56話 バグ狩り場?
昨日一旦帰ってきて、英気を養い、今日の早朝また『転移』で昨日の『部屋』へと戻るのだが、その前に俺は担当官の元へ向かった。
そして、明日の朝の『転移』時に、一旦出入り口の水晶柱の元へ転移出来る様に、準備を頼んだ。
理由は、『思いの外経験値が溜まっているので、全員で一度パラメーター等のアップを実施した方が良い』と言う事にした。
無論、少しでも全体の底上げをしたかったからだ。
担当官には、俺の予想を話しても良かったんだか、その場に別のお偉いさんも居た為、念のため控えた。
一応、今回の部隊の中には、2名の『転移』持ちが水晶柱の前の座標をポイントしたままで従軍しているが、2人の『転移』では全員を転移出来ないので、他のジャンパーを準備してもらう必要があった。
ちなみに、この2名は、途中で『錬金術』を使用する必要が発生した際の為に、水晶柱前のポイントを残させている。
一応、今日、『炸裂弾Ⅱ』用のドロップ品を持つモンスターの居る帯域に行く予定なので、ある程度集まったら途中で転移して錬成する予定だ。
出来れば、最低でも30個は作りたい。『炸裂弾Ⅱ』に関しては、ここで使えなくても外で使える為、いくら多くても困る事はない。
その為、今日は、パイロ・キャタピラーとブラック・ワームを一定量狩るまではその帯域から先へは移動しない事になっている。
昨日考えた懸念事項への最低限の準備を終えると、他の者達が待つ訓練場へと向かった。
そして、何時もと同じ様に、俺達4人が先に転移する。
俺は、転移した瞬間には抜刀し、魔刃を発動して眼前のブラッディー・ビートルを切り裂く。
隣で碧も、もう一匹のブラッディー・ビートルを『爆裂突き』で爆砕していた。
『部屋』にはこの2匹しか残っていなかったようだ。そして、この間、デボが『ストーン・ウォール』で出入り口を塞いでいる。準備OKだ。
ちなみに、このブラッディー・ビートルは、血のように赤いカブトムシの様なモンスターで、全長は2メートル程有る。
知っている人は分かると思うが、このモンスターの命名者は明らかに日本人だろう。
なぜなら、カブトムシの英語名はビートルでは無い。ビートルは甲虫を表す大きなくくりの言葉で、カブトムシ自体は『rhinoceros beetle』と言う。
ビートルをカブトムシと誤って認識している民族は限られているって事だ。ソーイングマシーンをマシーン→ミシンとして認識しているのと同じだな。閑話休題。
『部屋』の確保が終了すると、間もなく他の隊員達も転移してくる。
余り広くは無い『部屋』だが、ある程度詰めれば30人全員が入った状態で転移可能スペースを開けられる程度の余裕は有った。
全員の転移を確認すると、前日同様に俺達が先頭に立ち移動を始める。
入り口の『壁』を『ストーン・アロー』で壊したデボは、既に定位置と化した牧村陸曹長のヘルメットの上に飛び乗る。
牧村陸曹長も、既に諦めたようで、軽く肩をすくめただけで俺達の直ぐ後ろのポジションに着いた。
『部屋』を出て直ぐに遭遇したのは、久々に見るレベル70帯モンスターであるBGだ。ビッグなGな訳で、見た瞬間、碧の『青龍破』2連によって粉々になって消えた。
さすがに、碧も慣れたのか、『ウッキー』状態になる事はなくなった。だが、目にしている時間を出来るだけ少なくしたいのか、見敵必殺ならぬ見敵瞬殺だ。
通常は、確実にオーバーキルなスキルなんだが、さすがにレベル70帯モンスターとも成ると、一撃では死なない為、今回は正当な攻撃だった。
この間、ぺんぺんは反対側に居たモンスターを『アイス・アロー』で牽制しながら、デボが『壁』を作る手伝いをしている。結局何もしなかったのは俺だけだったりする…
デボによる3重の『壁』を作り終えると、昨日の分岐点を通ってその先を目指した。
朝一の段階で、既にレベル70台のモンスターが現れて訳だ。地上にはまだ顔を見せていないが、確実に上ってきている事になる。
またぞろ、俺達ですら知らないモンスターと遭遇する可能性が高くなったと言う事だ。気を付けよう。
移動を開始して1時間程で、目的とするパイロ・キャタピラーの湧く帯域へと到達する。
