初めての笑顔
次の日
朝食を食べた後、私はクリスの部屋の前に居た。
「クーリースー!」
扉をコンコンというよりドンドンとノックしながら呼べば、少しの間の後、ガチャリと扉が開いた。
「姉様……? どうしたのですか?」
クリスは一瞬目を見開いて私を見た後、そう尋ねた。
「その前に、クリス! 『姉様』呼び禁止! 後、敬語も!」
「は?」
クリスは私の突然の禁止命令に口を開け固まってしまった。
あ、ポカーンとした顔も可愛いっ!
、じゃなくて!
「だって、姉弟なのに何かよそよそしいんだもん」
だから禁止ね?
と言えば、クリスは戸惑いながらも、コクンと頷いてくれ た。
「です……っでも、何て呼べば?」
「んー……あ! 『姉貴』とか!」
「絶対に言わない」
クリスは即答で答えた。
ええー、義弟に『姉貴、おはよ』とか言われるのスゴイ夢だったのにー。
「姉さん」
心の中で不満を言っていると、突然そう呼ばれ、バッとクリスの方を見た。
「も、もう1回言って!?」
少し食い気味に言えば、クリスはちょっと後ろに下がりながら「姉さん」と言ってくれた。
私はたまらなくなってガバッとクリスに抱きついた。
『姉貴』もいいけど、『姉さん』最高!!
「……っ!?」
「あ……、ご、ゴメン!!」
ビックリして固まっている義弟に気付き、慌てて手を離し た。
やっちゃった!!
あれだけ引かれないように我慢してたのに……!
自分で自分の努力無駄にし、1人自己嫌悪に陥っていると、前から「ハハハッ」と笑い声が聞こえた。
見ると、クリスが肩を震わせ笑っていた。
「あ、ゴメン。姉さん全部顔に出るから面白くって」
まだ少し笑いながら、そんなことを言い出した。
え? それ褒めてる? 貶してるくね?
と思ったが、初めてクリスの笑った顔を見れたからよしとしよう。
「あ、それで姉さん、何の用で来たの?」
ああ、そうだ!
義弟の可愛さに本来の目的を忘れるとこだった。
ここで一旦きります。