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29話 経過報告

 あのアイアン・アント遭遇戦以降、結構な時が経過した。その経過報告をしよう。

 流れとしては予定していたとおりではある。


 先ずダンジョンの攻略は、徐々に徐々にと言う形で進んでいった。

 当初は、直ぐに頭打ちになるだろうから、その時点でパラメーター上げを実施して、十分な強さを身につけたらその先へ行く、と言うやり方を取るつもりだった。

 だが予想に反して、結構奥までそのまま進めてしまい、気がつけばここまで来ていた。

 無論、サクサクと新規エリアへと進んだ訳では無く、以前と同様に既知のエリアをメインとしながら少しずつ未探査エリアを探索すると言う方式だった。

 その方法が良かったのか、長期間そのままの方法で進む事が出来た訳だ。

 取得経験値も、モンスターレベルの平均が10を越えるエリア帯に入ると、一日に一人当たり300~350は入手出来るようになり、更に奥の平均レベル15帯に成ると450~500と成り、レベルアップやパラメーターアップもある程度容易になった。

 もちろん、その分アップするのに必要な値もドンドン増える訳ではあるが、以前よりは確実に短い日時で上げられるようには成った。特に碧はね。

 そして月収だが、バラツキは有るモノの少なくとも40万円を切る事は無くなった。

 正直、俺はこのエリア帯でそのまま狩りをすれば十分だと思ったのだが、碧が聞かない。

「無理なら止めるけどさ、行ける所まで行こ~よ~」

 なんて言ってきた。

 そう言われると、確かにその時点では余裕が有ったのも事実だった。

 だから俺もついついそれに同意してしまった訳だ。

 無論、無理は絶対にしていないよ。普通のRPGだったら獲得経験値が1とか2程度になるようなレベル帯で、尚且つ油断しないようにやった。

 そんな感じで気がつけば、希にレベル20のモンスターが現れるような所まで来ている。

 通常、レベル10までを『表層部』と呼び、その後レベル45までを『中層部』と呼んでいる。

 つまり、中層部の1/3近くまで来ていると言う事だ。

 ただ、コレはあくまでもモンスターのレベル基準で考えたモノで、実際のダンジョンの広さとは別物だ。

 各ダンジョンによってモンスターの分布はバラバラで、『中層部』がやたらと広かったり、逆に狭かったりもする。

 (うち)の『鴻池(こうのいけ)ダンジョン』がどう言う分布なのか分からない。

 どっちにしろ、俺達に関係があるのは『モンスターの強さ』と『罠の種類』なので、広さは余り意味は無いんだよな。

 ちなみに、『(トラップ)』は中層部に入って間もなく出て来た。

 先ず、『アラーム』。ドデカい音が出るだけのトラップなんだけど、その音を聞いた周囲のモンスターが集まってくるって言うヤツだ。

 次いで、『落とし穴』。落とし穴と言っても最初の段階のモノは深さ自体は40センチ程で30×30センチと狭い物では有るが、ある程度の速度で移動中ならテコの原理で足の骨が折れると言う嫌らしい作りだった。

