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私達のRPG  作者: キョコ
第七章 其の3 ~メイドの私は、久しぶりにアサシンします~
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One more Violate Arms

火の玉が地面を転がる。中にある物体が人間だからか、転がる速度はそれほど速くはない。藁に縋るように火の中から手が突き出る。その手には、カーテナが握られている。力強くカーテナを床に突き刺した。床に軌跡を付けること2mほど。勢いは完全に死に、その場でゆらゆらと炎が踊る。

バヂンと床の軌跡をかき消すように電流の鞭が大きな縦筋の窪みを床に付ける。電流の鞭で炎は縦に真っ二つ。しかし、そこにアルコはいない。

現実に囚われ、辺りを見渡すキルネリア。だが、何か考えがあるのか、彼女は激しい音をたてながら飛び回り始めた。飛行機雲の代わりに電流が線を引く。

だが、数秒もした途端、キルネリアは頭を下にした状態で、両手で突くような形で腕をあげる。目線の先には、キラリと何かが光った。

キルネリアの指先から雷がジグザグに宙を焼いていく。しかし、雷は何者にも当たらず、床で弾けた。その場に居るエレクトロには理解できなかったが、何故かキルネリアは誇らしげな顔を薄く浮かべる。

キルネリアの周りの空気が一段重くなる。小さな火花が起きたと思うと、大きな電流が輪を描いてキルネリアの身体から弾き出される。と同時に、電流の輪が何か強い衝撃を受けて、消え去る。カランカランと数発の銃弾が弾頭が拉げた状態で床に落ちる。

水中に居るかのようにキルネリアは綺麗に宙返りをして、体勢を元に戻すと、今度は右人差し指を何もない目の前に。

指をゆっくりと右から左へと動かしながら、次々と糸のように細い電流が4,5本絡んだ電撃を繰り出していく。

床で次々と電撃が渇いた音で弾けていく。

ついに左壁まで電撃が到達した時だ。目線をやったキルネリアの目の前に、最早女性と呼ぶには程遠い歪笑のアルコが、左手でハンドガンを構え、右手でカーテナを獣が爪で襲うように大きく振りかぶる。

「居るじゃない」

同様に少女が見せるには苦しい道を歩んだような貫禄のある歪笑をキルネリアは浮かべる。右手の指が全て開く。腹を空かせた肉食獣が得ものに喰らい付く様に。

電流が掌の中央に渦巻きながら、球を成す。

「ナルカミ」

耳に響く高金属音が空気を穿つ。螺旋を描いて突貫する電撃がアルコの左脇腹を貫く、まではいかなくても端から少し抉った。左腎が半分削れ、行き場を無くした血液が嘔吐する。脂汗を流すが、それでもアルコはハンドガンを構え、カーテナを振るう。

しかし、キルネリアの放ったナルカミの威力の反動で、圧されていたキルネリアには僅かにカーテナは届かない。ガン、ガンとハンドガンから弾が3発撃ちだされる。一発は、右腕を掠め、一発は、左頬を掠める。最後の一発は、体勢が崩れかけながら撃ったためか狙いとは大幅に外れた。不幸中の幸いなのか、弾はキルネリアの壊れたパズルのような脚の右太ももを貫通する。

痛さに目尻に雫を溜めながらキルネリアは、静かな怒りをさっきとは違う掌にもう一度集合させる。

「ナルカミィイ!!」

切羽詰まった叫びが轟の合図となる。螺旋電撃ナルカミは、アルコの右二の腕辺りを掠める。掠めただけで、右腕は皮一枚で繋がったようにダラリと力を失い、垂れる。

「ちっくしょう!ちっくしょ!!治ったばっかなんだぞ!」

涙を流しながらアルコは、怒声をあげた。

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