28話 女王様は美味しい
デボ中心で行われた狩りも、このほど無事終了し、やっと未探査エリアへと向かえる様になった。
その代わり、やはりこの月の収入は少なく、16万4千円程となってしまった。高価格品のドロップも無かったしね。
ただ、全体として成長は著しく、デボを除いて全員が『ストーム系魔法』を修得している。
そして、碧とぺんぺんは『縮地』も修得しており、低レベルエリア帯での戦闘時はほぼ無双と言って良い状態だった。
ただ、二人とも『スタミナ』の値がさして高くないため、スキル使用時のHP消費が大きく、そうそう連続使用は出来ていない。
そろそろ『スタミナ』も上げなくては成らないだろう。
あと、デボは一気に魔法とスキルが増えた。
『ストーン・アロー』はもちろん、ヒールの強化系である『ミドルヒール』そして、ヒールの複数対象の『エリア・ヒール』を修得した。
そして、レベル8に成った時点で『MPドレイン』がリストに現れたので、速攻で修得させた。
一応、『超音波』の上位と思われる『怪音波』なるモノがレベル6の時点で現れたのだが、微妙なので現時点では保留にしてある。
そして、初期選択スキルにあった『天駆』がレベル8の時点でリストに現れた。
だが、やはり別系統と言う事で、修得は行わなかった。
この『天駆』がレベル8制限で有った事が分かったので、『空歩』の上位スキルでは無い事が確定した訳だ。
そんなこんなで、今のステータスはこんな感じだ。
・氏名 鴻池 稔
・年齢 20歳
・Level 16(+4)
・生命力 160(+40)
・魔力量 160(+40)
・スタミナ 16
・筋力 17(+1)
・知力 17
・素早さ 17
・魔法 転移・サンダー・ボール サンダー・アロー
サンダー・ウォール サンダー・ストーム
・スキル マップ 盗む 罠探知 罠解除 気配察知
・経験値 782
次回UPに必要な値(パラメーター) 1570(+262)
次回修得に必要な値(魔法・スキル) 142(+61)
・氏名 鴻池 碧
・年齢 18歳(+1)
・Level 16(+1)
・生命力 160(+10)
・魔力量 160(+10)
・スタミナ 13(+1)
・筋力 14
・知力 13
・素早さ 20+3(疾風のネックレス)
・魔法 錬金術 ファイアー・ボール ファイフー・アロー
ファイアー・ウォール ファイアー・ストーム
・スキル ステップ 瞬歩 空歩 縮地 鑑定
・経験値 78
次回UPに必要な値(パラメーター) 4654(+776)
次回修得に必要な値(魔法・スキル) 250(+77)
・氏名 鴻池 ぺんぺん
・年齢 0歳
・Level 16
・生命力 160
・魔力量 160
・スタミナ 12(+2)
・筋力 13(+1)
・知力 17
・素早さ 13(+1)
・魔法 アイス・ボール アイス・アロー
アイス・ウォール アイス・ストーム
・スキル ステップ 瞬歩 空歩 縮地
・経験値 76
次回UPに必要な値(パラメーター) 1698(+880)
次回修得に必要な値(魔法・スキル) 40(+7)
・氏名 鴻池 デボ
・年齢 0歳
・Level 12(+9)
・生命力 120(+90)
・魔力量 120(+90)
・スタミナ 08(+3)
・筋力 08(+2)
・知力 12(+2)
・素早さ 09(+3)
・魔法 ストーン・ボール ストーン・アロー
ヒール ミドルヒール エリア・ヒール
・スキル 超音波 HPドレイン MPドレイン
・経験値 4
次回UPに必要な値(パラメーター) 256(+216)
次回修得に必要な値(魔法・スキル) 58(+31)
俺はパラメーター上げを優先するつもりだったんだが、未探索エリアへと向かう為、『サンダー・ストーム』を修得しておくべきだろうと考えて、レベルアップに使った。
碧は『縮地』を使う事を考えて『スタミナ』をアップした様だ。
ぺんぺんも同様で、『スタミナ』を+2している。
あと、別段ステータスとしては関係は無いが、碧が18歳になった。俺の誕生日は年明けなのでもう少し先だ。
