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32話 三面楚歌

 更に時は巡る。


 物事ってのは、たいてい取っ掛かりが大変で、一定を越えると一気に進んだりする。

 俺達のダンジョンでの狩りもそうだ。

 元々、『攻略』を目指している訳では無いので、奥へ奥へと向かう気はサラサラ無かったのだが、気がつくと結構奥まで至っていたりする。

 RPG的に言うと、『隣町に行く前に、隣の大陸へ行けるだけのレベルにしてから』って感じでやっていた事が頭打ちにならずに進めた理由だろう。

 無論その為に、進行速度はかなり遅い物になっている。

 ただし、他のダンジョンと違い、『鴻池(こうのいけ)ダンジョン』は俺達だけの独占ダンジョンなので、最前線を他者と競う必要が無い。

 慌てなくても『宝箱』は待っていてくれる訳だ。

 だから、じっくり鍛えながら進んだのだが、気が付けばレベル50帯へと差し掛かっている。

 レベル50帯と言えば、完全に『下層』というカテゴリーに入っている事になる。

 もちろん、現時点ではダンジョンの終点は発見されていないので、終点のレベル帯が幾らか不明な訳で、『下層』の範囲は『46~』という形で未確定に成っていてる。

 ある程度すれば『最下層』というカテゴリーが追加されるかも知れない。

 現時点で、公式に公開されている情報では、レベル62までのモンスターが発見されている。

 そして、最前線はレベル60帯だと言う事だ。

 当然情報を開示せずに潜っている『冒険者』も居るだろうから、もっと奥に行っている者達がいても不思議ではない。

 だが、それでも俺達の到達レベル帯は、確実に上位ランクに入るであろう事は間違いない訳だ。

 俺的には全く望んだ状況では無いのだが、碧の「行ける所まで~」に引きずられて、気がつけば…と言う状況だ。

 まあ、実際致命的に危険な事は一度も無かったし、これ以上は無理と思った事も無かった。それ故に流されたんだよな…

 身の安全が確保出来ている状態なので、別段否定する材料もないという事でも有る。

 金銭的な面でも、月収は100万円を楽に越える事態となっている。

 だが、さすがそれは色々まずいと考えて、売却を控え、60万円前後の収入という形を取っている。

 その為、地下室の棚はポーション類や宝石、アクセサリーで溢れている状態だ。

 一時期からすれば夢のような状態だと言える。

 棚も1つでは足りなくなり、反対側の壁にも作ってある。そこも既に半分は埋まっている状態だ。

 もちろん大半は錬金素材で有り、売却出来ないモノなんだけどね。

 あと、ドロップ武器で、鉄系のモノは一定量溜まった時点で金属買い取り屋へと持っていって売却している。

 元々良質の鉄が使用されているらしく、一般の鉄くずよりも高く買い取ってくれる。

 まあ、価格的には大した金額では無い。売却の目的は、地下室内の片付けと言う意味が一番大きいかな。

 だが、これが『チタンの○○』とか『白金の○○』なんて武器とかに成るとまた話が違う。

 枯渇気味になっているチタンは地味に値が上がってきており、鉄などと比べものにならない価格で売れたりする。

 白金系の武器は、名前はともかく合金製で白金自体の純度は僅かでは有るが、それでも白金なので当然高額で売れる。

 その為、逆に目立ちすぎるために売却出来ずに地下室に置いたままになってしまっている。

 月に1回6時間程度しか潜らないヤツがそんなモノを手に入れられる訳が無い、と突っ込まれないための予防だ。