 その後、その『落とし穴』は下に尖った杭が有ったり、更にその杭に毒が塗られていたりと言う形で進化して来た。多分近々、全身が落ちるサイズも出て来るのだろう。

 更に、『毒矢』。壁や天上の鍾乳石の影に仕掛けられている。魔法式と物理式があって、今の段階では物理式のみしか出ていない。

 今のところ経験した『(トラップ)』はこんなモノだ。これ以外にも数多(あまた)の種類が報告されているから、このまま潜っていくのなら出会う日も来るだろう。

 ちなみに、この『(トラップ)』は盗賊系スキルの『罠探知』を使用し、どうしても回避出来ない場所は『罠解除』スキルを使用している。

 そんな関係上、俺は『マップ』『気配察知』『罠探知』とう言う3種類のスキルを常時起動しなくては成らなくなっている。

 その関係もあって、どうしても思考速度を喰われがちになり、更にHPの消費も多くなってしまう。

 だから、パラメータは『知力』と『スタミナ』を中心に上げ、『知力』と同様に思考速度を上げる事の出来る『素早さ』をその次に上げた。

 つまり、『筋力』は一番最後となった訳だ。実際の戦闘では、剣を使った接近戦を結構な頻度で行う身としては、『筋力』も上げたいんだが、どうしようも無い。

 さすがに、この3つのスキルは複数の人員で分割して使用する訳にはいかない。

 『気配察知』にせよ『罠探知』にせよ、どちらも『マップ』スキルで作られるマップ上に表示されるので、単体では意味を成さない。

 だから、どうしても1人で3つを使用するしかない訳だ。

 HP問題はともかく、脳の思考速度の問題は結構深刻なんだよ。

 3つとも使わない状態と比べると、体感時間(動体視力など)が1/3程になっている。まあ、それでもダンジョン外と比べれば数倍なんだけどね。

 基本、俺達の戦闘は、この圧倒的な体感速度差を利用している。

 敵の攻撃を、見ながら躱し、敵の動きによって自分の剣の軌道も途中で変える。全てはスローモーションのように見える世界があって初めて成り立つんだ。

 そのスローモーションが早くなると全ての面でキツくなってしまう。

 だから当分の間は前記の通りの割合でパラメーターを成長させる事に成ると思う。


 ダンジョン攻略初期からずっと続けていた『昭和懐メロ大作戦』をしばらく前に止めた。

 理由は効率が悪くなってきたからだ。

 一応、デボをメインとして夕方に実行していたんだが、音楽の届かないエリア帯のモンスターの増殖が酷くなり、それに対処する必要性が出たため、根本的に考え直さざるを得なくなった。

 結局対処法は、定期的に狩りを行うしかない、って事に成ったんだよ…

 2日に一回、夕方に1時間半程、ダンジョン入り口周辺の狩りを行う事に成った。

 この時点では、レベル8以下のモンスターは全て無双出来る状態だったので、駆け足状態で駆け抜けつつ殲滅していった。

 1時間半と言う短時間ではあるが、その度に100匹以上を殺しまくっている。

 その際、本来なら1個10円のクズ魔石などは回収せずに放置でも良いのだが、碧はきっちり回収していく。

「10円でも、10個溜まればサバ缶が買えるんだよ!」

 だそうだ。

 この作業は、2日に一回にした分、全員で実施している。

 あの日以来お世話になったカセットデッキも、どうやらお役御免と成るようだ。30年以上前のハードだから、充分使い切ったと言えると思う。九十九神に成るには、はまだ足りないけどね。

 お袋の知らなかった趣味が垣間見えた作業だったよ。

 そうそう、あの後、ネット環境が手に入ってから色々お袋のテープの謎曲を調べた。

 その結果分かったんだが、お袋は『男性アイドル歌手』が好きだったのはもちろん、それ以外に『少女漫画』と『JAC』が好きだった事が判明した。

 某兄貴が歌うNATOがどうの伯爵がどうのと言うラジオドラマっぽいテープや、忍者を題材にしたフリーザ様の歌、更に英語の歌詞のみで10の60乗を表す漢字が出てくるヤツ全てが少女漫画のイメージソングだった。

 フリーザ様のヤツは、アニメ化される前に作られたイメージソングで、アニメとは直接関係なかった。

 そして、特撮や映画などJACジャパン・アクションクラブがメインと成ったモノのテーマソングが複数見つかった。

 伝説の忍者がどうのこうのと言う英語の歌詞の曲は、日本香港合作忍者映画の主題歌だったようだ。気になってレンタルDVDを探したのだが、4軒回ったがどこも置いてなかった。マイナーのようだ。

