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01・華麗なる学園生活?

「マジなのか…」

 えっと自己紹介しよう。オレの名前は雨宮 水人改め雨宮 水子(ミナコ)。高校一年生だ。

 ついでに今着ている服は完璧にオレのではなかった物だ。しかし用意されていた。便利な世の中もある物だ。

 あぁ〜もう、スカートスースーする!しかも何で黒ハイソって違う!そんな事じゃないんだ!

 頭を抱えながらトイレに寄り掛かる。寮内のトイレだ。女子便所しかありやがらねぇ。

 それと、この水子っていう名前は制服の胸ポケット部分に書いてある物だ。篭目(カゴメ) 逸迩改め逸美の反応を見るとこのオレは自分の事をあたしと呼んでいたのようだ。修正的に言葉の一人認証があたしになってしまった。

 ポニーテールで縛ってある髪は毛質が良いのか綺麗に垂れている。これは逸美がくすぐりまくった後にやった事だ。趣味ではない。でも触ってると気持ち良い。横髪は肩までと前と代わり映えはない。

 どういう事なのだろう。怖くて寮内も歩けない。

「水子…ねぇ」

 女の声色で言うと違和感が有る。今まで15年間付き合っていた声がいきなり変わるのは怖い物だと実感する。記憶喪失の人はさぞ大変だろう。

 男子校がいきなり女子校か。頬杖を突きながら面倒そうに溜め息を吐く。

「大体悩むの苦手なんだよな」

 はっきり言って勉強も苦手だったし考えるのが子供の頃から苦手だったのだ。

 流石にナルシストではないが、今の自分の顔やスタイルが良かったのは不幸中の幸いだ。結構自分好みだったし、雑誌に載ってても可笑しくないだろう。笑顔だったら。

「鏡に向かって笑顔になれるかバカ野郎…」

 呟くと同時に頭を抱える。

 これがそのまま他のところにも反映していたら父と母はどうなるか――「考えただけでも恐ろしい…!」鳥肌物だ。正直考えたくない。

 男女が逆転するって事か。アニメとかゲームはどうなるんだろうな等と能天気に考える。

 そんな時、コンコンと扉がノックされる音。

「ミッちゃぁ〜ん、いる〜?ダラデレミッちゃ〜ん」

 なんだ逸美かと安堵を吐く。他の奴だったらまともに話せなかったところだ。

「あ、あぁ〜、いるぞ〜。ついでにダラデレってなんだ〜」

「ダレてるけど好きな人の前だとデレる人だよ〜。ツンデレにヤンデレにスネデレって言うのもあるね」

 ツンデレは人前だとツンツンしてる奴だな。二人だとデレの。

 ヤンデレは…病的に病むほど相手を好きな奴だと…思ったが。

 スネデレ…考えるからに拗ねていて二人だとデレるって言う事だろうか。

 何でこんな事平然と考えてるんだろう。ちなみにダレてなんてないぞ?

 ゆっくりと便器から立ち上がると扉のノブに手をかける。ん?スカートとかショーツをまだ穿いてないんじゃないか?悩むだけだからそんな必要はないぞ。まぁ期待した青少年達にはすまない。男心残ってる女を見ても何も面白くないだろ。

 回して扉を開けるとにこやかに笑っている逸美がいた。パジャマ姿から着替えたのか制服姿で微笑んでいる。

「どうかしたの?遅刻するよ?」

 出来れば置いて行って欲しかった…と心の中で毒つく。

「自分を見つめ直してた…」

 取り敢えず色々誓いも立てた。

 一つ、自分の下半身は絶対に見ない。ニつ、自分の顔に興味を持たない。三つ、なるべく声を出さない。女声の自分の声が聞きたくないのもある。こ色々と自己嫌悪に陥りそうだからだ。