パイロ・キャタピラーは複数種類居る芋虫系モンスターの中で、唯一『火薬玉』をドロップするモンスターだ。
他の低レベルモンスターの中にも『火薬玉』をドロップするモノは居るが、圧倒的にドロップ率が低い。
その為、『炸裂弾Ⅰ』はレベル30帯以下で作れるのだが、まともな数を作ろうと思えば、パイロ・キャタピラーの居るレベル50帯に来るしかない。
そして、この帯域の直ぐ近くには、『炸裂弾Ⅱ』のもう一つの材料である『Mクレイ』をドロップするブラックワームが居る為、ここまで来て『炸裂弾Ⅰ』を作る意味が無かったりする。
俺達は、この2つのドロップアイテムを入手すべく、初めてこの帯域に留まって狩りを実施した。
そして、ここに至るまでの間に遭遇した両モンスターからの入手品も加えて、各40個以上を僅か1時間の狩りで入手した。
こういう時には、この異常増殖状態は楽で良い。
そして、余録として、この帯域の枝道も探索した為、2ヶ所の『部屋』を発見し、中レベルのマジックアイテムも入手出来た。
そして、その『部屋』の入り口を何時ものように『壁』で塞ぎ、俺達4人は村井陸士長の『転移』でダンジョン出入り口へと転移した。
今回の転移では、ヘリなどによる事前の殲滅作業が無かった為、周囲に100を越えるモンスターが居たが、碧と俺によるインフェルノの連打の間に、デボとぺんぺんが最小限度の『壁』を形成する事で対処した。
人員的には、実質3人分のスペースが有れば良いので、2畳分も有れば十分な訳だ。
セーフゾーン確保が完了すると、碧が『錬金術』によって、『炸裂弾Ⅱ』や各種ポーション類を作製した。
3人のリュックいっぱいだったドロップアイテムは、1人分のリュックに入りきる量のアイテムに替わった。
この時点で、ついでとばかりに、5人は各自の経験値を使ってパラメーター操作も行った。
明日全員で実行する予定ではあるが、出来る事は先にするに越した事は無い。
俺達4人は全員レベルを5上げ、村井陸士長も1だけだが上げていた。
やるべき事を終えると、直ぐに村井陸士長の『転移』で他の者の待つ『部屋』へと転移し、続きの探索を開始する。
その後4時間は多少の負傷者は出たが、順調に探索を続けられた。
そして、午後2時前に、そこへとたどり着く。
「ホール?」
その広大な空間を見ながら、碧が誰に聞くとも無く呟いていた。
家のダンジョンのホールで、ある程度見慣れていた俺も、多分碧と同様に惚けた顔をしていたと思う。
なぜなら、そのホールが余りにも大きかったからだ。多分、家のダンジョンに有ったホール全てを合わせた位は有るだろう。
「何だ、ここは…」
自衛隊員達の口からも、驚きの声が漏れていた。
「ムッチャ広いね。…あっ! やっぱり恐竜居た!」
碧の指さす先には、100を越える数で群れを成した翼竜タイプのモンスターが飛んでいる。
「恐竜?」
「恐竜型のモンスターが居るのか?」
高さ10メートル程の岩場に空いた洞窟から顔を出してた自衛隊員達に、俺は簡単に恐竜型モンスターが居る可能性を話す。
彼らは、俺達が1つのダンジョンを攻略した事は知らされていないので、詳しい事が話せない。
その為、ある程度ぼかした説明にならざるを得ない。正直面倒くさい。
だが、この場で事実を話しても、また別の意味で面倒くさい事になるのは分かりきっているので、これで通すしかない訳だ。
「お兄ー、これってかなり面倒くさくない? 森の中で大量のモンスターと戦うのはマズいよ」
碧の言う事は正しい。今までのような洞窟形状なら、分岐点以外は常に前方だけでモンスターと対峙すれば良かった。
だが、ここのように広大なスペースの中では、360°全てから攻撃を受ける可能性が有る。
更に言えば、上方からの襲撃も有るので、更に面倒な事になる訳だ。
これが以前の状態のダンジョンなら、まだ対処出来た。
だが、現状の異常増殖状態のダンジョンでは、モンスターの数が余りにも多すぎる。
そして、何より、今までの移動中、ラプトル以外の恐竜型モンスターを見かけていない。
