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59話 終わったんだけど…

 水晶柱に触れて、転移した先はダンジョン出入り口から大分離れた場所になった。

 理由は、ダンジョン周辺にモンスターが群れていた為、転移可能なスペースが無かったからだろう。

 この際俺達は、30人全員が同時に水晶柱にへと触れる為に、かなり変な隊形を取っていたのだが、転移後も当然そのままの隊形だった。

 その為、周囲に居るモンスターへの対処が直ぐに出来る者が限られてしまう。

 この場で、一番早く動いたのはぺんぺんだ。

 『空歩』で俺達の塊から飛び出すと、『ウインド・ブレス』を吐き出しながら俺達の周囲を一周した。

 伊達に、風系ブレスの最上位では無い。猛烈な速度で吐き出されるブレスは、触れた地面ごと削り取り、周囲に居た100を楽に越えるモンスターを吹き飛ばしていく。

 吹き飛ばされるモンスターは、低レベルのモノはそれだけで粉微塵に成り、ある程度風属性耐性のあるモノでも四肢が千切れ飛んでいる。

 そして、一定以上のレベルを持つモンスターも、その場に止まれずダメージを受けたまま吹き飛ばされた。

 ぺんぺんが、絡み合う様に固まっている俺達の周りを一周し終わると、周囲100メートルにモンスターは居なくなっていた。

 持続型広域攻撃恐るべしだな…

 ぺんぺんの攻撃中、デボも仕事をしていた。それは、上空に居た飛行系モンスターに対して『忌音波』を放つ事だ。

 『忌音波』を受けた飛行系モンスターのは大半は、石化や麻痺などの状態異常をランダム発症して、そのまま地面へと落下していった。

 ぺんぺんのブレスもだが、デボの状態異常音波も、ダンジョン内より地上の方が使い勝手が良さそうだ。

 そんな事を考えながら、人間玉状態だった塊から抜け出すと、他の者達も「踏むな!」「いでで!」等と騒ぎながら抜け出して来た。

 流石に慣れたモノで、即座に各ジャンパーごとに集まり、『転移』を実行出来る体勢を整えている。

 その上で、周囲を見回し、ダンジョン入り口が無くなっている事を確認していた。

「入り口はどこだ? 無くなってるのか? …削れてて、どこがどこだか分からん!」

 一人がそう言うと、周囲の者も同様に騒ぎだした。

 転移直後はある程度周囲の位置関係が分かったのだが、先程の『ウインド・ブレス』のせいで広範囲の地面がえぐれ、ロケーションが完全に変わっている。

 俺は、その位置を確認していたので、彼らにその場所を示してやった。

「あそこか? セメント残っている」

 俺が示した場所は、そこだけ盛り上がっており、半分程とは言え、元々のセメント張りの路面が残っていた。

 (うち)のダンジョンの時と同じで、ダンジョンが消えた瞬間に、元々ダンジョンが発生した際に消えた出入り口部分の構造物が復活する。

 その復活した物が、今回はセメント製の路面だったと言う事だ。

 この『大阪ダンジョン』は元々、工場の建物と建物の間にある通路に発生したらしい。つまり、その通路のセメントがアレだって事だ。

「じゃあ、消えたんだな。さっきのブレスで埋まっただけって事は無いよな!」

「はい、ブレス前に穴も水晶柱も無いのを確認してます」

 確認と言うよりも、懇願に近い口調に対して答えると、周囲で一斉に歓声が上がった。1000匹を越えるモンスターに遠巻きとは言え囲まれているとは思えないはしゃぎ様だった。