 ただ、来月からこの売却数は多少増やしていけると思う。

 なぜなら、先日碧が正式に『ダンジョン入場許可証』を手に入れたからだ。

 実際にダンジョンに潜り始めて、2年半以上経過してからの入手という他に類を見ない状況だと思う。しかもこの時点でレベルは60に達していたし…

 そんな訳で、来月からは『大阪ダンジョン』へと潜るのは2人で行けるため、収入もある程度増やしても怪しまれにくくなるって訳だ。

 無論、最初から増やさず、徐々に増やすつもりだよ。

 そして最終的には、月に100万円程の収入に成るようにして、貯金が2000万円を超えた時点で『冒険者』を止めるつもりだ。

 その頃には、売却していない品物はその数倍にのぼるはずだから、どうとでも成るはず。

 何はともあれ、今の生活を続けるのはマズいと思っている。

 俺はともかく、このままでは碧が嫁に行けなくなるのは確実だ。間違いない。断言しよう。

 それだけは、なんとか回避したい。それ故の制限としての目標値が『貯金2000万円』だ。

 現在でも600万円の貯金が有るので、そんなに先の話では無い。

 この貯金も、家の改築(縁側などのアルミサッシ化)などをしていなければもっと貯まっていたんだよ。

 現状、特に大金の必要なモノも無いので、あとは普通に貯まっていくと思う。

 俺達はどうやら、完璧に貧乏が身に染みついているらしく、小金持ちに成ったからと言って、やれ車だ、やれブランドバッグだ、やれ高級食材だなどと言うモノを買おうという気に全く成らない。

 その代わりに、銀行の口座残高だけは気になる…

 貧乏人が金を手に入れた際、成金に走るタイプと、ケチケチ生活を続けるタイプが有るらしいが、俺達は後者だったって事だ。

 故に、自動車は最初に買った、諸費用込み12万円の軽自動車を車検を更新して未だに乗っている。スクーターも以前のままだ。

 衣類に至っては、部屋着やインナーは、ダンジョン素材で錬成した服を着ていたりする。

 『アラクネ』と名付けられた蜘蛛型モンスターのドロップする『蜘蛛糸』を錬成して『聖白布』にして、それに虫型モンスターや植物型モンスターのドロップ品の『染色材』を使って『○○ローブ』や『○○インナー』に錬成して使っている。

 また、一部は碧がミシンで縫製し直して服を作ったりもしている。

 そんな感じなので、日常に使う衣類で購入するのは下着類だけで、間違ってもブランド系の衣類など買う事は無い。

 買わずに済ませられるモノは買わない、って事が俺達の中では当たり前になっている。消費社会を全否定する生活だよ。

 そんな訳で、未だに、1ヶ月で一番高く付いているのが『国民年金』の支払いだったりする。

 碧が二十歳(はたち)に成った事で、2人分になったから尚更だ。

 そんなケチケチ生活を信条としている俺達が、珍しく大金を支払って購入したモノが有る。

 それは、『納骨堂の権利』だ。たかが、40センチ程の幅しか無い納骨堂のスペースの権利が60万円だったよ。

 正直、なんじゃそりゃ!と思ったが、今住む自治体周辺では相場らしい。しかも、元の持ち主が引っ越しのためたまたま空いたモノで、次に何時空くか分からないと言う状況だった。

 一晩2人で悩んだあげく、買ってしまった。この納骨堂って、権利を大金で買った上に、年ごとの管理費まで取るらしい。年2万円だとさ。

 ぱっと見、200以上の納骨壇が有ったので、管理費だけで年400万円は取れるって事だ。しかも税金は掛からないんだっけ? 坊主丸儲けって言葉を実感したよ。ケッ!