 正直、かなり意外ではあった。だが、振り返ってみれば、小説原作でイージス艦の出て来る映画とか食い入るように見てたのを思い出したりもする。

 親の知られざる過去って、多分知らないままの方が良いのかもしれない…


 地下室への入り口を隠蔽する為の建物の件は、結局70日掛かった。

 建物を作るのもだが、半壊した倉庫を解体する作業にかなりの日時を費やす事になったのが痛かった。

 そして、作った建物自体は簡単なモノだ。

 以前作った、東屋の屋根っぽいモノを囲む形で階段部分まで長方形の小屋を作った。

 以前言ったように、地下室の壁から1メートル程は上部に板を渡してトンネル状にしている。

 その上に、ネットを調べてなんとかかんとか小屋っぽいモノをでっち上げた。

 以前と違ってネットが有るのはありがたかった。グーグル先生には足を向けて眠れないよ。ホント。

 ちなみに、一番最初にしたのは、柱を立てるための土台となる石を地面に埋め込む事だった。

 そして、それを碧と2人で柱を使って上から突いて地面をしっかり固める。コレが弱いとあとで建物の重みで沈み込んで傾く原因になるそうだ。

 無論、小さな小屋なのでここまでする必要も無かったんだけど、後々母屋の方を自分達ちの手でいじる事を考えて練習の意味でやってみた。

 この作業って、昔はご近所さんが総出でやった作業なんだそうだ。昭和初期ごろまでは普通に見受けられた光景だとか。

 昔のご近所づきあいって、家を建てる段階から始まってたんだね。今の時代からは考えられないよ。

 その後は、廃材の柱で建物の枠を作り、柱や細かな桟木などで補強していく。

 足場までは組まず、手製の脚立2つで何とかやったよ。高さも規模も小さな小屋だからこそ出来た事だけどね。

 それでも何度となく失敗して、最終的には強引に合わせ付けたため、調整で切って切って気がつけば設計より5センチ以上低い物になっていた… 素人の作業なんてこんなモンでしょう。

 骨組みが出来たあとは、外周の壁作りだが、窓などは一切作らず、2面は完全に板だけで塞ぎ、あとの2面は開けたままにした。

 屋根は、やはりハの字型は難しいので、片屋根型にだ。一応、屋根には屋根瓦を使っている。もちろん倉庫の廃材から割れていないのを見繕ってね。あと、壊した東屋擬きに使ってた分も使った。

