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30話 電気工事には資格が必要です

「お兄ー、爆裂突き取って良い?」

「ああ、良いぞ。ただし、これ以上深く潜らなくて良ければな」

「えぇー!!」

 ブーたれる碧を無視して俺は装備を外す。

 『爆裂突き』は槍用スキルで、突き刺した部分から無属性の爆発が発生する。槍用スキルとしては結構使えるスキルだ。

 レベル制限的にもとっくにクリアしており、修得しようと思えばいつでも取れる。

 ただし、例の3倍の問題があるため取らさないようにしている訳だ。

「最低限、全部のパラメーターが20を越えるまでは駄目だぞ。20を越えれば、後はユーザースキルしだいで結構何とか成るらしいからな」

 俺は後2ポイントずつ『スタミナ』と『筋力』に振れば目標を達成する。だが碧は……

 取りあえず、現在の俺達のステータスはこんな感じだ。


  ・氏名 鴻池 稔(こうのいけ みのる)

  ・年齢 21歳(+1)

  ・Level 18(+2)

  ・生命力 180(+20)

  ・魔力量 180(+20)

  ・スタミナ 18(+2)

  ・筋力 18(+1)

  ・知力 21(+4)

  ・素早さ 20(+3)

  ・魔法 転移・サンダー・ボール サンダー・アロー

      サンダー・ウォール サンダー・ストーム

  ・スキル マップ 盗む 罠探知 罠解除 気配察知

  ・経験値 625

    次回UPに必要な値(パラメーター) 9747(+8177)

    次回修得に必要な値(魔法・スキル) 142(+61)


  ・氏名 鴻池 碧(こうのいけ みどり)

  ・年齢 18歳

  ・Level 16(+2)

  ・生命力 180(+20)

  ・魔力量 180(+20)

  ・スタミナ 14(+1)

  ・筋力 15(+1)

  ・知力 15(+2)

  ・素早さ 21(+1)+3(疾風のネックレス)

  ・魔法 錬金術 ファイアー・ボール ファイフー・アロー

      ファイアー・ウォール ファイアー・ストーム

  ・スキル ステップ 瞬歩 空歩 縮地 鑑定

  ・経験値 8092

    次回UPに必要な値(パラメーター) 11583(+6929)

    次回修得に必要な値(魔法・スキル) 250(+77)


  ・氏名 鴻池(こうのいけ) ぺんぺん

  ・年齢 0歳

  ・Level 17(+1)

  ・生命力 170(+10)

  ・魔力量 170(+10)

  ・スタミナ 15(+3)

  ・筋力 15(+2)

  ・知力 20(+3)

  ・素早さ 15(+2)

  ・魔法 アイス・ボール アイス・アロー

      アイス・ウォール アイス・ストーム

  ・スキル ステップ 瞬歩 空歩 縮地

  ・経験値 157

    次回UPに必要な値(パラメーター) 10524(+8826)

    次回修得に必要な値(魔法・スキル) 40(+7)


  ・氏名 鴻池(こうのいけ) デボ

  ・年齢 0歳

  ・Level 17(+5)

  ・生命力 170(+50)

  ・魔力量 170(+50)

  ・スタミナ 13(+5)

  ・筋力 12(+4)

  ・知力 17(+5)

  ・素早さ 15(+6)

  ・魔法 ストーン・ボール ストーン・アロー ストーン・ウォール

      ヒール ミドルヒール エリア・ヒール

  ・スキル 超音波 怪音波

      HPドレイン MPドレイン

  ・経験値 8

    次回UPに必要な値(パラメーター) 9885(+9629)

    次回修得に必要な値(魔法・スキル) 84(+26)


 ご覧の通り、碧は最低でも後16ポイントが必要だ。それでいて、次にアップするために必要な経験値が11583だから、当分先になるだろう。

 あと、ぱっと見、ぺんぺんとデボのパラメーターに対しての次回に必要な経験値数が碧と大差ないように見えるが、それは元々のパラメーターが10以上低かったからだ。

 その後アップしたポイントは、圧倒的に二人の方が多い。特に、元々3とか4程度しか各パラメーターが無かったぺんぺんは、身体の成長で増えた分が有ったとは言え、圧倒的に少ない状態から今の状態に成っている。

