お嬢様頭打ちました?
首を傾げていると、リリィにガシッと肩をつかまれた。
「『マリンschool』は皆の憧れですよ!? 『マリンschool』を卒業したって言えば、周りからチヤホヤされ放題!」
「へ、へぇー……」
「それに各国の王子達とお近づきになれる機会なんてそうそうありませんよ!?」
私の気の抜けたような返事をスルーして、リリィは興奮したように頬を上気させ言った。
『マリンschool』は貴族から下の人達は抽選だが、王族は強制参加である。
あ、ちなみに攻略対象たちは全員王族ね。
主人公、誰選んでも玉の輿狙えるよね。
「お嬢様聞いますかー……あっ!!」
リリィは言葉の途中で何かに気付いたかのように、突然青白い顔で私の肩に置いてた手を素早く離した。
「も、申し訳ありません!! 興奮していたといえ、お嬢様に無礼を……!!」
そう言ってリリィは床に額をつけた。
所謂ジャパニーズ土下座だ。
「え!? ちょっ!? リリィ!?」
「誠に申し訳ありません! どうかクビだけは!! 実家に私の収入を待っている母が居るんです!」
どうやら私は肩をつかまれただけでクビにする人らしい。
「えっと、クビにしないよ?」
「だからー……、え?」
リリィは下げていた頭をバッと上げ、まじまじと私の顔を見た。
「そんな事でリリィをクビにするわけないよ」
「ほ、本当ですか……?」
恐る恐る聞くリリィにコクリと頷くと、
「お嬢様、頭打ちました?」
失礼だな。
「リリィ、私が頭を打ったかどうかは置いといて、そろそろ立って欲しいなぁー」
前世が庶民だった私にはどうも人に頭を下げられるのが性にあわないようだ。
「っ!! 命令しかしなかった お嬢様が侍女にお願いを……!!」
と、リリィはまた目を見開いた。
「いいから早く立って!?」
これから私はどうなるんだろう……?
慌てて立ち上がるリリィを見ながら私はそう思わずにはいられなかった。
リリィのキャラが定まりません……。