 何はともあれ、荼毘(だび)()してから2年近く経ってでは有るが、やっと納骨が出来たので最大の懸案事項が解決した。

 これで、家、納骨、小屋、貯金と言うダンジョン外での問題点は全て片づいた。

 あとは、俺と碧のそれぞれのパートナーを探すという件があるだけだ。ま、俺は気長に行くよ。


「はい、デボ万歳」

 碧の指示で両翼を上気味に上げたデボに、碧は皮鎧を装着していく。

 俺は、ぺんぺんの身体に皮鎧と手甲(足甲?)を装着していく。

 この防具類は、碧の『錬金術』で錬成した人間用皮鎧を、手作業でデボとぺんぺん用に仕立て直したモノだ。

 ダンジョン内では様々な魔法効果が発揮されて加工が出来ないのだが、一旦ダンジョン外に出ると『加工しづらい皮』というレベルでなんとか加工出来る。

 その性質を利用して、2人掛かりでせっせと縫ったんだよ。加工用の糸は『アラクネの蜘蛛糸』を使い、皮加工用の道具も2セット買っての作業だった。

 その鎧には、各所にマジックアイテムも縫い付けてある。指輪やネックレスという形のモノを、余分な鎖などを外し機能の中心だけを装着した。

 『シールドリングⅡ』『MシールドリングⅡ』『疾風のネックレス』『破毒のペンダント』『疾風のカフス』『鬼人のタリスマン』などだ。

 このダンジョンのシステム上は、同一装着場所のアイテムは指輪以外は3つまで装備可能で、指輪のみ計10個と成っている。

 指(?)の数が人間と違うデボとぺんぺんの場合、指輪の数がどう成るのかは現時点では不明だ。

 現状指輪系は6個しか無く、その全て6個までは正常に機能する事は確認している。

 ぺんぺん達の装備は、それらのマジックアイテムと、鎧自体の魔法効果で結構な防御力を発揮する様になった。

 ただ、碧の『錬金術』で作れる防具が、『皮鎧』系と『甲殻鎧』系だけなので、さすがに頭打ち状態に来ている感はある。

 『甲殻鎧』は俺と碧は使えるが、ぺんぺん達用に仕立て直しは無理だからね。ぺんぺん達には『皮鎧』しか選択肢が無い事に成る。

 もう少しは上の性能の『皮鎧』が錬成出来るとは思うけど、対応限界が近い気はする。

 そんな限界が見えかけたら、それ以上奥に行かないようにするつもりなんで、問題は無いんだけどね。

「よし、装備出来たぞ。変な所は無いか?」

 ペン

 大丈夫なようだ。碧とデボの方を見ると、あっちも終わったようで、デボは既に碧の頭の上に乗っていた。

 ぺんぺんを俺の左肩に乗せ、水晶柱の所へと移動する。

 そして、碧の手が俺の右肩に乗ったのを確認して『転移』を実行し、昨日ポイントして置いた『部屋』へと瞬間移動した。

 この『転移』の際は、俺と碧は反対の方向を向く形を取っており、他の2方向はぺんぺんとデボが見ている。

 当然、抜剣状態でモンスターが眼前に居ても直ぐに対応出来る状態にした上でだ。

「5匹!」

 転移直後碧の声が響く。

 俺の向いていた『部屋』の出口方向にはモンスターの姿は無かったが、碧の向いていた『部屋』の奥側に5匹居たようだ。

 肩からぺんぺんが飛び降りるのを感じながら、俺も振り向く。

 高速化された思考速度で、スローモーションのように見える状態で、目視を優先すべく身体全体の振り向き以上に、首を最大限回して(くだん)のモンスター達を視界に入れる。

 視野角の影から現れたのは、『フェンリル』と名付けられた体長2メートル程の真っ白な長毛犬だった。

 俺が全体を視界に入れた時には既に、碧の『龍槍』が一匹の口内から斜め上に突き立てられており、デボの上空にはストーン・アローが起動していた。

「飛燕!」

 俺は振り向く動作をそのまま利用して、剣用スキルの『飛燕』を放つ。

 『飛燕』はゲームなどで良く有る風魔法の『ウインド・カッター』の様なモノが斬撃という形で飛ぶ遠距離攻撃型スキルで、3つの斬撃が飛ぶ。

 俺のチタン製ロングソードから放たれた斬撃は、1匹のフェンリルの顔を半分切り裂き、別の2匹にも肩と右足に深いダメージを与えた。

 振り向いた際の慣性を殺さず、前進する方向のベクトルを生み出し切り込もうとするが、その必要は無かった。

 ぺんぺんとデボの魔法が止めを刺していたからだ。

 ぺんぺんは相変わらず、射線の取り方が上手い。魔法一発で最低2匹は殺せる射線を取る。

 俺やデボのように焦って先ず手近なヤツに攻撃、って形は絶対に取らない。冷静に効果的な所を狙って、ズドンだ。結果としてはそっちの方が早く且つ安全なんだよ。その上MPの消費も少ない。