 そして、開いたままの面の道路側から見える部分には廃材を切断した『薪』を積み上げて置き、薪倉庫で有るかのように偽装している。

 また、この積み上げられた薪によって、階段部分が外部からは見えない様に成っている。

 薪を積んだ反対側は、クワや鎌などの農具を掛ける棚を互い違いに置く事で、階段を隠しつつ通路を確保した。

 全ての工事が完了した段階で、最初から有った縦穴部分を厚手の板で塞いで、上に肥料袋を置いて隠した。

 地下室側から見ると、肥料、農具棚、階段、薪、と言う形で並んでいる訳だ。

 また、この小屋作りのために柱などを取った倉庫だが、完全に解体してそれぞれのサイズの木材に分けて並べている。

 瓦も割れたモノ、まだ使えるモノで分けて積み上げており、全体として綺麗に整理した。

 崩れた倉庫が解体されると、廃屋っぽかった敷地が一気にまともな家に見えてくるから不思議だ。

 この解体作業も、業者に頼めば40万以上は普通に掛かるらしい。時間は掛かったとは言え、自分たちでやれたので限りなくタダで済んだと言う事だ。

 厳密には、自分たちという人員が一定時間掛かった賃金を計算する必要がある訳だから、タダでは無いんだが、気分的には間違いなくタダだ。

 その上で、解体作業、木工作業のユーザースキルまで身につくという…良い事ずくめだよ。深く考えちゃ駄目なのさ。


 次に錬金術についてだ。

 その後、複数のドロップアイテムを入手出来、それに伴って幾つかのモノも作れるように成った。

 特にありがたかったのが、『皮鎧』『皮の小手』『皮のパンツ』『皮のブーツ』という皮防具だ。

 『ファイアー・ボア』や『ミニ・トロール』という『皮』をドロップするモンスターが現れ、それぞれの『皮』が防具に錬成可能だった。

 無論、チェーン・バイパーの皮と同様に、一旦纏めて『大きな皮』へと錬成するという段階を経なくてはならないけどね。

 そんな感じで、新たに錬成出来るようになったモノが以下だ。

  ・ミニ・トロールの皮×3=『トロールの皮』

  ・ファイアー・ボアの皮×2=『ファイアー・ボアの大皮』

  ・カニの甲殻片×5=『カニの甲殻』

  ・牙×4=『大きな牙』

  ・毒玉×3=『毒薬』

  ・トロールの皮×硬化剤×糸=『トロールパンツ』

  ・トロールの皮×トレントの樹液×硬化剤×糸=『トロールブーツ』

  ・ファイアー・ボアの大皮×硬化剤×糸=『ファイアー・ボアの鎧』

  ・ファイアー・ボアの大皮×トレントの樹液×硬化剤×糸=『ファイアー・ボアの小手』

  ・カニの甲殻×硬化剤=『甲殻の楯』

  ・毒薬×大きな牙=『毒牙のナイフ』

  ・ハーピーの羽×3×牙×毒薬=『毒牙のダーツ』

  ・大きな爪×3×ファイアー・ボアの小手=『魔獣のかぎ爪』

  ・スライムゼリー×トレントの樹液×毒玉=『低級解毒剤』

  ・スライムゼリー×トレントの樹液×ウイルスコア=『通常ワクチン』

 牙や爪ベースの槍や剣なども作れるようなのだが、柄に成るドロップ材がまだ手に入らない。

 『ドリアードの枝』が必要なんだよ。トレントが落とせよな、と思うんだけど、落としてくれない… ドリアードはレベル23~のモンスターなのでもう少し奥だ。

 取りあえず、防具類は全て作ったよ。そして、ヘルメット以外は全て装備を変えた。

 試してみた所、自作の装甲化ジーンズや装甲化ジージャンよりも、これらの皮製防具の方が物理防御力並びに魔法防御力とも高かった。

 その上柔らかいと来ている… 硬化剤の効果はどう成ってるんだ?と言いたい位に『皮』の柔らかさなんだよ。

 でも、それでいて噛まれた際は歯を通さないし、その圧力も分散してくれる。結構優れものだったりする。

 これで、ヘルメットまで作れるようになれば、完全にダンジョン品オンリーな装備になる。

 まあ、ヘルメットも硬化剤を使って強化してあるから、半分はダンジョン品のようなモノだけどね。

 ちなみに、透明硬質プラスティック製だったバイザー部分も両面から硬化剤でコーティングしている。魔法などに対する対策だ。

 以前、これをしていなくて、ノームからファイアー・ボールを受け、バイザーが溶けてしまった事がある。

 その後、買い直して直ぐに硬化剤でコーティングした。

 そんなこんなで、とにかく硬化剤が大量に必要だったので、入り口付近の間引き作業日以外の日を使って、トレントとチェーン・バイパー狩りをやりまくった。

 一応、『皮』はチェーン・バイパーで無くても良いんだが、トレントのエリアにどうせ居るのでそっちでまかなった。

 ちなみに、以前疑問に思った、硬化剤の有効性は知られていないのか? と言う事については、どうやら溶剤が存在しないために一般には使用しにくいとしてニーズが無いようだ。

 確かに、基本筆は使い捨てなんだよな。硬化剤自体がある間はその中に漬け込んで置けば問題無いけど、長時間だと漬け込んである硬化剤ごと固まってしまうし…

 確かに一般化は難しいかも知れない。でも、割り切って使えば、こんなに便利なモノは無いと思うよ。

 あと、ついに『低級解毒剤』を錬成出来るようになった。

 この解毒剤が必要だと言う事では無く、これによって今まで売る事が出来ずに取って置いた宝箱入手の『低級解毒剤』を売れるようになったと言う事だ。

 今までは作れなかったんで、もしもの事を考えて残して置いたからね。この時点で7本持ってた。

 ただ、『低級解毒剤』は『低級回復薬』ほどの値段は付かない。普通に考えて分かるけど、ニーズはそんなにないからね。

 でも、それでも1万5千円程度はする。7個で10万円は越えたよ。十分な収入だ。

 それと、予防用の『ウイルス耐性薬』は以前から錬成出来ていたが、回復薬としての『通常ワクチン』が作れるように成った事で、ぼつぼつと現れ始めたゾンビを必要以上に恐れなくて済むようになった。