 碧の初期からの成長分は25ポイント、ぺんぺんの成長分は40ポイントだ。それでいて、この次回アップに必要な経験値の値……

 計画性が、いかに大事かと言う事だよ。ご利用は計画的に。

 そんな感じで、碧の無計画性をなじりながら地上へと出たる。

 寒の戻りと言うには少し早いが、しばらく暖かい日が続いていたのが、数日前よりまた10度を下回る気温となっている為、汗だくの身体が一気に冷えてしまう。

「さっぶい!」

 そう言うと、碧は足下を駆けていたぺんぺんを捕まえるやいなや、胸に抱きしめてわずかばかりの暖を取る。

 汗で湿ったシャツに押しつけられたぺんぺんは、抗議のペンペン攻勢を碧の腕に掛けるが、碧は無視して立ち止まったまま震えている。

 とっとと家に入れば良いだろうに。全く…

 そんな無駄なことをしている碧を無視して、俺は肩にデボを乗せたまま家へと入っていく。

 デボは余り寒さは気にしていないようで、震えたり身を寄せてきたりもしない。

 方やぺんぺんは、家に居る際はたいていコタツに入っている。ホント、この子は猫なんじゃ無いかと思ってしまうよ。

 そう言えば、犬ってウィキさんいわく『ネコ目、イヌ科、イヌ属』らしい。大本は一緒って事なのかな? そう考えれば、ぺんぺんがネコっぽくても不思議じゃ無いのかもしれない。

