Hello World !
鮮血で溢れかえった肉塊が見える
獰猛な叫び声が聞こえる
血と汗の混じった腐乱臭が漂う。
口の中で鉄の味でいっぱいになる。
全身が危険信号を肌で感じている。
目の前に広がっているのは正真正銘の地獄絵図だった。
数えきれない肉塊が目の前に落ちている。
一人一人に名前が存在し、先ほどまで笑いあった仲間だった。
今、その笑みは苦痛で歪んでしまっている。
同じ人間でこうも変わるのかと、驚くほどに変わり果ててしまった仲間の屍。
そして、私も同じようになってしまうのは、わかりきったことだった。
わかりきったことではあったが、
そんなこと、おめおめと認めるわけにはいかない。
剣を握る。
細く短いその片手剣を強く握る。
汗で濡れた手でするりと落ちてしまわないように、強く、強く、掲げる。
不安と緊張で死にそうだ。
でも、なんでだろう、
どうして人間って死ぬ直面に立たないと、生きていると実感できないんだろう。
築くと、笑みが溢れていた。
自然と、勝手に、にやけてしまった。
喜んでいるのだ、この状況を、多分、動物としての闘争本能たる何かがそうさせるのだろう。
「ああ、楽しいなぁ、死にたくないなぁ、もっと先に進みたい。 もっと、もっと、先に」
剣を振るう。
眼前の敵にはまるで、歯が立たない。
ガチンッ。 と、金属音を上げて弾かれる。
無駄だということはわかっていた。
それでも、もしかしたら、に賭けてしまった。
あと、一撃で倒せるかもしれない。
そんな、無謀な賭けに。
目が眩んでしまったのだ。
100人のパーティーが挑んでも勝てなかった化け物に勝つという偉業。
そんな輝かしい栄光に足元をすくわれたのだ。
まぁ、結果は、散々なもので、有無も言わさず、圧倒的に、無茶苦茶に、痛いとすら感じる間もなく、呆気なく、目の前が真っ暗になった。