 俺もそうしたいんだけど、なかなか出来ない。モンスターが停止していれば俺でも簡単だけど、そんな場面なんてほとんど無い。

 と成れば、バラバラに動くモンスター数匹の未来位置を予測して、その軌道が重なる射角を見つけ、そこに移動して魔法をそのタイミングを見越して放つ必要がある訳だ。

 ……俺には無理だったよ。よっぽど鈍いモンスターの集団なら出来るけど、フェンリルのような高機動系のモンスター相手に3匹を一撃でなど絶対に無理だ。

 俺の『飛燕』は放射状に斬撃が3つ飛ぶから、ある程度の照準で放てるけど、ぺんぺんの場合アイス・アロー一発でだからな。

「はい、おつかれ~」

 碧の声を期に、ドロップ品を回収していく。魔石と『毛皮』だけだ。『毛皮』は4つを錬成して『大きな毛皮』にすればそれなりの値段で売れる。

 光を浴びると、真っ白な毛先がキラキラと輝くため、ニーズは結構あるらしい。製品自体はミンクなどより高いとか。

 ちなみに、(うち)では縁側に有るぺんぺんとデボの寝床一帯の床に敷いて有る。

 最初は絨毯のように使えないかと思ったんだけど、毛足が長すぎて使えなかった。

 毛皮のコートなんかを作る予定はない。と言うか、作っても着る機会が全く無いんだよ。

 基本、ダンジョンに潜っているか畑仕事をしているかだし、外に行くと言ってもディスカウントストアか『大阪ダンジョン』に行くぐらいだ。何時そんなのを着るって言うんだ?

 って事で、今は地下室にて『布団圧縮袋』に詰めて保管してある。3ヶ月程経ったら売りに行く予定だ。

「マップ、罠探知、気配察知、…右曲がって30メートルに1匹居るな、良し行こうか」

 やる事は以前と同じだ、既知のエリア7割、未探査エリア3割でやっていく。この割合がここ2年間の定番だ。

 このダンジョンには、いわゆるフロアボス的なモンスターは存在しない。つまり、行こうと思えばいくらでも深く潜れる訳だ。

 故に自分で活動範囲を決めて、それに従って行かないと、気がつけば対処不能な状況に陥る事になる。

 俺達は今のところ、それが出来ていたって事だな。

 この日も、その自分たちで定めた決まりに従って狩りを続けた。

 そんな俺達の眼前に、初めての光景が現れた。

「……何ここ」

 碧の呟きに俺は答える事が出来なかった。それだけ呆然としていたんだ。

 この場所まで、このダンジョンはず~っと鍾乳洞だった。多少広くなっている所や狭い所もあったが、基本は幅5メールほどの鍾乳洞で、それ以外の風景は全く無かった。

 ゲームのように各フロアーごとに全く違うとか言う事も無く、延々と同じような水なし鍾乳洞だった。

 だが、今眼下に広がっている光景は、『森』だ。

 『眼前』では無く『眼下』だ。つまり、俺達はその森を見下ろす高台に居る訳だ。

 そこは、これまでの狭い洞窟とは全く違う、広大な広さを持つ空間だった。

 正確には分からないが、森の反対側にある壁まで1キロはあるだろう。

 その広大な空間は、長径1キロ、短径600メートル、高さ100メートル程のドーム状だった。

 そして、俺達の居る洞窟の出口が、森の地面から30メートル程の位置にある壁面に繋がっていた。

「お兄ー、どうする?」

「……取りあえず、様子を見てから降りよう。俺の気配察知の範囲は40メートルだから、ほとんど下は分からないんだよ」

 現在位置は地上高(?)30メートル程だか、洞窟周辺の岩で出来た壁面は20度から30度の角度で傾斜しており、森はギリギリ40メートルの範囲外になってしまっている。

 つまり、何か居ても感知出来ないと言う事だ。

 これが今までのようなエリアだったら、なんとでも対処出来ると思えるのだが、ここまで情景が変わっているとどんなモンスターが居るか分からない。

 何より、今までの常識がそのまま通じない可能性すら有る。もちろんそれは考えすぎだとは思うが、最悪の事態を想定して掛かるのが大切だと俺は考えている。用心に越した事は無い。