18歳か、高校に行っていれば3年生で、受験や就職活動でバタバタしている頃なんだろう。
一応、両親も俺も高校に行く様に勧めたんだよ。だけど「働く!」と言って聞かず、結局中学卒と言う肩書きとなってしまった。
碧は『知力』の初期データが高かったように、成績は良かった。
その上、部活動の卓球も結構良い所まで行っていたので、担任もかなり熱心に進学を勧めていた。
夜間にわざわざ家まで来て、両親と3人で何度となく話をした位だ。
ちなみに、俺が「進学しない、家の店で働く」と言った時には、担任教師は「そうか、頑張れよ」とアッサリとそれだけで終わったよ…
そんなモンさ。
この一ヶ月は、前記の通りデボの成長を前提とした狩りだったんだが、無論それだけで終わらせはしなかった。
ユーザースキルの更なる成長を目指したんだよ。
それは、中国拳法の概念を身につける、と言うモノだ。
と言っても、いわゆる『気』だの『気功』と言うモノでは無い。
中国拳法を題材にした漫画や解説書で見た事無いかな? 足から腰を通って手まで続く矢印の螺旋が書かれたヤツ。
アレって、『踏み込んだ力を螺旋の形で腕まで伝える』的な事が書かれてるんだよ。
震脚って言うヤツで発生したエネルギーを太股や腰・肩の回転を通じて、最終的な打撃点で有る拳まで伝えるって概念だよ。
それと同時に、各部の回転(螺旋)の力を上乗せするって言うのも入っている。
もの凄く単純に言うと、立ち止まった状態でパンチを打つのと、助走を付けてパンチを打つのの違いだな。
絵や言葉にすると単純で、簡単に出来そうだけど、実際はそうそう簡単に出来る事じゃない。
何よりもタイミングが合わない。手・足・腰・肩・腕の全てがバラバラになり、実質手打ち状態にしかならない者が大半だろう。
拳法や空手などは、これらを『型』と言う形で長い年月を掛けて身体に覚え込ませるのだと思う。
そして、最適の『型』を身につけさせるプロセスが、各流派には有るのだろう。
だが、俺達は違う。
俺達は、ダンジョン内限定ではあるが、常人の数倍という体感時間を有している。
その遙かに長い体感時間で、自分の身体の状況を自分で認識しながら修正していく事が出来る。
そして、この訓練以前に、効率の良い身体の動かし方、効率の良い力の伝え方を同様の方法である程度身につけていた。
基本は同じ事だ。今度はそれに身体各部の捻り(螺旋)の力を考えて動きを突き詰めるだけだ。
俺は、デボに肩から降りてもらい、比較的弱いモンスターを相手にひたすら訓練を続けた。
無論、拳法では無く剣術なので最終的な部分も違う為、簡単には身につける事は出来なかった。
だが、毎日毎日、少しずつ修正して力の伝達が切れないように身体の動きを作った。
そして、それがある程度出来たら、今度はそこに更に最大の力が伝わるポイントを見つけ、その動きを身体に覚えさせていく。
この作業は、意識加速状態で最大限に脳を使用するためか、疲労も激しい。だが、それだけにパラメーター的には変化は無いが、確実に意識の加速は高まっていった。
そして、高まった意識速度によって生まれる、更なる引き延ばされた体感時間を利用して、更に身体の動きを精査していく。
そんな中で、自分の身体の内部構造すら知覚出来る気がするまでに成っていった。
それは、身体を動かしている時の筋肉の動きや収縮を認識出来ていると感じているモノで、実際にそれが正しいのかは分からない。だが、分かる気がするんだ。
そして、その感覚によってより効果的な身体の動かし方を理解して、更に修正を加えていく。
人間の身体は、ねんどろいどなどと違って、筋肉が有りその筋肉は互いに影響し合っているし、骨も球体関節などでは無く、骨自体に可動範囲が有るし、その形状故に動かしやすい方向も存在する。
単純に、模型人形での動きを参考にした、力の伝達を人間の身体でやろうとしても、それらが邪魔をして上手く行かない。
俺はそれを体感として感じながら修正していった訳だ。
そして、その成果は一気に花開いた。動きや剣撃が格段に良くなった。
俺の『素早さ』の値は碧には圧倒的に負けている。だが、実際の戦闘時の動きは、部分的には完全に碧を上回っていた。