 碧はそんな様子を横目に見ながら、周囲の確認をしてくれている。デボとぺんぺんも同じだ。

 流石に、昨日のドラゴン戦直後のような騒ぎでは無かったが、落ち着くまではそれなりの時間を要した。

 と言う訳で、この時点でこのまま転移して駐屯地まで帰っても良いのだが、ほぼ全快のMPがもったいない。

 俺が、周囲のモンスターをある程度間引く案を出すと、全員が賛同してくれた。

 そして、先程から、雪崩を打った様にこちらに向かって集まってきているモンスターの群れに向かって、全員からインフェルノ系魔法が全方位に向かって放たれる。

 ぺんぺんは、先程のブレスで大夫MPを消費していたので、一時待機だ。

 二撃目からは、火魔法と水・氷魔法が干渉しない様に配置を換える細かさを見せながら、一定範囲までおびき寄せてはインフェルノ、おびき寄せてはインフェルノと言った形でMPが半分を切るまで続けた。

 この、ある程度の距離を置いた状態での、全周囲にモンスターが大量に居る状態は、思いの外殲滅効率が良い。

 無論これは、その全てに対応出来るだけの火力と、全員を転移出来るだけのジャンパーが居るのが条件だ。

 碧は、相変わらずジップロックに入れた『ヌリカベの肉』を小脇に抱えながら、『スター・ボウ』と『青龍破』を交互に放っていた。色々言いたい事は有るが、何はともあれ、帰ったら早速食わねば。

 そして、全員のMPやHPが設定値を下回った段階で、『転移』を発動し、俺達は駐屯地へと帰った。

 駐屯地では、いつもの帰還の様に待ち構えている者は誰もいなかった。まあ、当たり前だろう、帰還予定時刻を15時間以上超過している。これで待っていたら別の意味で怖い。

 それでも、訓練等である程度の者が周囲には居り、俺達の帰還を驚きつつ喜んでくれた。

 そして、『大阪ダンジョン』が消滅した事を知ると、絶叫に近い歓声が上がる。

 そんな彼らを横目に、俺は碧に引っ張られ、宿舎(高校)へと向かう。

 100メートル程移動した当たりで、デボも俺達が離れて行っている事に気付き、慌てて騒いでいる集団の元から碧の頭の上へと移動して来た。

 その後は、宿舎で簡易シャワーを浴び、着替えると、食堂へと赴き『ヌリカベの肉』をステーキにして食った。

 絶品だ。第7とか第8なんて言う未知の味覚を刺激する様なモノが入ってるんじゃ無いかと思う程だ。良くやった、碧。

 空腹も手伝い、4人で6キロ程の『肉』の半分近くをその場で食べてしまった。残りは明日の楽しみに取っておこう。


 『大阪ダンジョン』が消滅してから10日間は、俺達は包囲網内のモンスター掃討を行っていた。

 本来なら、直ぐに次のダンジョンへと向かいたかったのだが、『大阪ダンジョン』の消滅を確認するまでは駄目だとのお達しが下された。

 つまり現状では、消滅したのか入り口が埋まったのか分からないって事だ。だから、『ダンジョン爆発』が発生する最大日数はここに待機となった訳だ。

 現状、その『ダンジョン爆発』に掛かる期間で一番長いのが1週間ほどと考えられている。

 だが余裕を見て、10日間待ち、それでも『ダンジョン爆発』が発生しなければ、正式に『大阪ダンジョン』が消滅した事を認めるって事だな。

 そんな10日間だったが、当然のごとく『ダンジョン爆発』は発生せず、『大阪ダンジョン』の消滅が正式に確認された事に成った。

 俺的には、この期間は全く無駄な時間だったと思う。なぜなら、『転移』でダンジョン内のポイントへ転移出来ない事が分かっている時点で、消滅は分かりきっていたのだから。全く…