 前もってワクチンを飲むのは、どうしても効率が悪いからね。飲んでもその有効時間内にゾンビに合うとは限らないし。

 これが、直前に飲んでも効果が有るなら、ゾンビが見えた時点で飲めば良いんだが、最低5分は無いと効果が出ないらしいので、その方法は取れない。

 とまあ、そんな状況だったので、『通常ワクチン』が錬成出来るようになったのはかなり有りがたい事だったりする。

 そう言えば、ゲームのゾンビ系って、毒持ちは居るけどウイルス持ちってあんまり見た事無いよな。

 ここのダンジョンのゾンビはもれなく持ってるよ。ちなみに感染して、そのまま放置しておくと思考力低下→自意識消滅と言う事になり、事実上の脳死と成るらしい。

 回復不可能になるまでには半日は必要らしく、それまでに対処すれば良いんだけど、当然薬が必要な訳で、それが無いと対処は全く不可能なのだという。

 『通常ワクチン』のありがたさが分かるでしょ。現状では『中級回復薬』なんかよりありがたいしなかも知れない。

 ついでに、『ゾンビ』って言ってるけど、ゲームのように人間のゾンビじゃない。

 このダンジョンに出て来るモンスターがゾンビ化したモノの総称だ。

 その為、『ゾンビ』と言っても、元の素体によって強さも攻撃方法も違う。

 ただ、一律なのは、『疫病』スキルを持ち、元の素体が持っていた魔法は使用出来ないと言う事だ。スキルは一部は使用出来るモノが居るらしい。

 スライムゾンビとか聞いた事無いだろ? キラー・クリケットゾンビとかコオロギゾンビだよ。

 取りあえず、このダンジョンに存在するモンスターの全ての『ゾンビ』が存在する可能性があるらしい……


 そんな感じで、頑張っている。俺自身も気がつくと21歳になっていたしね。

 あの日から気がつけば毎日の様にダンジョンに潜っている。唯一潜っていないのは、『ダンジョン入場証明書』を取るために講習に行っていた期間だけだ。それ以外は全て潜っている。

 土日はもちろん、盆も正月関係無しだ。正月の初めにすることを『○○初め』なんて言うけど、俺達の『殺し初め』は『ホワイト・タランチュラ』だったよ。

 真っ白で大きな蜘蛛が赤い血で染まって、紅白でめでたい姿になったよ……

 あとで思ったんだけど、あの蜘蛛だけなんだよね、血が赤い昆虫系は。斬り殺すと、真っ赤な血が真っ白な繊毛を染めて、やたらと生々しい。

 でも、こいつは防具を錬成する時に必要な『糸』をドロップするから、どうしても積極的に殺さないと行けない。

 更に、ドロップ率に攻撃方法が関係するのでは?と言うデータが最近発表され、魔法攻撃より物理攻撃の方がドロップ率が高い可能性が囁かれやがったんだよ。

 おかげで、かなりの鮮やかな紅白模様を作り出すことになった。

 そして、珍しくダンジョン関連のデータをネットで漁っていた碧がいきなり尋ねてきた。

「お兄ー、何か、私たちの成長って早いみたいだよ。これって私たち、才能があるって事なのかな?」

 何を言ってるんだと思いつつ、碧が見ていたPCのディスプレイを見ると、『ダンジョン管理機構』が纏めている、登録から一定レベルに成るまでの平均年数をグラフ化したモノだ。