一部は、『瞬歩』とまでは言わないが、『ステップ』レベルの速さに匹敵する動きが出来ていた。
そして、今までは一撃で殺せなかったモンスターを、簡単に一撃で首を刎ねて殺せるようになった。
その変化はある時点で一気に変わったため、碧達にも変化がハッキリ分かったようだ。
「なに今の動き、むちゃっ早いんだけど!」
実際の速度自体が早かったというのでは無く、緩急と瞬発力が変わった事で、全体としての速さと部分的なキレが絶対的に上がった訳だ。
当然、人のモノを欲しがる碧としては、「どうやるの? 教えてよ!」と言ってくる訳で、別段拒否する理由も無かったので教えた。
……だが、俺が20日も掛かってここまで来たモノを、碧のヤツは10日で身につけやがった。
別段俺の方が才能が無かったからって訳じゃ無い。俺が試行錯誤した結果として、効率の良い覚え方が分かり、それを使った碧が早く身につけられたって事たよ。
そうなんだよ。間違いない。絶対…
ちなみに、ぺんぺんも気がつくと身につけており、更に『瞬歩』や『空歩』ですらソレを使用出来ていた。
さすがに、まだ『縮地』では使用出来ないようで、絶賛練習中だったりする。完全に抜かれたよ。
え~っと、デボはさすがに無理だ。身体の構造がコレに適していない。うん、何故かホッとしている自分がいたりする。
まあ、意外な形でパーティー全体のユーザースキルが上がるという嬉しい誤算があった訳だ。
そして、その力を利用して徐々に未探査領域に入っていく。
最初は未探査領域2割に既知の領域8割から初め、ソレを3:7、4:6と言う形で未探査領域を増やしていく。
かなりの余裕を持って行動出来る範囲で活動し、少しでもきついと感じたらしばらくはその手前で鍛えるという最安全策で行く。
そんな訳で、今まで単発でしか現れなかったようなモンスターも次々と出現してくる。
先ずは『ラプトル』だ。次いで『レッド・ゴブリン』もぼちぼち現れ、魔法を受ける事も増えた。
そして、新規として『レッド・スライム』も現れだした。
このスライムは、外観はほぼ『ピュア・スライム』と同じで色だけが赤い、色違いの種だ。
ただ、弱点属性等は全く違い、移動速度も格段に上がっていた。それでも、あくまでもスライムなので、壁面や天井の偽装さえ見破れれば『サンダー・アロー』で一撃だ。
この偽装も、元々完璧な偽装では無く、よく見れば充分に分かるレベルだし、何よりも俺が修得した『気配察知』スキルでバレバレと成っている。
この『気配察知』は、いわゆる盗賊系スキルのレベル15制限のモノで、半径40メートル圏内のモンスターの存在がマップに表示されると言うスキルだ。
当然『マップ』スキルと同時使用が必要で、ビジュアル的にはゲームのマップにエネミー表示がされるアレと同じだと思えば良い。
ただ、このスキルは全てのモンスターを表示する訳では無く、幾つかのモンスターは表示されないそうだ。
更に地形(ダンジョンの壁面の材質)によっては近くてもその裏側の存在が認識できないこともあるらしい。
それでも、そんな特殊なモンスターや場所はダンジョンのある程度深い位置にしか居ない・ない、と言う事で当座は心配はない。
とは言え、このスキルにも『マップ』と同様の問題がある。それは『脳の処理速度をある程度使用する』と言う事だ。
つまり、『マップ』と『気配察知』を同時起動していると、意識加速やそれに伴う動体視力がある程度落ちてしまうと言う事に成る。
だが、有効なスキルなので使うよ。安全のためにもね。
あと、このスキルの上位に『宝箱サーチ』的なモノはまだ確認されていない。現時点では盗賊系スキルで分かっているモノの最上位はこのスキルだ。
俺達は、新たに修得したスキルや魔法を積極的に使用しながらドンドンと狩りと言う名の殺戮を繰り返していく。
実際、第三者から見るとこの行為って『虐殺』以外の何物でも無いんだよね。
何となく、死後天国には行けない気がする…
毎日一人当たり30~40匹は虐殺して、更に時折『半殺し大作戦』だ… もし神様なんて者が存在していたら、無条件で地獄行きのスタンプを押すだろう。
もう既にドツボにはまっているので今更だけどね。