つまり、この場で湧いた恐竜系モンスターの全てはこのホールに留まっている可能性があると言う事になる。
「……焼くか」
「焼くって、この森全部を?」
「森自体は、どのみち12時間で元に戻るんだろうし、モンスターも直ぐに湧き戻るとは思うけど、今までに増殖した分は潰せるよな」
「良いけどさ、でも大丈夫? 酸欠とか煙とか」
……その問題が有るんだよな。かと言って、他のインフェルノ系を使ったとしても、その場所周辺にしか効果は無い。
延焼効果の有る『ファイアー・インフェルノ』が一番手っ取り早い。
だが、やはり一酸化炭素等の有毒ガスは怖い……
「それにさ、ここも行き止まりって可能性が有るよ」
「…その可能性も有ったな。忘れてた」
そうだ、家のダンジョンに有ったホールは全て行き止まりだったんだ。全てのホールをくまなく調べたから、それは間違いない。
もし、このホールも同様だったとしたら、ここを探索するのは時間とエネルギーの無駄って事になる。
「おい、行き止まりってどう言う事だ?」
悩んでいた俺に、牧村陸曹長が尋ねて来た。
「さっき言った過去の例では、全てのホールが行き止まりだったんです。有ったのは木の上に有る宝箱だけです。その意味では巨大な部屋とも言えます。ただ、ここがそれと同じかは分かりません」
「行き止まりか… もしそうだとしたら、だいぶ前の分岐点まで戻らなくてはならない訳か」
俺達の会話を聞いていた他の隊員達も騒ぎ出した。
枝道ではなく、本道へと繋がると思われる分岐点は、ここより2時間以上戻る必要があった。
そして、その通路が確実に深層部へと繋がっているとは分からないと言う事も、ここに集まっている者は全員理解していた。
それ故に、全員の顔に落胆や戸惑い、そして疲れが現れている。
そんな負の感情に溺れたこの場を塗り替えたのはぺんぺんだった。
ペンペンペンペン
突然激しく俺の左ホホをペンペンするぺんぺんを肩から抱き上げ、「どうした?」と尋ねると、ぺんぺんは身体を捻ってホール内の一点を指(?)指した。
その右前足の先を目でたどっていくと、そこは、俺達の居る地点から見て左斜め1キロ程の壁面だった。
そして、その地点に黒く影になった点が見えた。
「…洞窟か?」
ペン
ぺんぺんが肯定を表す一叩きを返した。
俺はぺんぺんを左肩に戻すと、牧村陸曹長のヘルメットに鎮座しているデボをむしり取る。
驚いて、抗議のツンツン攻撃を手袋越しに加えるデボを無視し、先程ぺんぺんが示した方向に身体ごと向ける。
「デボ、あそこを見てくれ、向こう側に見える崖、下から15メートル程の所、暗く影になってるアレって洞窟か?」
俺の言葉を聞いて、ツンツン攻撃を止めたデボは、じっと言われた方を見た。
実は、俺達4人の中で、一番遠視力が有るのがデボだったりする。次がぺんぺんで、俺と碧は大分下がってその下だ。
これは、スキルなどではなく、元々の肉体的能力に根ざすモノだ。
鷹はともかく、スズメの目がそんなに良いという話は聞いた事が無い。その点からも、デボがスズメでは無い可能性が高くなった訳だ。あと、犬も目はさして良くないと聞いたことが有るので、ぺんぺんもだな。
そんなデボ非スズメ説を考えていると、デボが俺の指を突いた。1回だ。つまり、あの影は洞窟だと言う事に成る。
斜度40°ほどの斜面を這い上がって来ていた、二足歩行する蛇玉に魔法を叩き込んでいる前衛班を余所に、他の者に洞窟の存在を伝えた。
その後、5分程、這い上がってくるモンスターと、上空から襲ってくる翼竜タイプのモンスターを殲滅しながら話し合った結果、崖沿いに移動して件の洞窟へと向かう事となった。
崖沿いであれば、警戒範囲が半分に出来る為、何とか成るだろうと言う考えだ。無論。無理そうだったら一旦転移で逃げる。それは絶対だ。
10メートル程の斜面を下って行くと、木々が生い茂った所には見覚えのある恐竜型モンスターが集まっていた。
不思議に、その恐竜型モンスター達は、他のモンスターと違い崖を登っては来なかった。それどころか、遠距離系の攻撃すら仕掛けてこない。無論、完全に射程内に入っているはずなのにだ。
唯一攻撃を仕掛けてくる恐竜型は翼竜のみで、その翼竜型も何故か洞窟へは入ってこなかった。