「あのな~、これって、レベルベースだろ、パラメーターとレベルを別々に扱うこのダンジョンで、レベル基準のデータを見てもしょうが無いだろ?」

「あ、パラメーターのも有るよ。ほらこっち。んで、こっちで見ても結構早いよ」

 ブラウザーの『戻る』でパラメーターベースのグラフを見ると、現在の俺達のパラメーターに成るための年数は3年~4年となっていた。

 先程のレベルベースのグラフも2年~3年だった。

「……まあ、普通に考えて、ダンジョンに入っている頻度と中での効率の問題じゃ無いか?」

「? 頻度は分かるよ。家に有るからいつでも直ぐ入れるし。でも、効率って何の効率?」

「2つ有るな。1つは獲物を独占出来るって事。もう一つは、他の冒険者を警戒する必要がないって事だ」

「な~るほど」

 納得した様に碧は、うんうんとうなずいている。その頭の上でデボが必死に踏ん張って落ちないようにしている。降りれば良いだろう…

 獲物を独占出来るってのは、ムチャクチャ大きなアドバンテージだと思う。

 多分、一般の『冒険者』は俺達の1/3も狩れていないと思う。

 そして、他の『冒険者』を気にしなくて良いと言うのも、実は2つの意味が有る。

 1つは敵対行動をされる事が無いと言う事で、もう一つは遠距離攻撃時に他のパーティーの存在を気にしなくて良いと言う意味だ。

 ダンジョン内強盗は元より、攻撃時に自分たち以外の周囲に気を使わなくて良いのは楽で良い。気にせず範囲攻撃魔法をたたき込める。

 他者からの流れ(魔法)を気にする必要も無い訳だ。

 そんな事の積み重ねが、比較すると成長が早いと言う事になっているのだろう。

「じゃあ、このまま行けば、私たちトップに成れるね!」

「あ~ほ! 俺らの目的は生活費を稼ぐこと! ダンジョン攻略は二の次なんだよ。って言うか、今でも充分稼げてるから奥に行く必要無いんだぞ」

「え~、行ける所まで行くって言ったじやん~」

 全く、このアホ妹は、チョット油断すると突っ走ろうとする。

 手綱って言うか、首輪を付けないと駄目なタイプだな。

 まあ、無理はしないレベルなら行ける所までは行くけど、少しでも無理だと思ったら即座に止めよう。

 俺の座右の銘は『安全第一』と『効率の名の下に』だ。



 ☆キラー・ビー

  ・レベル 11~15

  ・体長 50センチ

  ・攻撃方法 牙 毒針 振動波

  ・使用魔法・スキル  振動波

  ・弱点 火属性

  ・魔石 紺色(ランクA サイズ1)10円 染色用の添加剤(現時点ではクズ魔石扱い)

  ・その他のドロップ品 毒針 蜜蝋

  ・その他の特徴 巨大なミツバチ 蜂蜜はドロップしない 女王蜂の目撃無し

  ・棲息ダンジョン名及び深度 コスタリカ アンゴラで目撃 中層部


 ☆ホワイト・タランチュラ

  ・レベル 12~15

  ・全幅 1.5メートル(足を広げた状態)