 別段焦る必要も、慌てる必要も無いのだから。それどころか、この先に行く必要すら無い、と考えれば、これ以上無いと言うぐらい冷静にモノを考えられる。

 俺達は、眼下の森や遠方をしばらく観察し続けた。

 ペンペンペン

 森の中を見ていた俺の頬がぺんぺんから叩かれた。ぺんぺんとデボには空中を見てもらっていたので、視線を上空に変えると遠方に小さく茶色の物体が見えた。

「鳥か?」

「うん? 何かいた?」

 しばらくじっと見ていると、それは徐々に増え、10匹以上になっている。

 そして、その中の数羽がある程度こちらに近づいた事で、なんとか形状が分かった。

「翼竜ってヤツだな」

「何かそのままの名前だね」

「あ、違う、違う、ダンジョンモンスターの名前じゃ無くって、恐竜の翼竜にそっくりだなって事。トゥプクスアラの想像図にそっくりだ」

「何その、とぅー何とかって」

「歯の無い翼竜で、確か発見は南米だったと思う。頭にカラフルな鶏冠(とさか)みたいなのがあるだろ? アレも特徴」

 問題は、あのモンスターの情報を俺が知らないと言う事だ。恐竜好きの俺は、恐竜型のモンスターは全て知っている。

 さすがに全てのデータまで網羅しているとまでは言わないが、登録されて居るか居ないかはハッキリ分かっている。

 つまりあのトゥプクスアラっぽいモンスターは、未登録モンスターだと言う事に成る。

「碧、ぺんぺん、デボ、あの翼竜は、高確率で未登録モンスターだ。少なくとも俺はデータを持ってない。だからどんな魔法やスキルを持っているか分からないから、何時でも逃げられる準備をしとけよ」

「まじぃ?」

 碧も流石に状況を理解したのか、表情が少し引き締まった。

 先程まで地面に降りていたデボは、俺の右肩に飛び乗ってくる。

 両肩に重みを感じながら、トゥプクスアラ擬きを観察し続ける。

 基本的にダンジョンモンスターは、捕食を行わない。ただダンジョン内を闊歩(かっぽ)して、入って来た人間などを殺すだけだ。

 故に、飛び回っているトゥプクスアラ擬きも、鷹やトンビのように獲物を捕まえようとダイブする様な事は無い。

 結局その飛行風景から何ら新しい情報は得られなかった。ただ飛んでるだけだからね……

「アレってさ、どれ位の大きさだと思う?」

「あの距離であの大きさなら、胴体部分の長さだけで2~3メートルはあるんじゃ無いか? 翼長で言ったら5~6メートルとか」

「…あのさ、アレってワイバーンとかじゃないの?」

 ワイバーンか、今のところ、そう名付けられたモンスターは居なかったはず。

「ワイバーンは、顔はトカゲだったはず、アレはどう見ても鳥系だろ?」

「クチバシ有るね。…じゃー、ワイバーンじゃ無いんだね。竜種だったらどうしようと思ってさ」

 なるほど、碧の心配はそれだったのか、確かにワイバーンは竜種にカテゴライズされてるよな。亜竜扱いが多いけど、竜は竜だ。

 まあ、このダンジョンの竜がゲームや小説のように『最強種』とは限らないんだけど、今までのモンスターの経緯を見ると、外観とそのレベルがゲームとほぼ一致しているから、竜種が異常に強い可能性は有る訳だ。

「と言う訳で、選択肢は2つだ。1、警戒しつつこの森に入る。2、戻ってここまでのエリアで稼ぐ。どうする。俺は2を勧める」

 俺がそう言うと、何故か碧は俺の両肩からデボとぺんぺんを地面に下ろした。

「1がいい人、はい!!」

 突然碧がそう言って右手を挙げた。

 次の瞬間、碧の両翼に居たデボの右の翼と、ぺんぺんの右前足がシュタッと上がった。

「……2がいい人」

 そう言って俺が手を上げるが、当然他に手は上がらない……

「はい、決定!!」

 どうやら、俺に味方は居なかったようだ。

 どうしよう。

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