 そして、この間、俺達は予定外のことを知る。

 それは、ステータス表示の変化だ。

 (うち)のダンジョンを消滅させた後、レベルが1に成り、経験値や必要経験値も全て1にリセットされた。

 今回もそうなるだろうと思っていたのだが、予想に反して必要経験値の部分が僅かに変化しただけだった。

 正確に計算すると、魔法・スキル修得用とパラメーターアップ用のどちらも1/12になっていた。それだけだ。他は全て元のまま。

 最初、これを見た時は、レベルリセットは初回の攻略時だけの特典の様なモノなのか?と考えた。

 だが、一緒に攻略した自衛隊員達に聞くと、彼らも同じ様に、次回必要経験値が1/12に成っただけだった。

 そして、その理由らしきモノがステータスリストに書かれていた。

 それは以前あった『鴻池(こうのいけ)ダンジョン(レベル2)踏破者』の下に『新・大阪ダンジョン(レベル5)踏破者(レイド)』と言う形で書かれていた。

 先ず、あの『大阪ダンジョン』はレベル5のダンジョンだったって事だ。モンスターのレベルや、ボスの強さを考えれば納得だ。

 で、(くだん)の問題点は、一番最後に括弧書きで書かれている『レイド』だ。

 元々の意味は奇襲などだが、MMORPGでは集団を意味する言葉になっている。つまり、複数パーティーを表す訳だ。

 それを踏まえると、以前の末尾に何も付かないのが『パーティー』で有り、今回の『レイド』と区別が付けられている可能性が有るって事だ。

 実際、ゲームでは、パーティー攻略時とソロ攻略時、更にレイド攻略時で同一ボスでも入手経験値や入手アイテムに差を付けているモノが多い。

 つまり、今回の1/12は『レイド攻略時のボーナス』だったって事だ。無論確証は無い。

 多分、前回同様、俺達だけで攻略していれば、同じ様に『レベルリセット・次回必要経験値リセット』と言うボーナスが手に入った可能性が高い。

 だが、だからと言って、あのドラゴンを俺達4人で殺せたかとなると、確実に(いな)だ。

 この考察は、碧、デボ、ぺんぺんも同意している。多分間違いない。

 正直、予定が大夫狂ってしまったが、こればかりはどうしようも無い。

 今望むのは、他のダンジョンレベルが5以下で有る様に、って事だけだ。あれ以下なら、現状でも何とか成るはずだからな。まあ、スキルや魔法とかの相性問題が無ければ、だけど……

 『大阪ダンジョン』の消滅が確認されると、俺達30人は盛岡へと移動した。

 先ずは、大阪から東側を処理しようと言う考えらしい。

 まあ、盛岡のダンジョンさえ無くなれば、広範囲が安全になる訳で、理に叶っていると言えば叶っている。

 だが、東京在住の者達が決定したと考えると、何となく邪推したくなったりもする。あの時の印象が悪かったからね…

 ま、今回の場合は完全な俺の邪推だろう。物資の輸送や戦力の集中を考えても、飛び地である盛岡を潰すのが先なのは間違いない。

 ただ、実際に潜って、ダンジョンレベルが高そうだったら、その時は他のダンジョンへと移る旨を伝えてある。

 このダンジョンレベルの検討は、モンスターのレベル帯域の広さで確認する予定だ。

 今回の『大阪ダンジョン』を最深部まで潜った事で、(うち)のダンジョンと完全に比較する事が出来た。

 そして、2つのマップを同倍率で比較した所、最深部の深さが全く同じになった。

 つまり、以前考えた『ダンジョンの深さは全て同じで、最深部に置かれるモンスターのレベルによってダンジョンレベルが決定される』と言う考察が正しい可能性が出て来たって事だ。