  ・攻撃方法 爪 噛みつき(麻痺毒) 粘糸

  ・使用魔法・スキル 粘糸

  ・弱点 頭・腹部

  ・魔石 レモン色(ランクA サイズ2)320円 キャパシター

  ・その他のドロップ品 毒玉 糸

  ・その他の特徴 真っ白で巨大なタランチュラ 粘糸を尻から飛ばす 壁や天上を移動可

  ・棲息ダンジョン名及び深度 ほぼ全てのダンジョンに湧く 中層部


 ☆ファイアー・ボア

  ・レベル 12~15

  ・全長 3.5メートル

  ・攻撃方法 牙 体当たり

  ・使用魔法・スキル 咆哮 ストーン・ボール

  ・弱点 頭・腹部

  ・魔石 薄い焦げ茶(ランクA サイズ2)320円 半導体

  ・その他のドロップ品 肉 牙 皮

  ・その他の特徴 赤い皮の猪 ドロップの肉は食べられる

  ・棲息ダンジョン名及び深度 ほぼ全てのダンジョンに湧く 中層部


 ☆スカル・キャンサー

  ・レベル 13~17

  ・体長 1.5メートル

  ・攻撃方法 ハサミ 魔法

  ・使用魔法・スキル ウインド・ブリッツ

  ・弱点 腹部 雷属性

  ・魔石 アンバー(ランクA サイズ2)450円 記憶素子

  ・その他のドロップ品 ハサミ 甲殻片

  ・その他の特徴 背中の模様が頭蓋骨に見える巨大ガニ

  ・棲息ダンジョン名及び深度 南米の複数のダンジョンで目撃 中層部


 ☆グレムリン

  ・レベル 13~16

  ・体長 1メートル

  ・攻撃方法 魔法

  ・使用魔法・スキル 怪音波 スリープ 盗む

  ・弱点 物理攻撃全般

  ・魔石 紫(ランクA サイズ2)450円 永久磁石

  ・その他のドロップ品 低級回復薬 低級解毒薬 指輪

  ・その他の特徴 フクロウに似た顔の子人 状態異常系の魔法・スキルを多用する

  ・棲息ダンジョン名及び深度 スペインとニカラグアのダンジョンで目撃 中層部


 ☆ミミック(下級宝箱偽装)

  ・レベル 15~20

  ・体長 50×30×40センチ

  ・攻撃方法 噛みつき 毒ブレス

  ・使用魔法・スキル 毒ブレス

  ・弱点 火属性

  ・魔石 黒(ランクA サイズ1)1万円 重力制御

  ・その他のドロップ品 ランダム?

  ・その他の特徴 下級宝箱と同じ外観をしたモンスター 

  ・棲息ダンジョン名及び深度 ほぼ全てのダンジョンに湧く 中層部


 ☆ノーム

  ・レベル 14~16

  ・体長 1.5メートル

  ・攻撃方法 魔法

  ・使用魔法・スキル ストーン・ボール ファイアー・ボール

  ・弱点 物理攻撃全般

  ・魔石 水色(ランクB サイズ1)420円 コンデンサー

  ・その他のドロップ品 低級回復薬 ネックレス

  ・その他の特徴 土色の皮膚をした人間に似たモンスター

  ・棲息ダンジョン名及び深度 ほぼ全てのダンジョンに湧く 中層部


 ☆ミニ・トロール

  ・レベル 15~18

  ・体長 2.5メートル

  ・攻撃方法 棍棒 体当たり 手足

  ・使用魔法・スキル 金剛 ブースト(パワー) 自動再生

  ・弱点 頭部 火魔法

  ・魔石 黄緑(ランクA サイズ3)520円 マフラーの触媒

  ・その他のドロップ品 皮 棍棒 胆石

  ・その他の特徴 毛のないオランウータンに似たモンスター

  ・棲息ダンジョン名及び深度 ほぼ全てのダンジョンに湧く 中層部



 ☆ガーゴイル

  ・レベル 16~18

  ・体長 2メートル

  ・攻撃方法 爪 牙 飛翼

  ・使用魔法・スキル 天駆 飛翼

  ・弱点 魔法

  ・魔石 黄色(ランクA サイズ2)20円 漂白(現時点ではクズ魔石扱い)

  ・その他のドロップ品 アメジスト 粘土

  ・その他の特徴 鳥人を型取った動く石像

  ・棲息ダンジョン名及び深度 ほぼ全てのダンジョンに湧く 中層部


 ☆ハーピー

  ・レベル 17~20

  ・翼長 1.5メートル

  ・攻撃方法 爪 牙 振動波

  ・使用魔法・スキル 天駆 振動波

  ・弱点 腹部

  ・魔石 橙色(ランクA サイズ2)350円 鉄への添加剤

  ・その他のドロップ品 羽 爪

  ・その他の特徴 顔が人間に見えなくもない鳥型モンスター

  ・棲息ダンジョン名及び深度 ほぼ全てのダンジョンに湧く 中層部


 ☆ゾンビ

  ・レベル 12~

  ・体長 元のモンスターによる

  ・攻撃方法 元のモンスターによる

  ・使用魔法・スキル 疫病 毒系

  ・弱点 光魔法 火魔法

  ・魔石 黄色(ランクA サイズ2)20円 漂白(現時点ではクズ魔石扱い)

  ・その他のドロップ品 ウイルスコア 腐肉

  ・その他の特徴 各種モンスターがゾンビ化したモノ 元のモンスターによってステータスに幅がある

  ・棲息ダンジョン名及び深度 ほぼ全てのダンジョンに湧く 中層部

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