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27話 増殖

────────────────────

「プローブの方はどんな感じだ?」

「第一段階の定着まで行けたのが1200、第二段階まで進めたのが500って所かしら」

「無駄が多いな」

「仕方ないでしょ、仕様上どうしてもそうなるんだから」

「無駄な決まり作りやがって」

「何言ってるの、その無駄な決まりでお金を稼いでるんでしょ、私たち」

「はっ、違いない」

────────────────────




 デボが参戦する様になって1週間が経過した。

 初日同様に、出来るだけデボに負担を掛けないエリア帯での狩りを続けたのだが、目的のレベル3へは既に成っている。

 現在のデボのステータスはこんな感じだ。


  ・氏名 鴻池(こうのいけ) デボ

  ・年齢 0歳

  ・Level 3(+2)

  ・生命力 30(+20)

  ・魔力量 30(+20)

  ・スタミナ 05

  ・筋力 06

  ・知力 10(+1)

  ・素早さ 06(+1)

  ・魔法 ストーン・ボール ヒール

  ・スキル 超音波 HPドレイン

  ・経験値 10

    次回UPに必要な値(パラメーター) 40

    次回修得に必要な値(魔法・スキル) 27


 魔法は初の回復魔法である『ヒール』を取らせた。そして、謎スキル『超音波』と、これまた人間では取れない『HPドレイン』を取らせている。

 『ヒール』はわざわざ説明するまでもないと思う。ゲームのヒールと同じだ。回復系が全くいないという今までの異常なパーティー構成がコレでやっとマトモになる訳だ。

 で、『超音波』だが、単独系では無いと考えて選択した。この上があるはずだと。

 もし、仮に単独系であったとしてもそれはそれで良い。なぜなら、単独系はえてして強力だったり、便利だったりする物だからだ。

 だが結論から言うと、このスキルは状態異常系で、目眩を発生するスキルらしく、実際に使わせると足下がおぼつかなくなり転ぶモンスターも出た。

 多分、この上に他の状態異常系のスキルが同系列として有ると思われる。

 そして、『HPドレイン』はぺんぺんには選択出来ないスキルで、デボの選択スキルリストで初めて見た物だ。

 ただ、名前を見ただけで、その中身は分かった。そして、少なくとも『MPドレイン』が同系列で有るであろう事も想像出来た。て事で即修得させたよ。

 実際このスキルは、ドレインする為には相手に接触する必要があるので、現状のデボには積極的には使わせられない。

 基本的に、『半殺し大作戦』の後や、最後のモンスターが死ぬ直前にやらせる様にしている。

 だけど、それでも結構効果がある。この『HPドレイン』のおかげで、『超音波』スキルをかなり多く使用出来ている。

 どの時点かは分からないが、『MPドレイン』が修得出来る様になれば、魔法も通常より多く使用できるようになるので、その時が待ち遠しい限りだ。

 何よりも見てくれ、次回パラメーターアップに必要な値を! 3つの別系統を修得して40だよ40!

 しかも、コレってその上で2個分のパラメーターを上げてコレだよ。なんて効率の良さ。コレだよ、これ! こう有るべきだったんだよ。

 どこかの誰かさんも、俺の言う事を聞いていれば、ああまで酷い値には成らなかったんだよ… 全く。

 …まあ、それはそれとして、俺達の方もある程度成長した。まあ、デボの為に入手経験値は少し少なめになったけどね。


  ・氏名 鴻池 稔(こうのいけ みのる)

  ・年齢 20歳

  ・Level 12

  ・生命力 120

  ・魔力量 120

  ・スタミナ 16

  ・筋力 16

  ・知力 17(+1)

  ・素早さ 17(+1)

  ・魔法 転移・サンダー・ボール サンダー・アロー

  ・スキル マップ 盗む 罠探知 罠解除

  ・経験値 667

    次回UPに必要な値(パラメーター) 1308(+400)

    次回修得に必要な値(魔法・スキル) 81


  ・氏名 鴻池 碧(こうのいけ みどり)

  ・年齢 17歳

  ・Level 15(+2)

  ・生命力 150(+20)

  ・魔力量 150(+20)

  ・スタミナ 12

  ・筋力 14

  ・知力 13

  ・素早さ 20+3(疾風のネックレス)