 逸美は少しの間不思議そうに見ていたが、直ぐに思い直したように水人の手を引っ張る。

「早く行かないとね。後5分だし」

 行きたくないです…と呟いたが諦めた。こいつには何も通じない。悟ったからだ。



 教室は前に自分が知ってた1年B組だ。それはそれで有難い。

 だが……全員女だ。なんだか腹を抱えながら床を転げまわりたい気分だ。

「水子さん、おはようございます」

「あ、あぁ、おはよう…」

 最初に声を掛けて来たのは委員長だ。眼鏡を掛けて優等生バリバリなのは変わらないが、可愛さが段違いだ。長いロングの髪が眩しいぞ委員長。

 しかし、男が女に変わっただけで雰囲気も匂いも変わる物だ。

「甘い香りがするな」

 考えた事を口に出してたみたいだ。直ぐに聞かれてないか周りを見渡す。どうやら聞いていた奴はいなかったみたいだ。皆何故かガヤガヤと騒がしい。

 気になったので逸美に聞いてみた。

「何だか騒がしくないか?」

「そりゃ、ね。この学校に男子が来るみたいだし」

 は?と裏返った声を出す。そんなギャルゲーこいた事があるのか。

 逸美はそんな声が可笑しかったのかくすくす笑っている。

「じ、女子高に男?」

 そんな犯罪染みた事が合って良いのかと言おうとしたが、逸美に肩を叩かれた。気付いたら担任が来ていて、その姿に「ぶっ」と吹き出す。

 ハゲの大島と呼ばれていた男の担任がおばちゃんになっていた。髪の毛は見事にズラだ。見て分かる。すまん、言うのは無理だが、ずれてるぞ。

 逸迩の席の隣は自分の席。逸美の隣が自分の席だと理解すると水人はそこに素早く座る。

 鞄を横に掛けるとホッと息を吐く。取り敢えず積極的に話し掛けて来る奴はあんまりいないみたいだ。今のところマメな委員長と逸美くらいだろう。

 よし、これからはハゲの大島改めズラの大島と命名しよう。

 大島は震えている声で「え〜〜…きぃよぅ、このクラスにぃ模範生が来る事になりゃしたぁ」呂律(ろれつ)回ってねぇじゃねぇか。遂には口下手大島か。

 取り敢えず、模範生というところで少しわかった。

 あれだ、模範生って事はここを通常校にしようという事だろう。男を入れて実験をしたいという目論見が丸見えだ。

 とにかく、かなり疲れたので机に突っ伏す。眠くなって来たなと暢気に思ってみる。

 やっぱあれだ。慣れない格好と状況、声や背丈、スカートに疲れた。胸が揺れるほどないのでそれは困らないが、やっぱりこれはあった方が良いのか?

 だが現女子校のここに来る幸せ者の男は見てみたい。

 いや、オレも元男なんだが、そんな事は関係ない。今は胸がある。あるべき物がない。女なのだ。夢だとしてもそんな男には拳を一発入れなければならない。

「えっとね、模範生は3人らしいよ?」

 まぁ、そんなところだろうと逸美に言われた言葉に頷いた。

 バカみたいに10人とか入れたら女子校で何を仕出かすかわからない。

「そりぇでは…はいっれくらさい」

 お前それ業とやってないよなと思いたくなるくらいの噛み方だ。見ていて面白い事に変わりはないが。

「…失礼します」

 結構低めの声と同時に物凄く見慣れた顔の男が入って来る。

 あっと言ったと同時に言葉を失った。あれは、オレだ。男のオレだ。鏡で見飽きたくらいのオレだ。

 そいつは教卓まで歩いて行くと「えぇ〜…」と声を濁す。オレだ。オレの癖だ。

「雨宮 水人だ。…えぇ〜…宜しく」



〜『NG場面』〜

 雨宮 水子トイレ考えでの撮影中

「どうかしたの?遅刻するよ?」

「自分を見つめ直してうひゃぁあああ!?」

 トイレが水で濡れていたらしく横転。

「磨き過ぎだボケェエエエ――!!!」

まぁ、あれです。楽しんでいただけましたか?

皆さんの時間の浪費がこの小説に来てくださって嬉しい限りです。

貴方の好みの女の子はどの子でしょうか?

ボクは断然水子ですが!


次回予告

「宜しく…」

 元のあたしは席の隣のあたしに言った。

 なんでだ!?あたしの神はコント好きなのか!?

…だから…なんで…

 体育の時間、またもやあたしの隣にはあいつがいた。

 次回、雨宮 水人の性変化第二話!「お姫様抱っこはやめろ」に性変換…?

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