 まあ、それ以前に、モンスターの可能性も否定出来ないんだけどね…

 家に帰ると、先ず服を全て着替える。ホントは風呂にも入りたいのだが、午後からまだ作業があるので夕方までお預けだ。

 その後、碧と一緒に昼食を準備して食べる。

 以前と違って、格安品や見切り品だけを使った食事では無く、普通のグレードのモノを使った食事に変わっている。

 実際は、月収50万はあるので豪華な食事も取れるのだが、身に染みついた貧乏性は取れず、未だに『普通』ランクが精一杯だったりする。

 パンとかも、ついつい一斤80円以下のモノを買おうとしてしまうし、タマネギも3玉100円以上だとためらってしまう。

 肉類も、無意識にオーストラリア産の安物や、『特売』シールの貼ってある品に目が行ってる状態だ。

 ダテに20年以上貧乏生活してないよ。

 まあ、総菜屋という職種上、食生活だけは悪くなかったんだけどね。なんせ、売れ残りの総菜が何時も食卓に上っていたから。

 今日の昼食はスパゲッティのナポリタン。トマトペーストなど使わない、トマトケチャップで作る貧乏スパゲティだ。

 時間が無いので、挽肉なども使わず、ウインナーソーセージで代用する手抜きでもある。安上がりだし。

 ……お金に余裕が出てコレだと言う事は、以前はどうだったんだ? って話なんだが、豆腐…食べ飽きたよ。

 ちなみに、収入の大半は貯金している。先だって『確定申告』も済ませた。

 なんせ、収入のほぼ全てが『貴金属買い取り店』への売却益なので、完全に記録として残っている。

 一昔前なら、マイナンバーが無かったので、なんとか出来たかも知れないが、今は簡単にバレるらしい。

 そう言えば、マイナンバーを未だ反対する者達の大半は、この脱税が出来ない事が理由らしい。

 それ以外は、他人の身分を詐称して生活していたり、複数の自治体から生活保護をもらっているような者達も反対していたとか。

 確かに、普通に生活している者には全く問題ない制度なんだよね。ナンバー管理がイヤだの、情報の流出がどうのと言うのは、大半は建て前なんだろう。良く有る構図だよね。

 ま、俺達はマジメに納税しますよ。なんせ、『ダンジョンの個人所有』というスネに傷持つ身ですから。マルサ(死語?)に来られると困るからね。

「昼からど~するの?」

「あっ、そうだ。電気配線のつなぎ替えをするからな。多分3時ごろに成ると思うから、その時間ブレイカーを落とすから、電気が使えないから気を付けてな」

「了解。3時ごろなら大丈夫。天上踏み抜いたりしないでね。あと、ゴミ落とさないでよ」

 数日前から、懸案となっていた天井裏の電気配線の張り替えを実施している。

 古くボロボロになっているIV線によるガイシ引き布設を、VVFケーブルに新設し直しだ。

 現段階で8割方の布設は終了している。残りは奥の2部屋のコンセントへの配線布設と、新設の配線と旧配線のつなぎ替えだけと成っている。

 ちなみにこの工事は、VVFケーブルをブレイカーの部分から天井裏を這わし、部屋ごとにジョイントボックスで分岐して、今の配線と並べて出してるだけの事だ。

 何でも、VVFケーブルは天井裏に布設する際は、固定せずに這わすだけでも良いらしいのだが、俺は『ステップル』というデッカいホッチキスの針のような物で柱に固定した。

 室内のコンセントは、古い家なので埋め込み式では無く露出で、配線もステップルで打ち付けられていたので、その横にだらりと垂らした状態で置いてある。

 布設済みの配線には新しいコンセントも付けた状態になっている。黄ばんだ古いコンセントと、横にぶら下がっている新しいコンセントの乳白色が全く違って見える。

 古い配線を撤去して、新しい配線を固定すれば、見た目だけでも確実に我が家の文明度は上がるだろう。

 と、言う訳で、天袋から工具を入れたリュックを持って天井に上がる。

 一応、工事初日に天井裏の全面に掃除機を掛けた。だって、あんまりにもホコリが多すぎたんだよ。大きな蜘蛛の死体とかもゴロゴロ有ってさ、仕事が出来る環境じゃ無かったんだよね。

 結局、昼からの半日とは言え2日間を天井裏の掃除に費やした。

 実際は傷んでいて、掃除機で吸うだけで壊れた天井板の張り替えも有ったから、2日も掛かったんだけどね。何はともあれ大変な作業だったよ。

 その上、碧からは、「ホコリが下に落ち出来てる!!」と散々文句も言われた。電気工事屋さんって大変なお仕事なんだな、と思い知ったよ。実際の工事前から…

 その後は、ボロボロになって一部銅線が見えているIV線に触れないようにVVFケーブルを柱に打ち付けていく。

 ステップルは余り強く打ち付けると、VVFケーブルの中の銅線を痛めるので注意が必要らしい。ハンマーで打つ際も、ケーブルを打たないようにしつつ食い込まないように止めていった。

 以前、地下室内に電気配線を布設した時は、壁がコンクリートだったのでPYプラグをコンクリートドリルで開けた穴に打ち込まなくては成らなかったけど、ハンマーで釘を叩くように布設出来るのでかなり楽だった。

 あとは、各部屋ごとにジョイントボックスを設置して、圧着端子を使って分岐し、きっちりビニールテープで絶縁もしていく。

 元々の各部屋の天井灯は、古いままでコンセントや白熱電球ソケットにコンセントアダプターをはめた物が使われていた。それを今回の工事を機に、一般的なアタッチメント型を横に布設して、照明も全てLED照明に置き換える事に成っている。