  ・魔法 錬金術 ファイアー・ボール ファイフー・アロー

      ファイアー・ウォール

  ・スキル ステップ 瞬歩 空歩 鑑定

  ・経験値 787

    次回UPに必要な値(パラメーター) 3878

    次回修得に必要な値(魔法・スキル) 173


  ・氏名 鴻池(こうのいけ) ぺんぺん

  ・年齢 0歳

  ・Level 16(+1)

  ・生命力 160(+10)

  ・魔力量 160(+10)

  ・スタミナ 10

  ・筋力 12(+1)

  ・知力 17(+1)

  ・素早さ 12

  ・魔法 アイス・ボール アイス・アロー

      アイス・ウォール アイス・ストーム

  ・スキル ステップ 瞬歩 空歩

  ・経験値 3

    次回UPに必要な値(パラメーター) 818(+251)

    次回修得に必要な値(魔法・スキル) 33(+6)


 俺達3人は、デボが参戦する前からの分も入ってる。

 で、俺は予定通りパラメーター上げをして、レベル上げはしていない。

 現状のエリア帯なら、いまのHPとMPで充分にやって行けている。だから、今のうちにパラメーターを上げて全体的な能力を上げる事にした。

 碧はパラメーターアップには全く届かない値だったので、痺れを切らしレベルアップに使ったと言う事だ。全く…

 ぺんぺんはレベルを16まで上げ、ついに範囲魔法である『アイス・ストーム』を修得した。そして、残りの経験値を使いパラメーターも上げている。

 ぺんぺんの『アイス・ストーム』を見て、例のごとく碧が『ファイアー・ストーム』を取る気になったのは言うまでもない。まあ、同系列だから問題無いんだけどね。

 レベル16に成るための経験値も後200程度なので、魔法習得用のポイントも入れても4日以内には修得出来ると思う。

 また、レベル16制限スキルには『縮地』も存在する。ぺんぺんの場合は今回、『アイス・ストーム』とパラメーターアップの方を選択した様だ。

 『縮地』は半径10メートルの範囲で、4倍の速度で行動が出来るスキルだ。瞬歩の3メートルで3倍からすると格段の力となる。

 正直、俺も欲しいと思って居るスキルなんだが、他にも色々有った方が良いスキルは山程有るので、手を出せずにいる。

 生活費が充分に稼げるエリア帯で、十二分に活動出来るパラメーターになったら、3倍問題を無視して好きなスキルや魔法が修得出来る様になると思うが、それまでは我慢するしか無い。

 全ては、効率の名の下に。


 一部では、山の紅葉が終わりに近づく季節になったその日、世界に激震が走った、らしい。

 理由は新たなダンジョンが発生したからだ。

 最初の報告はまた日本だった。鳥取県米子市の外れに有る田んぼの中に突如として発生したという。

 そしてこの発見が、世界で初めてダンジョンが発生する瞬間が目撃された事例となった。

 発見者はその田んぼの所有者で、稲刈り後の乾燥させていた稲を取り込んでいる際に、そのダンジョン発生に遭遇したのだと言う。

 何でも、田んぼ中央付近の地面に直径2メートル程の淡く青い光が発生し、何だろうと見ていると突然その円内の地面が消滅したらしい。

 その時点では、発見者はダンジョンだとは考えなかった様だが、光の事も有り、ただの陥没では無いと判断して近くにいた同業者に相談した所、その比較的若い農家の男性がダンジョンの可能性を考え、大慌てで警察に連絡すると言う事に成った。

 その後、所轄の米子警察署から来た警察官が無謀にも中に入り、発光した壁面と直径2メートのトンネル構造と言う特徴からダンジョンの可能性が高いと判断し、同市内に存在する航空自衛隊美保基地へと連絡を取った。

 ただ、通常ダンジョンに対応しているのは陸上自衛隊で、航空自衛隊では無い。だが、同市内には事務所以外の自衛隊基地はこの美保基地しか無かった。

 元々管轄外ではあるが、緊急性を考え基地司令官は最も近い陸上自衛隊の駐屯地へと連絡を取ると共に、それまでの間に最低限の処置を行う事を決定した。

 ただし、航空自衛隊は陸上自衛隊程の地上戦用武器は所有していないため、あり合わせのネットで入り口を塞ぎ、周囲を車両で囲む事でその場をしのぐしか無かった。

 そして、岡山県に有る日本原駐屯地より駆けつけた陸上自衛隊にバトンタッチするまで、その場の警戒に当たった。

 元々日本原駐屯地とこの場所は直線距離で100キロと離れていなかったため、美保基地より連絡を受けて直ぐに大型輸送ヘリCH-47に部隊を乗せて急行した。

 周囲が田んぼで、幸い電線も無かった事でCH-47はそのまま近くの田んぼへと着陸した。その様子は携帯の動画に撮られており、ニュースでも放送されている。

 これらの迅速な対応は、ネット上で賛頌(さんしょう)されたが、ある野党からは『自衛隊(美保基地)が権限も無く、内閣の承認も無く勝手に戦闘行動を行った事は違法行為だ』と言った批判が国会にて行われた。