ゲーム的に考えれば、この恐竜型はエリア固定モンスターと言う事に成るのだろう。あくまでもゲームだとしたらだ。
「これってさ、この位置からなら一方的に攻撃出来るんじゃ無い? 経験値取り放題?」
碧の声で周囲がざわめき出す。
「後々の事を考えれば、僅かでもステータスを上げておきたいのは確かだ」
「明日、一旦入り口に行くんだろう、だったら今日中に取れるだけ取っておくのは有りだと思うぞ」
「…確かに、いまある程度時間を使ったとしても、その分の効果は有ると言う事だな」
俺達は、その場で大まかな使用MP・HPの上限を定め、崖中段からの殲滅作業を開始した。
そう、それは作業だった。崖を横に移動しながら、下に集まってくるモンスターに範囲魔法や範囲スキルで攻撃するだけの美味しい作業だ。
無論、翼竜や恐竜型以外のモンスターは攻撃を仕掛けてくるが、大した数では無い。
翼竜の場合は、数は多かったが、その分群れで襲ってきた為、複数人掛かりのインフェルノ系魔法のミックス攻撃で一気に数を減らした。
何より、翼竜型は、羽の皮膜に一定以上ダメージを受ければ、それだけで飛べなくなる為、風系のインフェルノに当たる『ダウンバースト・エッジ』などで簡単に飛べなく出来た。
そして、飛べなくなった翼竜は、他の恐竜型と同様に崖上へは攻撃出来なくなってしまう。後は美味しくインフェルノだ。
全員で、交互に広範囲魔法を叩き込みつつ崖を移動して行く。
目的の洞窟までは、直線距離で1キロ程だったが、曲線を描く崖沿いでは1.5倍とまでは行かないが、それに近い距離がある。
そして、何より斜面なので、移動は遅々として進まない。だが、今は目的が経験値稼ぎなので、全く問題は無い。
時間を掛け、ゆっくりと移動しながら、爆音に反応して次々に集まってくる恐竜型モンスターを確実に平らげていった。
さすがに、数が多すぎて、MPやHPが設定した下限に達し掛けた為、途中2回の休憩を挟んでの移動となった。
その為、その洞窟へと到達したのは夕方6時過ぎだった。
だが、時間を掛けただけの事はあった。恐竜型モンスターのレベルは全て60オーバーだ。つまり1匹当たり60以上の経験値が入手出来たって事に成る。
その為、僅か4時間ほどで、各自万単位の経験値を手に入れている。
広範囲魔法1発で、30~50匹を殺せた。これは、これまでの洞窟状の場所と比較すれば、10倍以上の効率だ。
そして、1分と開けずにそれと同量のモンスターが、また集まってくれた。最高の『狩り場』だった。
問題の翼竜も、作戦開始1時間ほどで、全てを狩り終え、後は定期的に湧いた分がパラパラと飛んでくる程度だった。
これがMMORPGなら、直ぐに運営から修正プログラムが出されるレベルだ。
この4時間弱で、俺達4人は5万を越える経験値を入手していた。やはり『知力値』の高さから来るMP自然回復速度のおかげだろう。
自衛隊員達もレベルの高さを生かして、回復速度の速いHPを消費するスキルを併用していたが、スキルには魔法程の広範囲系攻撃が無い為、殲滅数は俺達には遙かに及ばなかった。
全ては予定通りに要っていたと思われたこの作戦だったが、終了間際に問題が発覚した。
それは、件の洞窟まで後100メートル地点と言う所まで達した時、洞窟に向かって移動して行く2匹のモンスターの姿を発見してしまったのだ。
これの意味する所は、その通路は深部へと続く通路では無く、出口へと向かう通路で有る可能性が高いと言う事だ。
これまでの経験上、『大氾濫』以降のモンスターは、人間の姿を見ない限り、分岐点等では確実に出口へと繋がる通路へと向かっている。
間違っても逆走したり、行き止まりである枝道へと向かう事はなかった。
俺達はその動きを確認して、意図せず一度として行き止まりへと突き当たる事なくここまで来たのだから、その事の確度は高いと思っている。
それから考えれば、あの通路は駄目だと言う事だ。
その為、目的以上の経験値を入手出来たものの、洞窟までたどり着いた俺達の表情は暗い。
だが、そんな俺達に新たな目標を示したのは、またぺんぺんだった。