 LED照明だけで、全部で10万円近くなったが、全て国産メーカー品で揃えた。

 買った時、『ああ、金持ちになったんだな~』と実感したよ。だって、まだ使えるのに新しい物に交換だぞ。今までなら絶対に考えられないんだよ。我が家では。

 そんな感じで今日は残りの作業をする訳だ。

 天井裏を(はり)を伝って移動し、奥の部屋へと設置されている既存のコンセント配線部分に新たな配線を通していく。

 元々長さは測ってあるので、20センチ程余裕を持って天井穴から部屋へと下ろし、反対側はジョイントボックスへと結線する。

 天井穴の直近部分は固定せずに、下で余った分を天上裏に上げられるようにする。

 この作業をもう一ヶ所して、取りあえず天上裏での作業は終了だ。

 アオダイショウのように天上の(はり)を伝って降りて来ると、先程下ろした2つの配線に新規のコンセントを取り付ける。

 一応長さを確認するが、別段問題は無い。OK、OK。

「碧、ブレイカー落とすぞ」

「あれ、早かったね。こっちは良いよ」

 碧は縁側で洗濯物を畳んでいた様で、アイロンなども使ってはいなかったため、直ぐにOKが帰ってきた。

 ちなみに、ぺんぺんは碧の横で日向ぼっこ中だ。デボは庭を駆け回っている。立場逆じゃね?

 そんな家族達の様子を横目に見ながら、LEDヘッドライトを頭に装着すると、ブレーカーが配置された所へと行き、大本と個別のブレーカー全てを落とした。

 この家は、台所とその他の部屋が別系統になっていて、それぞれに小さなブレイカーが設置されていた。

 しかも古いタイプなので、今の物と違い線を差し込むだけで無く、マイナスねじで締めないといけない。

 マイナスだよマイナス。今時マイナスのネジなんて見ないでしょ。マイナスドライバーなんて、ねじ回しでは無く隙間に差し込んでこじこじするモノだよ今では。

 それが家には大量に有ったんだよ。ブレイカーはもとより、コンセントを壁に固定している木ねじも全てマイナスねじだった。時代を感じるよ…

 そんな感じで、細かな所がネットで調べた現在の物と違って、結構戸惑ったりする。

 最初はブレイカーごと交換しようと思ったんだけど、どうもメインのブレイカーは電力会社の管轄みたいで、勝手に交換したらいけないらしい。

 対応アンペア数で基本使用料が決まるから、勝手に交換してもらったら困るんだろう。

 そんな訳で、古いままのブレイカーから旧配線を外し、新しい配線を繋ぎ込む。

 その配線は、キチンとU字型の圧着端子を付けてある。以前地下室の電気配線をした際の余りだけどね。

 つなぎ替えを終えたら、一旦このままでブレイカーを入れる。スイッチオン、オン、オン。

 子ブレイカーから入れて、親ブレイカーを入れたのだが、どうやら問題無かったようでスイッチは入ったままになった。よしよし成功。

 念のためにもう一度ブレイカーは落として、次の作業に移った。

 旧コンセントを引っぺがして、そこに今ぶら下がった状態の新しいコンセントを固定する作業だ。

 と言う訳で、またマイナスドライバーの出番ですよ。正確に言うと貫通ドライバーという、ハンマーで握り部分を叩いても良いドライバーね。普通のヤツだと握りが壊れるから。

 そのマイナスドライバーをステップルとVVFケーブルの間に打ち込み、こじって柱から抜いていく。

 コレが、結構な数で固定してあるから時間が掛かる掛かる。更に、コンセントの数も多いので尚更だ。

 結局全てのコンセントをやり終えたのは、午後4時半を越えていた。

 旧コンセントは、天井付近でケーブルを切断して有る。それは明日、天上裏の配線と一緒に撤去する予定だ。

 俺がコンセント周りをやっている間に、碧は天井灯の付け替えをやっていた。

 旧蛍光灯を全部外し、その上で天上に設置してあったコンセントや白熱電球様ソケットも全て外して、根元からケーブルも切断させた。

 そして、完全に撤去されたあとに、LED照明を新しく設置してあった専用アタッチメントにはめ込んで設置完了だ。

 俺の方の作業が全て終了した時点で、ブレイカーオン……問題なし。

 その後、各部屋のLED照明をリモコンで入れていく。問題無く付いた。

 だが、同一メーカー、同一型番の物を使用した関係で、連動してしまう所が出てしまい、マニュアルで設定を変えて個別に点くように調整が必要だった。

 照明の確認と設定が終わったら、各コンセントをテスターで調べて周り、ちゃっんと電気が来ているかも調べた。全て問題は無かった。

 実際、作業している間にも、2つの配線がショートしていないかは随時確認していたので、結線上のショートは心配していなかったけど、ステップルで固定する際に傷が付いてショートする可能性と、結線し忘れて断線している可能性があったんで、テレビなどのコンセントを繋ぐ前に全てチェックした訳だ。

