春の収穫祭-1-
今回、暴言少し入ります!
「うわぁー! すっごい人! ……っわ!」
門から出ると門番さんに止められそうだったので、庭から屋敷を抜け出し、私は春の収穫祭で賑わう街で1人、人混みに流されていた。
「取り敢えず、金魚すくいをやってるとこ探さないとなぁー……」
と言ってもどっから探せばいいんだろう?
ってか何気に私、街に来るの初めてじゃね?
うーわー、私迷子決定じゃん。
よし、1人で探すのは止めよう。
誰かに聞くことにしよう。
「でも誰に聞こー……あ! あの人にしよー」
前の人が落としたハンカチを拾って持ち主に渡している少しヨレヨレした服を着た男の人に狙いを定めた。
ヤッパ聞くなら優しそうな人の方がいいよね。
「すみませーん……え!?」
声を掛け、小走りで少し前を歩く男の人を追っていると、突然伸びてきた手に男の人が路地に引きずり込まれた。
なになに!? 怪奇現象!?
え、ちょっと待って!? 今何が起こった!?
そうパニックに陥っていたのは私だけのようで、周りの人達は何事もなかったように先ほどと変わらず楽しそうに歩いていた。
まぁ、人多いもんね。注意してないと分かんないか。
「と、取り敢えずあそこに行ってみよう。」
そう思い、男の人が引きずり込まれた路地を壁に隠れながらソーっと覗いた。
「あ、人間だ」
そこには先ほどの引きずり込まれたあの優しそうな男の人と、その人を囲む悪そうな男3人組が居た。
路地から伸びた手の正体がちゃんと生きた人間だと分かり少しホッとしていると、路地から壁を蹴る音が聞こえた。
「オラッ! 早く金出せよ!」
「おっ! 財布発見ー」
「や、やめてください! 息子に屋台のお菓子たくさん買って帰るって約束したんです……!」
そう言って、男3人組に背を向け財布を守るように胸の前に抱え込んだ。
「ッハ! 貧乏のくせにイキってんなよ」
男3人組の1人が見下したような目で見てそんな事を言っ た。
「……ムカつく」
理不尽な男の言葉に私は唇を噛み締めた。
今すぐにでもあの男3人組の前に出ていきたいけど、女であり、たった12歳の子供が行ったらところで、殴られて終わりだろう。
「何かないかなー……」
キョロキョロと辺りを見ると、拾ってと言わんばかりのペットボトルを見つけた。
「蓋開いてないじゃん」
しかもこれってー……炭酸ジュース?
っは! これ高速で振ってあの3人組に向けて発射したら撃退出来るんじゃ……!?
うん、いける!
そう確信し、さっそくペットボトルを思いっきり上下に振った。
炭酸ジュースまみれの3人組を想像して、ニヤニヤしなが ら。
ここで一旦きります!