 入り口付近に居るモンスターがレベル2程度なのは全てのダンジョンで共通なので、最深部に居るモンスターのレベルが高ければ高い程、各帯域の幅は狭くなる。

 もし、この考察が正しければ、ある程度ダンジョンに潜れば、その帯域幅からそこのダンジョンのレベルを推し量る事が出来るって事に成る。

 この考えを、既にお偉いさん方には報告してある。その上で、上記の案を提案し、許可を受けた訳だ。

 無論、勝手に実行は出来ない。あくまでも、変更申請を出せるというレベルのものだ。最終的な決定権はお偉いさん方にある。

 俺たち的には、もし認められなかったら、とっとと隊を離れるけどね。

 なんせ、無理だと思うから変更申請を出す訳で、無理なものは無理だ。故に、その時は消え去るのみだ。

 そんな心構えで臨んだ『盛岡ダンジョン』だったが、初日で『大阪ダンジョン』より低く、(うち)のダンジョンよりは僅かに上だと分かった。

 これだけでも、ほぼレベル3だろうと予測が付く。油断さえしなければ、今のメンバーならば全く問題ない。

 実際、大きなケガも無く、順調に潜って行き、余裕を持って4日でボスを殺し、ダンジョンを消滅させた。

 大阪ダンジョンでの、あの苦労は何だったんだ? と怒鳴りたくなる程、アッサリとしたものだった。

 ちなみにボスモンスターは、全長10メートルを越える巨大な人型モンスターだった。

 金属製の鎧を身に纏い、巨大な槍を持った巨人だ。RPG的には何になるのだろうか? ○○ジャイアントとか、巨人族なんて言う形になるかも知れない。

 この巨人は、素早い動作でその槍を高い技術で振り回し、槍系のスキルを使ってきた…に違いない。マトモに対峙していれば。

 実際は、前回、前々回同様、通路からの魔法の飽和攻撃で一方的に殺してしまった。問題無い。これはゲームじゃ無い。勝ったものが勝ちだ。

 毒ガス兵器を使おうが、細菌兵器を使おうが、勝てば良い。まあ、ガスとかは使わないけどね。

 ドロップは、『雷神槍』と言う雷属性のスキルを持つ槍だった。碧の『龍槍』よりは上の品っぽい。残念ながらもらえなかった…

 『盛岡ダンジョン』が終わると、後は『米子ダンジョン』→『特牛(こっとい)ダンジョン』→『阿蘇ダンジョン』の順番で攻略していく。

 各ダンジョンのレベルは、『盛岡ダンジョン』はレベル3で、『米子ダンジョン』はレベル2、『特牛(こっとい)ダンジョン』はレベル1、最後の『阿蘇ダンジョン』はレベル4だった。

 結果として考えると、日本で一番高レベルのダンジョンから攻略を開始してしまった事になる。前もって分かっていれば…ってやつだ。

 ちなみに、最後の『阿蘇ダンジョン』攻略の段階で、お偉いさん…政治家連中から、ここだけは残して、資源として利用出来ないか? なんて話が出たらしい。

 自衛隊をここ1ヶ所に集中させる事で、管理出来るはずだって言い出したそうだ。

 実際、やろうと思えば出来なくはないだろう。ただ、それには直径百メートル規模の10メートル以上有る壁で周囲を囲み、上部には金属製のネットを全面に被せる事が条件だ。

 その上で、300人規模のインフェルノ系魔法を修得した者を集め、100人ずつの3交替で常に張り付かせている必要がある。

 そうで無ければ、1日に10万匹以上出て来るモンスターに対処出来るはずがない。

 現実的に考えて、かなり厳しいモノが有る。それに、資源と考えるなら、ドロップ品を回収する部隊が必要な訳で、その危険度はかなり高くなる。誰がその責を取るというのか?