あと、装備の件は根本的には解決していない。
一応、『硬化剤』が溜まった時点で安物のジージャンを使って、装甲化ジージャンを作製して着込んでいる。
耐衝撃性を考えて、その上から従来のバイク用プロテクターも付ける。
ジージャンとジーンズと言う組み合わせを装甲化したおかげで、かなり防御力は上がったと思う。
ただ欠点は、暑いって事だな。
洞窟という温度環境が一定な場所でも、全身運動を繰り返すのだから汗だくになる。
まあ、その辺りは『ダイエットになる』と考えて諦めてるよ。安全の方が大切だからね。
何せ、魔法を使うモンスターが普通に出始めているから。不快感より身の安全だ。
それは狩りを開始して2時間程経った頃だった。俺の脳内マップ上に大量のモンスターを表す光点が現れた。
その光点の集団は、俺達が今移動している通路の40メートル程先で、俺達の移動と共に表示エリアに入り、全景が見える状態になった時点で光点の数は26個と成っていた。
「…集団のモンスターが居る。この通路の先、約30メートルからその先10メートルの範囲だ。横に広がっているから、少し広くなった場所だと思う」
「またG?」
碧がイヤ素そうな顔で呟く。眉間には深いシワが3本刻まれている。
「数的にはその可能性が高いけど、ラプトルとかの可能性も有るから注意な。状況次第でウォールも使えよ」
「了解。Gは殲滅。存在を無に」
…まあ、何時もの事だ。そこまで嫌う理由は分からんけど、理由を聞いても意味不明だったしな。考えるだけ無駄だな。
俺は念のためぺんぺんを左肩に乗せ、デボを右肩に乗せた。碧は遊撃のために身軽にさせる。
そして、音を立てないように、ゆるくS字を書いて下っている洞窟を移動して行く。
その間、俺は視界と脳内のマップを同時に確認を続け、モンスターを表す光点に動きが無いか気を付けていた。
幸いモンスターに俺達の存在は最後まで察知されなかったようで、角から実像を覗き込む事に成功する。
「……お兄ー、アレってアリ?」
「…ああ、アイアン・アントだ。2ヶ月近く前に宝箱から『ギ酸』の玉を手に入れただろ、アレの元だよ」
「いくら?」
「魔石か? 橙色で鉄に添加して強度やサビ、化学変化に強くなるってヤツだな。値段は280円だ」
「安いー」
いや、性能的には結構良い鉄が作れるらしいんだけど、用途が限られるらしくって需要が低いらしい。
大抵の物はコレを使った鉄じゃ無くっても、ステンレスとかの既存の物で十分だから、わざわざコレを使った鉄は使わないんだとか。
「値段はともかく、こいつはギ酸を拭きかけてくるから、接近戦禁止な。後、奥にデッカいのが居るだろ。アレ女王アリだ。アイツは咆哮を使うから要注意だぞ」
この『アイアン・アント』は兵隊アリと女王アリだけが現在確認されている。いわゆる働きアリとか幼虫などは確認されていない。
「それと、外殻は鉄並の堅さが有るから魔法だけで行くぞ。ぺんぺんとデボも分かったな」
ペン
すりすり
両ほほに了解の合図が来た。碧も親指を立てて合図を返してくる。
「良し、5秒後に行くぞ」
それだけ言って、俺は『サンダー・ストーム』を起動し始める。
碧は『ファイアー・ストーム』をぺんぺんは『アイス・ストーム』を準備し、唯一ストーム系が使えないデボは『ストーン・アロー』を起動し始めていた。
そして俺達は全員で通路の角から飛び出し、ほぼ同時に魔法を放つ。
先に着弾したのはデボの『ストーン・アロー』だ。元々アロー系でも弾速は一番早く、時速250は出ている。
そして、その着弾を追うようにして、3種類の魔法球が飛ぶ。
ぺんぺんの『アイス・ストーム』の球は、モンスター達の中央の地面に着弾し、そこを起点に直径4~5センチ長さ25センチ程の水晶結晶のような氷を全周囲に向かって放つ。
碧の『ファイアー・ストーム』の球は、モンスター達の中央部に居た一体に命中し、そこを起点に炎の渦が周囲に広がっていく。
俺の放った『サンダー・ストーム』の球は、モンスター達の中央付近の頭上で炸裂し、上空に光の円盤を形成し、そこから下に向かって無数の雷撃が放たれる。
