2
「ねぇ」
「おわっ!!?!」
後部座席のほうから声がした
彼女が起きた
「お母さんなんて言ってた?」
「え、いや別に何も」
ていうか何か言われる前に切ったし
「あっ、そう。」
...てかなんでこいつこんなに落ち着いてんだ
さっきの電話聞いてたってことだよな?
じゃあ殺すってのもわかってるよな、ていうか誘拐された時点でパニック起こさないか普通
「こっちがパニックだぜ....」
「はい?」
「え?あっ!?!?」
思いっきり口に出してた
俺の悪い癖だ
「おじさんはなんで私を誘拐したの」
彼女の手足を縛った時にガムテープを忘れて口をふさぐことができなかったことを死ぬほど後悔した
「.....うるせえなガキちょっと黙ってろよ殺されたいのか?」
いい加減大人しく静かにして欲しかった
脅せば黙るかと思って
「うん」
「は?」
「私、死ねるなら死にたい。」
「へぇ」
面倒くさいのを拾ったと思った
あれだろ?思春期JKによくいる「ぁたしもぉしにたぃ.....」みたいなの悲劇のヒロインに酔ってる子
「まあ、お前の親から金をもらうまでは殺さねぇけどな。黙って寝てろ」
そう言うと大人しくなって喋らなくなった
少しして俺はタバコを吸うために車の外に出た
外は寒く空は雲で覆われていて何も見えなかった
帰る場所も行く場所もない
後戻りもできない
「俺だって死にたいさ」
そう言わずにはいられなかった