 まあ、端的に言って、アホか、って事だ。現実を見ろバーカって事だ。そんなん言うなら、お前がやれよ、って事だ。

 ちなみにこれは、俺が言った言葉では無い。某妹が言った言葉だ。

 実際、どういった話し合いが行われたかは定かでは無い。結果としては、消滅させる事となり、サックリと消し去った。

 この間、同様の方法を使って、各国でもダンジョン消滅を実行しようとしていたが、成功報告は4ヶ所しか上がっていない。3ヶ所はアメリカで、1ヶ所は台湾だった。

 他の国は現在実行中、もしくは失敗して再編中らしい。

 無論、この国々は、ある程度ダンジョンから出て来るモンスターを食い止められている国の事だ。世界レベルで見れば、そうで無い国の方が遙かに多い。

 日本は幸いにも、そんな希有な国に当たる訳だ。


 俺達が、日本最後のダンジョンである『阿蘇ダンジョン』を消滅させた日、日本中に街宣車が走り回ったそうだ。

 『大氾濫』以降、燃料不足と、食糧不足に伴う人員の確保が出来ず、インフラの要である発電所の大半が停止していた。

 その為、テレビなどのメディアで一斉に知らせる事が出来なかった為、街宣車による告知という人海戦術で対処した訳だ。

 何はともあれ、人心の掌握が第一だ。流石の日本人も、この時点ではかなり酷い有様になっていた。治安の悪化が著しく、平時の中国などと変わらない有様だった。

 故に、少しでも早く、事実を伝え、秩序の再構築を図る第一歩とした訳だ。

 そして、実は、電波を使わなかったのにはもう一つの理由があった。

 これは、同じ部隊の者達に聞いたのだが、某半島からの難民を防止する為だという。

 電波を使うと、あの半島南部でも受信出来てしまう。その為、日本からダンジョンが消えた事を知られる可能性が有ると言う事だ。

 過去の南北に分かれた戦争の時もそうだった様に、大量の難民が日本に押し寄せる可能性が高い。

 これが、平時ならばまだしも、日本国内ですら食糧事情が厳しい状態で、そんな者達など受け入れられるはずが無い。

 更に、最大の懸念は、治安の悪化だ。ただでさえ歴史問題で対立が有り、反日無罪がまかり通っている国の者が、こんな状態でまともな行動を取るはずが無い。

 故に、断固受け入れを拒否する予定なのだという。実は既に、海上自衛隊が、対馬沖を警戒しているそうだ。

 また、この海上自衛隊の艦艇は、難民の監視と共に半島から飛来する、飛行系モンスターの対処も実施するらしい。

 ただ、モンスターの性質的に、半島内に人間が一定以上居る間は、そちらを狙う為、海を越えてくる確率は少ない。

 有り得るとしたら、海上に連なる難民を狙って移動してきて、その流れで日本へと至るというケースだ。

 そう考えると、難民の問題は本当に深刻だと言う事に成る。

 そんな感じで、俺達が知らない裏でも、色々と動いていた様だ。


 そして、『阿蘇ダンジョン』が消滅してから10日間、俺達は地上に出ていたモンスターの掃討戦に参加していた。

 その際は、自分で殺したモンスターのドロップ品は全て自分たちの物と言う事で、今後の事を考えて徹底的に集めて廻っていた。

 この間の食糧は、自給自足だ。既に自衛隊から離れている体を取っているので、彼らに頼る訳には行かない。

 だが、『肉』はいくらでも手に入るし、『鑑定』を使って食える野草や山草も手に入る。更に、川や海に潜って魚も手に入れられる。全く問題ない。

 基本半日モンスター狩りをし、後の半日で食糧調達を行っていた。

 一度は、無理に頼んで、かなり離れている海岸まで連れて行ってもらい、その場所のポイントを取った。それ以降は、『転移』も併用する事で海という最大の恵を手に入れられる様になった。

 そしてダンジョン消滅後、5日目当たりから、断片的ではあるが、貨幣経済も復活して来ている様で、魔石などを買い求めてくる者も出始めており、多少なら調味料等も購入出来た。

 かなり広範囲へと散らばっていた阿蘇のモンスターだが、流石に10日も有れば95%は狩り尽くした。多くの人員が集まったからね。

 そこで、俺達も家へと帰る事にしたのだが、そんな俺達の元に意外な人物達が現れた。

 警察官だ。しかも、いわゆる公安警察ってヤツらしい。

 そんな公安が10名、俺と碧を取り囲み、ぺらっぺらの微妙に光沢のある紙を2枚提示した。

鴻池 稔(こうのいけ みのる)、並びに鴻池 碧(こうのいけ みどり)、君たちを『ダンジョンに関する特例法』第1条並びに第3条に違反した罪で、身柄を拘束する」

 そう言うと、2組の男女が進み出て、手錠らしき物を出すと、俺と碧の手にそれを掛けた。

「一応言っておくが、君らの力は知っている。僅かでも抵抗する様なら、公務執行妨害、逃走の罪、器物損壊、傷害罪などが付加されるからそのつもりで」

 呆然としているデボとぺんぺんをキャンプ場に残して、俺達2人は逮捕されてしまった。

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