ハッキリ言ってオーバーキルだ。全てのストームが終了した時には、実体を持ったモンスターは女王しか居なかった。
その女王も焼け焦げ、体中に氷の破片が刺さった状態になっている。その上雷撃による麻痺も入っているようだ。程なくして黒い靄と成って消滅するのは間違いない。
「うおぉー、やっぱストームは、すっごいねー!」
碧が初の3重ストームに感動しているが、今はそれどころじゃない。
「ぺんぺん、デボ、周囲の警戒頼む。盗むを使う」
俺はそれだけ言うと、通路奥で動けなくなっている『アイアン・アント』の女王の元へと走って行く。
周囲に転がる兵隊アリのドロップ品など無視だ。
「えっ? なに? ひょっとして良い物取れるヤツなの?」
その通りだ。超低確率ながら『ルビー』を持っているヤツなんだよ。市場での売却価格は、おおよそ50万円から60万円と言う高価格だ。
このエリア帯では最高の売却価格のはず。無論、確率的には駄目な可能性が圧倒的だが、宝くじと同じでやらないと手には入らない訳だ。当然やるよ。あったり前だろ。
「ステータス」
走りながら念のために自分のステータスを表示してHPの残量を確認する。残は143だ。充分ある。
念のため倒れている女王の背後に回り、手を触れる。
「…駄目、駄目、駄目、駄目、駄目…………駄目、おおっ!!!出た!」
現時点でHPの消費が5で有る『盗む』を15回使用し、計75を消費してやっと成功した。そして、ビギナーズラックなのか、親指の第一関節ほどの大きさの『ルビー』が俺の手には有った。
「なに? 何が出たの? …って何それ? …ひょっとして高い魔石?」
確かに碧が魔石と間違うのも仕方が無い。大きさもA-2クラスの魔石に近い。だが、魔石は真球なのに対して、この『ルビー』は楕円球になっている。
「魔石じゃないよ。ルビーだよ、ルビー! 約50万円クラスの大物だよ!」
俺がそう言った瞬間には、『ルビー』は既に俺の手には無かった。一瞬にして碧の手の中に収まっている。お前さ、スリで生活出来るんじゃね?
その後は3分間何時もの舞が舞われた。喜びの舞、狂喜の舞だ。今日は武器を持っていないので凶器の舞では無かった。
「お兄ー!! アイアン・アント狩ろう!!」
言うと思ったよ。
「一応言っとくけどな、今回は奇跡な。グリーン・ゴブリンの香木よりも低い確率だから、半年に1個手に入ればラッキーって感じだぞ」
碧は期待が裏切られたため、一気に脱力したようで、座り込んでしまった。
「うまい話はないんだねー」
当たり前だ。と言うか、滅多に手に入らないから値崩れしてないんだろう。
『回復薬』系と違って消耗品じゃないから、数が出れば一気に値崩れする物だからな、宝石なんて。元々値段が有ってないような物だから。
そう言った意味では『香木』よりも微妙な代物かも知れない。
「悪いけど、HP今ので使いすぎた、63になってる。さっき通った『部屋』に戻って休憩させてくれ」
「分かった。なんなら今日はコレで上がる? 収入的にも十分だし、時間も10時半回ってるよ」
「いや、経験値稼ぎは必須だからな、やれるだけはやろう」
取りあえず、今回の『ルビー』だけで今月分の稼ぎは充分なのだが、先を考えると経験値はまだまだ大量に必要だ。
特に碧ね。『素早さ』以外のパラメーターはぺんぺんに抜かれ始めている。さして遅くなくデボにも抜かれるだろう。
更に奥へと行く気なら、まだパラメーターを上げないとマズいはずだ。
だから、例え1時間半と言っても無駄にせず経験値を稼ぐ必要がある。
休憩してある程度HPが回復したら、また狩りだ。
死後の心配などせずに殲滅有るのみ。
☆レッド・スライム
・レベル 8~12
・体重 40キロ
・攻撃方法 体内取り込み 消化吸収 消化液
・使用魔法・スキル 消化液
・弱点 雷属性 アルカリ溶剤
・魔石 赤色(ランクA サイズ1)300円 冷蔵庫やエアコン
・その他のドロップ品 スライムゼリー(レッド)
・その他の特徴 赤色のスライム 天上や壁に張り付く事が出来る 移動速度は人の歩行速度程度
・棲息ダンジョン名及び深度 ほぼ全てのダンジョンに湧く 表層部~中層部入り口




