表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/25

蟻は、廻る。

 蟻は、廻る。


 働き者である彼らは足元から発するフェロモンを辿ることで道を外れることなく、迷ってもすぐに戻ることができる。行列が途切れることは無い。

 だがフェロモンが偶然、円を描いてしまうとある現象が起きる。

 蟻達は円を描きながら、ぐるぐると行進するのだ。フェロモンを辿って円を外れることなく、ただ、ぐるぐるぐるぐる、と。一体、自分達は何処へ向かっているのか? しかし、その答えを知っている者はいない。彼らはただフェロモンの跡を歩いていくだけ。

 そう、力尽きるまで。

 一匹、また一匹と蟻達が死んでいく。だが、仲間達は同胞の屍を気にも止めずに行進を続ける。屍は仲間達に踏まれ、蹴られ、退けられ、自然に円の中心部へ集まっていく。

 円はやがて渦へと姿を変える。渦の中心へは次々と力尽きた屍が集まっていき、そんな自分達の末路に気付くことなく蟻達は屍の周りをぐるぐると行進する。 それは決して脱け出せることのない、終わり無き死の行進――デス・スパイラル。

 だが蟻達がその事に気付くことは、ほとんどないだろう。彼らは自分の事だけしか見えていない。

 彼らはただ、目の前のフェロモンの跡を辿ることで精一杯なのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