ぺんぺんのペンペン攻勢に従って、指さす方向を見ると、先程と同じ様な距離にまた黒い影が見えた。
そして、今回はそれだけでは無く、更には離れた位置にもう一つ洞窟らしい影があり、両方をデボに確認してもらうと、2つとも洞窟だと分かった。
「と、言う訳で、取りあえずあそこまで行こっか」
碧のお気軽発言にため息を付きつつ、全員が再度移動を開始した。
そして、今度は幸いな事に、途中で奥側の洞窟からホールへと出て来るモンスターを複数目撃する事になった。
それによって、一気に活気づいた一団は、一気にその洞窟まで移動し、その場で『転移』分のMPを残して、それ以外のMPとHPをフルに使用して集まってきた恐竜型モンスターを狩りまくった。
最後のだめ押しとばかりに、殲滅を行った事で、更なる経験値を入手すると、その場から『転移』で駐屯地へと帰った。
状況報告に走る隊員を余所に、俺達はポテポテトと歩いて、昨日泊まったゲストルームへと入ると、入浴と食事を済ませ、後は泥のように眠った。
翌朝、昨日頼んでいたとおり必要数のジャンパーが揃えられていた。
ただ、このジャンパーの内、ダンジョン出入り口のポイントを持っている者は1名だけで、他は全員取り直す必要があった。
その為、先ず俺達4人がそのジャンパー達と共にダンジョン前へ転移した。
そして、何時ものように俺達が『壁』作りとモンスター掃討を行っている間に、ポイントを持っていない者は全員ポイントを記録し、送って来たジャンパーに連れられて帰って行った。
後は『壁』が完成した段階で、無線機で連絡を取り、全員が転移してきた。
そして、送って来たジャンパー達は、無線機を持って1人の『転移』を使って帰って行く。何があるか分からないので、『転移』を実行出来る数は残して置くに越した事は無い。例え片道分でもだ。
ジャンパー達が帰っていくのを確認すると、全員が水晶柱にてステータスをいじっていく。
今回は自衛隊員達も、パラメーターを上げられる者が多く居たようで、久々のパラメーターアップに狂喜していた。
そして俺達は、パラメーターを上げられるだけ上げ、残りの分をレベルアップに使った。
その上で、取れる同一系統の魔法やスキルを取った為、以下のような感じになった。
・氏名 鴻池 稔
・年齢 23歳
・Level 26(+10)
・生命力 900(+100)
・魔力量 900(+100)
・スタミナ 28(+1) +6(大地母神の指輪)
・筋力 28(+1) +8(力の指輪Ⅲ)+8(力の指輪Ⅲ)
・知力 35(+1) +4(賢者の腕輪)+4(賢者の腕輪)
・素早さ 31(+1) +9(音紋のブローチ)
・魔法 転移・サンダー・ボール サンダー・アロー
サンダー・ウォール サンダー・ストーム
レジスト・サンダー サンダー・インフェルノ
付与(パワー) 付与(スピード)
付与(インテリジェンス)★付与(スタミナ)
・スキル マップ 盗む 罠探知 罠解除 気配察知
飛燕 蓮華 瞬刃 ブースト(パワー)
ブースト(スピード) ブースト(インテリジェンス)
★ブースト(スタミナ)
ステップ 瞬歩 空歩 ★縮地 鍛冶
水中呼吸 水中移動 水中機動
・経験値 215
次回UPに必要な値(パラメーター) 16536(+8562)
次回修得に必要な値(魔法・スキル) 1217(+513)
・氏名 鴻池 碧
・年齢 20歳
・Level 29(+13)
・生命力 970(+130)
・魔力量 970(+130)
・スタミナ 34 +6(大地母神のカフス)
・筋力 25(+1) +8(力の指輪Ⅲ)
・知力 26(+2) +4(賢者の腕輪)+8(叡智の腕輪)
・素早さ 32(+1) +9(音速のネックレス)+6(瞬きの腕輪)
・魔法 錬金術 ファイアー・ボール ファイフー・アロー
ファイアー・ウォール ファイアー・ストーム
レジスト・ファイアー ファイアー・インフェルノ
ライティング レイ レイ・ボウ デバフ(パワー)
デバフ(スピード) デバフ(インテリジェンス)
★デバフ(スタミナ)
・スキル ステップ 瞬歩 空歩 縮地 鑑定