 その後、既に本性がネットだけで無く一般にすらバレていた、その野党はコレを切っ掛けに事実上廃党と成るのだが、基地司令官は責任を取って辞任してしまうと言う悲劇はどうしようも無かった。

 一つのダンジョンによって生まれたドラマだ。

 そして、この米子の発見後間もなく、フィリピンのバギオにてもダンジョンが発見された。

 その後次々と発見の報告が現れる。時系列的に見て、日本から西に向かって発生していったと思われる。

 初めてダンジョンの発生に法則性らしき物がうかがわれた瞬間だった。

 米子のダンジョン発生から15日経ち、新たなダンジョンが53個発見された。

 既存のダンジョンが325個なので378個に増えた事になる、世間的には。実際は(うち)のダンジョンが有るんで、379個って事になる訳だけどね。

 今回のダンジョン発生に伴い、各国のダンジョン所有数にかなり変動が表れた。

 今まで1個しか無かった中国にも新たに1つ発生しており2つ所有となった。それによって現在の、ダンジョンを目的とした台湾への軍事的な態度に変化が出るかはまだ不明だ。

 またアメリカは、アラスカとネバダに新たにダンジョンが発生し、計5個のダンジョンを所有する事となった。現状では最多だ。

 日本は公称4個でアメリカに次いでいる。

 日本は今回の『米子ダンジョン』の発生に伴い、正式に『阿蘇ダンジョン』を外国人専用に解放する事を閣議決定した。

 日本のダンジョンは、『阿蘇』『大阪』『盛岡』と今回の『米子』なのだが、『阿蘇』を外国人に開放するのは、単に交通の便が一番悪いからだ。

 『阿蘇ダンジョン』は阿蘇山のカルデラ盆地内にあり、周囲に宿泊施設も完備されていない。その為日本人の『冒険者』にも人気が無かった。

 だからどれかを、と成った時『阿蘇ダンジョン』が選択されたのは必然だった訳だ。

 熊本県の方では色々と運動やら抗議活動を行った様だが、強行される運びとなった。

 無論その代わりに、熊本空港の国際線充実等のアメ()もばら撒かれたのは言うまでもない。

 多分、今回もダンジョンが発生しなかった某国がツアーを組んで訪れるかもしれない。熊本の犯罪率が上がらない事を切に願うよ。


「どこまで増えるのかな?」

「案外、将来は一家に一つダンジョンが有る時代が来たりしてな」

「それって、冗談にならないんだけど」

 碧は渋い顔をしてぺんぺんをブラッシングしている。

 さすがに一家に一個は極端にしても、一自治体に一個とかは有ってもおかしく無いよ。

 さすがに、超常系コメンテーターの某氏が言う様に、最終的に地球自体がダンジョン(異次元)に飲み込まれる、なんて事までは無いと思う…有って欲しくない。

 今回のダンジョン増殖は、今までと違った形での不安を世界に与えたと思う。

 今までは、モンスターが出て来たら怖い、って言う問題だったのが、何時どこにダンジョンが発生するかも知れないという問題も生まれた訳だ。

 この10年弱で無意識に、もう新たなダンジョンが発生する事は無いと思い込んでいたのだと思う。

 ひょっとすると、それ以前に新たなダンジョンが発生する可能性すら考えていなかったのかも知れない。

 俺はドライヤーで風呂上がりのデボを乾かしながら、色々と考えていた。

「ダンジョンって何なんだろう?」

 今更というか、今だからこその疑問だな。

「分からない、が答えだな。モンスターとかの名前が俺達次第で変わるって事は、何らかの管理者がいるって事だろうけど、それが神か悪魔か異世界人かAIかすら分からない。分かってる事はそれだけだよ」

