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くしゃみ10連発のおかげで  作者: 植松マヤ
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春の収穫祭-6-

「着いたよ。ここなら金魚すくいが出来る出店も見つかるはず」

到着した先は出店がたくさん並んでいる大きな広場だった。

さすがお祭り。人もお店もいっぱいだ。

「すっごいね!!」

人の声や広場に流れる楽しそうな音楽に負けないように声を張り上げながらその場で飛び跳ねた。

なんかお祭りって気分上がるよねー。

「ウィル! 早く行こー!!」

「うん。こけないようにね」

そうお母さんみたいなことを言いながらウィルはフードを深く被り直して、先を走る私の後に続いた。


「ね、それ以上は流石に食べきれないんじゃない?」

屋台に並ぶ、イチゴ大福や苺のワッフル、苺のクレープやらを次々と買っては食べていく私を横目で見てそう言った。

さすが春の収穫祭! 苺の食べ物がいっぱい売っている。

「え? そうー?」

まだいけるんだけどなぁー。

ってか転生した先でまたイチゴ大福が食べれるなんて最高ー!

「……ブラックホール」

そんな私を見てウィルが呟いた言葉はイチゴ大福にかぶりついている私の耳には届かなかった。



「さて、そろそろ金魚すくいに行きましょうか」

屋台の食べ物を一通り制覇して満足したあと、私はウィルの方を振り向きそう言えば、深いため息をつきながら「そうだね……」と頷いた。

あれ? なんか疲れてる?


「すみませーん!」

金魚すくいの出店を見つけ、中に居る頭にハチマキをしているいかついおじさんに声を掛けた。

「はいよ! お嬢ちゃん達もやるかい?」

「うん!」

「よっしゃ! じゃあ、コレとコレ持ってあの人が群がってる所に行ってね。あ! そうそう、金魚すくいはそのポイが破れたら終わりの1回きりね」

そこんとこよろしく!

と、いい歳してウインクを飛ばしながらそう言うおじさんに、ウィルと一緒に少し引いてしまったのは仕方がない。


「さ! はりきっていってみよー!」

「そう言えばティナは金魚すくいやったことあるの?」

「え? ない」

「……」

「……」

沈黙が訪れた。

「……そう、なんだ」

ウィルさん、ウィルさん、目、すんごい泳いでますよ。

「な、なにさー!? しょうがないじゃん! 機会がなかったんだもん! そう言うウィルはあるの!?」

「ない」

にっこりと微笑みながらそんな事を言った。

「……」

「……」

再び沈黙が訪れた。

「やろっか」

「うん」

どちらかともなくそう言って私たちは黙ったまま金魚と向かい合った。


「あ! きたきた!! やったー! 一匹釣れた!!」

他のと比べて小柄な金魚をゲットした。

と、調子にのっていると、ポイが水圧に負け、「あ!」と思った時にはもう遅く見事に破けてしまった。

「そ、そんな……う、うそだぁー!!」

叫びながらバッとこっちを見ていたおじさんを見た。

「お嬢ちゃん、お・わ・り」

またあのウインクで言われてしまった。

「お・ね・が・い」

おじさんを真似して世のモテ女がやってそうな上目遣いを使ってみた。

皆忘れてると思うけど、悪役令嬢ティナって外見は優しそうな美少女だからね、これ忘れちゃダメだからね。

「だ・め」

くっそ!!

おっさんには上目遣い効かないってか!?

金魚すくい、楽しそうですね笑

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