牙突 爆裂突き 輪舞 青龍破
呼び戻し 飛槍 投振破
水中呼吸 水中移動 水中機動 細工
・経験値 586
次回UPに必要な値(パラメーター) 16536(+8562)
次回修得に必要な値(魔法・スキル) 704(+118)
・氏名 鴻池 ぺんぺん
・年齢 3歳
・Level 30(+7)
・生命力 990(+120)
・魔力量 990(+120) +30(女神の雫)
・スタミナ 26(+1) +6(大地母神のカフス)
・筋力 24(+1) +10(インドラ神のタリスマン)
・知力 30(+1) +4(賢者のブローチ)+8(叡智の指輪Ⅲ)
・素早さ 26(+1) +6(瞬きのネックレス)
・魔法 アイス・ボール アイス・アロー
アイス・ウォール アイス・ストーム
レジスト・アイス アイス・インフェルノ
ウインド・プチブレス ウインド・ミニブレス
★ウインド・ブレス
付与(パワー) 付与(スピード)
★付与(スタミナ)
・スキル ステップ 瞬歩 空歩 縮地
爪斬Ⅰ~Ⅲ 旋風爪
水中呼吸 水中移動 水中機動
加重Ⅰ~Ⅲ
金剛 部分硬化 鉄人
・経験値 26
次回UPに必要な値(パラメーター) 16536(+8562)
次回修得に必要な値(魔法・スキル) 8146(+2490)
・氏名 鴻池 デボ
・年齢 3歳
・Level 28(+11)
・生命力 910(+110) +40(大地母神の祈り)
・魔力量 910(+110)
・スタミナ 23(+1) +5(絶倫のタリスマン)+9(ゼウスの耳飾り)
・筋力 22(+1) +4(力の指輪Ⅱ)
・知力 27(+1) +4(賢者のブローチ)
・素早さ 26(+1) +6(瞬きのネックレス)
・魔法 ストーン・ボール ストーン・アロー ストーン・ウォール
ストーン・ストーム ストーン・インフェルノ
ヒール ミドルヒール ハイヒール
エリア・ヒール エリア・ミドルヒール エリア・ハイヒール
クリア ミドル・クリア ハイ・クリア
雷神Ⅰ~Ⅲ 風神Ⅰ~Ⅲ
・スキル 超音波 怪音波 忌音波
HPドレイン MPドレイン Mixドレイン
天駆 宙駆 瞬転
斬翼 螺旋貫 ★翼舞
水中呼吸 水中移動 水中機動
擬態 光学迷彩 空
・経験値 163
次回UPに必要な値(パラメーター) 16536(+8562)
次回修得に必要な値(魔法・スキル) 8146(+1358)
今回は、修得出来る魔法やスキルが1つしかなかった碧が、一番多くレベルを上げられる事になり、元々高かったぺんぺんに近づいた。
そして気がつけば、レベルに関しては、俺が圧倒的に低くなってしまっている。
だが、まあ、良い。やっと俺も『縮地』を手に入れる事が出来た。『瞬歩』より格段に早く且つ長距離で使えるこのスキルは、やはり格段に使い勝手が良い。
もちろん、修得して直ぐは完全には使いこなせないだろうが、緊急時の回避行動などを考えれば無いと有るでは天地だろう。
今日の俺の目標は、『縮地』を使いこなせるように練習する事だ。
幸い『ブースト(スタミナ)』と言う『スタミナ値』を一時的に1.3倍にするスキルも修得したので、これと合わせれば、『縮地』発動時のHP消費率は格段に抑えられる。
その状態なら、HP消費を余り気にしないで『縮地』の練習が出来るだろう。
ブーストで思い出したが、出来れば俺は、後6レベルを上げて『Mixブースト』を修得したい。4種類のブーストを同時に掛けられるこれはかなり便利だ。
自衛隊員の中にも、このスキルを持っている者も多く、低いパラメーターをこれで補っている。
彼らより高いパラメーターの俺がコレを使えば、更に大きな力を発揮出来るはずだ。
昨日のあの狩り場で、2時間で良いから狩らせてもらえれば…なんて思ってしまう。無論、ただでさえ時間が無い現状ではそんな事は頼めないだろう。
それでも、取得経験値がレベル32にまで上げられる程溜まったら、途中でも村井陸士長に頼んで出入り口まで転移してもらおう。
そう決意しながら、俺達は昨日最後の地点で有る巨大ホールの斜面へと転移していた。