 まあ、ショートしてれば、ブレイカーが落ちるはずだから、落ちていない以上は問題無いはずでは有るんだけど、全ては『念のために』という精神でだ。

「すんごく綺麗になったね!」

 碧が天井灯を見ながら、浮かれた声を上げている。

 実際、今までの垂れ下がった天使の輪が縦に2つ並んだような照明から、ドーム型の天上にへばり付いたタイプに変わったことで見た目は圧倒的に良くなった。

 更に、照明自体もかなり明るく、それでいて以前の消費電力よりも低いらしいから言うことない。

「…綺麗になったよ。()()はな。なまじ明るくなったせいで、室内の古さが分かるようになった気がしないか?」

 照明の位置が上がり、実質全面が光に照らされるようになった関係で、今まで光りが強く行かなかった所まで明るくなっており、そこの汚れ具合が目に付くようになっている。

「あー、確かに、それは有るね。次は壁紙でも貼る?」

 壁紙か、張れる場所は限定されるけど、張れる所は張れば大分変わってくるかも知れない。

 板が縦に並んでいる壁は、一旦薄めのコンパネを貼り付けた上でやれば行けるかな?

「壁紙やるか。一部屋ずつやっていけば変な手間は掛からないだろうしな」

「うん、うん。ちょっとずつね。簡単そうな部屋からやって、台所とか難しそうな所は最後に」

 お、碧の分際でちゃんと考えてるじゃ無いか。珍しい。

「こうやって見ると、畳も気になるな…」

 今までも古いことは分かっていたんだけど、更にハッキリと見えるようになって気になってしまった。

 かなり変色しているし、すり切れているのが分かる。

「畳、結構高いよ。前調べたら、並レベルで1枚7千円から1万だよ。全部換えたら30万円は楽に飛ぶよ」

 畳って、畳表だけ換えるとかすればそれなりに安いはずなんだけど、ここまで古いと新替だよな……

「壁紙終わった当たりで、収入しだいで考えるか」

「ルビーとか、金の欠片とかが手に入ったらやろ」

 アイアン・アントは今のエリアにはほとんど居ないから、少し戻らないと行けないんだよな。

 今のエリアで、宝石系を落とすのは『ガーゴイル』だけでど、『アメジスト』なんだよ… 値段的には『ルビー』より格段に落ちるし。

 『ミミック』が出始めているから、何か良いドロップが出る可能性も無い事は無いけどね。運の問題だから、あんまり期待出来ない。

 アイアン・アント(女王)も『ルビー』を落とす確率はムチャクチャ少ないから、期待は出来ない訳で、その為にバックするのは余りにも非効率的だと思う。やっぱり止めよう。

「良い臨時収入が入ったら、ってことにするか」

「で良いと思うよ」

「さてと、んじゃあ、風呂焚きますか」

「分かった、私夕食作るね」

 一応、予定らしき物が出来たことで、気持ちを切り替えて日常生活に戻る。

 やるべき事は幾らでも有る。その中でも日常生活のルーチンワークは欠かす訳には行かない。

 飯の準備、掃除、洗濯、ゴミ捨て、畑の水やり、草取り等々…

 生活の質を上げる作業をしつつ、生活を維持するための作業を毎日続ける訳だ。

 各家によって、『生活の質を上げる作業』の中身は違うのだろう。

 一般の家庭では『会社での勤め』『DIY』とかで、家の場合は、それが『ダンジョンでの狩り』で有り、『家の改修』な訳さ。

 根本的な所は同じだと思う。目的は、より良く生活する、と言う事だ。それだけのためにやっているに過ぎない。

 結果はどうあれ、そう思って生活していたんだよ。この時は。

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