…」

というと、彼は自分の荷物をあさりだし1、2、3、4、5と同じ腕輪をだし始める。それを見て俺はビックリしてしまった。

「何でこんなにたくさん?」

「実はですね。僕、この召喚に7回巻き込まれているんですよ」

と少し疲れたような顔をしている。

「7回も!?なんで!?どうして!?」

「巻き込まれたというよりも自分から進んでいっているんですけどね」

とかれは答える。


そのあと、彼はポツリポツリと俺に理解を求めるように話す。

「オズモンドさんは娯楽というか、ゲームはしますか?」

と聞いてくる。俺もチェスやポーカーなどのゲームにはたしなみがある。

「まぁ、そこそこ」

「ゲームっていろんなジャンルがあるじゃないですか?ボードゲームとか、カードゲームとか」

確かにあるがそれと何の関係があるのか。


「それで、僕が今やってるのは“恋愛シュミレーションゲーム”なんですよ」

(“恋愛” “シュミレーション” “ゲーム”!?)

「何で!?というかどこで!?」

こいつ、なにいってんだという感じで問いただす。

「このノーザンデリア王国でですよ!!」

…全然理解できない、なんかもう目も前にいる彼が話を聞く前と別人に見えてしまう。


「大丈夫ですか?オズモンドさん」

「大丈夫じゃない全然頭が追いつかない!!」

腕輪から始まり、魔女、異世界、そしてゲームもう頭がキャパオーバーだ!!


「混乱する気持ちもわかりますが大切なことなので最後まで聴いてください。」

そういう彼の言葉に従い耳を傾ける


「ほら、最初に腕輪を外す条件として“真実の愛”が必要と言ったじゃないですか」

「確かにそう言ったけど、それと何の関係が…」

「だから、女の子と仲良くなって、恋愛をして“真実の愛”を見つけるんですよ!!」

そういう彼に俺は目を見開いた。


「もしかして、お前はその方法で?」

「はい、今までも6回恋愛をして解除してきました!」

その言葉を聞いて俺はあんぐりとしてしまった。

「6回も…」

「はい、6回も、今7回目なんですけど。」

「じゃあ、何だ、お前は魔女。俺は、お前に巻き込まれたのか。」

「はい、そういうことになりますね。」

と申し訳なさそうに彼は言う。

(一発殴りてー!!)


「じゃあ、俺も同じように恋愛をしろと。」

「えぇ、それが一番の近道かと。」

そのあと、頭を抱えてしまった。

「まあまあ、頭を上げてください。僕も悪いと思っていますし、協力しますから!!」

と彼になだめられた。

「でもどうやって?」

と彼に問いかける。


「オズモンドさん、その腕輪に宝石が付いているでしょう、それを押してみてください」

という彼の言葉どうり宝石に触るとスイッチが押せるようになっている。

それをおすと…

「うわっ」

目の前に薄っぺらい板のような物が出てきた。

「何だこれ」

「すごいでしょう。これ、触れるようになっているんですよ。」

と板をなれた手付きで触っている。

(これ、どこかで同じようなものを見た気がする。)

そう、リリアンヌと会話をしている時に出てきたものと一緒だった。

「なあ、カイト、これ同じようなものを前、見たことがあるんだ。」

「えっ、いつですか」

「その女王陛下と話している時に」


「そうなんですか。もしかしてそれって挨拶する時ですか?苗字でとか下の名前で呼んでみるとか?」

それを聞いて先日のことと、合点がいった。

「そうなんだよ。俺は、女王陛下とか、呼び捨てとか、目の前にあって」

というと彼はうなずきこう言った。

「それ初期の会話イベントですね。あぁ、いえ、こっちの話です。」

「それに腕輪を付けたときも、彼女と会話した後も変な音が聞こえたんだ!!」

「それ多分SE音ですね。」

「エス・イー・オン?」

「今、腕輪をしているからそうなっているだけなので大丈夫ですよ。」

「そうか、ならよかった」


「なら、オズモンドさんはもう始まっているんですね。」

「始まっているってなにが?」

「だから恋愛ですよ、恋愛、女の子と、というか女王陛下とですね」

「いやいや、それはないだろ」

「だって、ほら、ここにうつっていますよ、リリアンヌ様が」

そういうと、俺はその板を見てみる。

「どうして」

その板にリリアンヌとその下にハート型のものがうつっていた。


「多分、腕輪を付けているのが原因だと思うんですけど、知り合った女性がここに現れるようになっているんですよ。」

「じゃあ、リリアンヌ様も、これに巻き込まれたのか?」

「あまりの悲観的にならない方がいいと思いますよ。逆に好都合じゃないですか。」

「いや、だって」

「だって、奥さんなんでしょう?他の女性だったらこじれてますし。これを見てると、僕の場合何人かいて、まだ会っていないひとは、シルエットになっているんですけど。オズモンドさんの場合リリアンヌ様しかうつらないみたいなんですよね」

「まあ…確かに…」

たしかに、いやでも、こんなことに彼女を巻き込むわけにはいかない。


「夫婦なんですから、もしかしたらすぐ解除出来るかもしれませんよ、大丈夫ですよ!!普段からやることはやっているんでしょう?」

そう、言われると俺は頭を垂れてしまった。

「あれ、オズモンドさん、どうしました?あれ、もしかして僕、地雷でも踏みました!?」






Ep1の②を読んでいただきありがとうございました

今回の作品、皆さんにとっては「ああ、またか」みたいな感じかと思いますが、自分なりに、変化球を投げたつもりです。

次は再会の季節③となります。

Ep1は次で最後になりますのでよかったら見てやって下さい。

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