「……それって、何にも分かってないじゃない」

 実際何も分からないからな。全ては考察されたモノだけだし、それ以外は予想もしくは想像だ。一部妄想レベルのモノも入ってるけど…

「俺たちに取っては、お金が手に入る場所ってのは間違いないだろう」

「うん! それは間違いないよね。…ま、考えても無駄な事は考えないって事で」

 何か、簡単に割り切った様だ。幸せなヤツだな。俺は考えるタイプだから、色々言いつつ考え込んでしまうんだよな…

 碧を納得させられても、自分は納得させられないという…なんだかな~。

 それでも、やる事をやらないと生活が出来ない訳で、結局やるしか無いんだよ。

 ま、頑張りますか。


 ダンジョン増殖騒動があって、念のため様子を見ていた事も有り、今回は予定より6日程遅れて大阪へと行って来た。

 +6日分もあって、今回は『低級回復薬』を4つ売却する事が出来た。

 それ以外の魔石や金属塊も含め、計47万円を手に入れた。

 毎月この調子なら良いのだろうが、今回はたまたまドロップ及び『盗む』の率が良かっただけだろう。調子に乗ってはいけない。いい気になると死が待っている。

 何よりも、今月一杯は『デボ育成期間』とするので、新規エリアに行かないから『宝箱』から得られるモノは無いだろう。

 更に、入手経験値も若干落ちる。だが、デボがある程度成長すれば、戦力はかなりアップする。

 何より予定外な事に、デボの知能がぺんぺん並みで有る事が発覚した。言葉が完全に分かってるんだよ。

 …なあ、動物ってこんなだっけ? 俺の知識では違ったと思うんだけど…

 ひょっとして、実はダンジョンから出て来たモンスターの一種だったりするんじゃ無いか、なんて最近は思ったりする。

 じゃないと色々説明付かない。『知力』が俺より高い所とか、『知力』が俺より上な所とか……

 ぺんぺんは犬に見えるモンスターで、デボはスズメに見え…る気がするモンスターで有れば、その疑問も解決される訳だ。

 まあ、例えデボとぺんぺんがナニで有ろうが、『家族』で有る事には変わらないんだけどね。

 今なら、目の前で中学時代の友達と、ぺんぺんが同時に死にかかっていたら、無条件でぺんぺんを助けるよ。間違いなく。三丸君ごめんね。

 まあ、そんな家族認定がされたスズメっポイ不思議生物で有るデボは、ぺんぺん並みの理解力を有しているので、最終的にはぺんぺんと同程度の戦力になる可能性を持っている。

 実際は、効率重視成長を行う関係上、最後はデボが俺達の中で一番パラメーターが上がるはずだ。

 たた問題は、結構恐がりなんだよね。デボは。

 初見のモンスターにはたいてい尻込みする。俺の肩にいると、背中側に回って隠れたりもする。

 特に蛇が苦手の様で、チェーン・バイパーが出ると、遠距離からMP消耗無視で『ストーン・ボール』を怒濤のごとく叩き込むか、背中に隠れるかだ。

 器用に背中のプロテクターに爪を引っかけて、背中にぶら下がるんだよな…

 鳥って、蛇に強いイメージがあるんだけど、デボは違う様だ。

 まあ、犬だって猫が苦手なヤツはいるし、個性って事なんだろうな。

 個性って言うか、性格って事では、ぺんぺんは飄々(ひょうひょう)とした感じかも知れない。注射の時を除いてね。

 実は、2週間前に混合ワクチンを打ちに行ったんだけど、普段行くディスカウントストアへと曲がるのと反対に曲がった途端、行き先に気付いた様で、運転席側に回り込んで差し込んでいる鍵を口で咥えて抜いて車を止めてしまった。

 幸い後方に車もいなかったので、問題は無かったんだけど、慌てたよ、車ってキーが抜けると急にハンドルが重くなるんだね。しかも一定以上動かすとロックするし…一瞬焦ったよ。

 で、その後5分間車内での鍵争奪戦が行われた。結果は俺の敗北だ。今回はハムでは駄目で、結局厚切りステーキ肉で何とか手を打った。

 だが、注射直後のペンペン攻撃はもらったよ。かなり痛かったらしい。

 現在、注射がぺんぺんの唯一の弱点だ。普段の飄々(ひょうひょう)とした様子とのギャップが凄い。

 まあ、可愛いから良いんだけどね。

 ただ、今後は運転中に鍵は抜かない様に言い聞かせた。マジで危ないから。

 そんな不思議生物2人(匹は使わない)と今日も無理をせずにダンジョンに潜っている。

 ダンジョンが増殖しようがやる事は結局変わらない。何とか無駄な事は考えない様にしてやってる。

 今日も日常(狩り)が繰り返される。

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