Hello,story
この小説は、とあるサイトでお世話になっている方々と練り合わせた創作キャラを個人的な交渉で書いているものです。
まったくもって実在する人物・建物・その他諸々とは関係ありません。
貴方は、RPGを御存じですか?
きっと皆さんの御存じのRPGは、勇者が魔法使いや戦士や僧侶と一緒に旅をして魔王を倒す。というものでしょう。
ですが、今から皆さんがご覧になる物は、決して皆さんの知っている物ではありません。
さて、長々と話していても拉致があきません。
初めまして、このストーリーの案内役Aのレビィです。
その妹で案内役Bのルビィです……。
小さくも大きくも無い、確かでも不確かでも無い物語。
今からそれが始まります。
「初めまして、新入りさん」
明るい口調で小窓から身体を乗り出す女性は、ずっと2人の少年を見つめている。
「此処は、貴方達の様な凄い力を持った人たちが経営するギルドだってありますし、私の様な案内役がパーティを作って差し上げる事も出来ますよ。え、と、取りあえず入国許可を取る為に此処に署名お願いしてもいいですか?」
そう言って取りだした2枚の書類にペンを添えて、それぞれの手元に置いた。
2人は、特に何も気にする様な事をせず、スラスラと書き進める。
途中、1人が口を開いた。
「入国するのにお金とかって、いります?」
「あ、いりませんよ。ところで、その頭に乗せてるのはペットですか?」
そう言って案内役レビィは、少年の被る緑の帽子に乗っかているグニグニとした這って動く生き物を指差す。
「あ、コイツは俺の友達で宝物です」と言いながら優しく少年は撫でる。
「そう、ですか……えと、取りあえず衣服・装飾・装備・生活必需品は得に気にしないんですが、生き物などを連れている場合は、その生き物の種類だけ書類に追記しといて下さいね」
「え、とサハタ=ムスターファさん、にシルティーンさん、あ、それアオウミウシなんですね」
「はい、どうぞ、入国許可です。ようこそ、我々の国へ」
レビィは笑顔を崩さず、ずっと手を振ってくる。
薄いエメラルドグリーンの髪を持ち、カタツムリの装飾の付いた杖を持つ少年シルティーンは、ゆっくりと歩いている為か、もともと体力が無いからか、サハタの後ろをヒヨコの様に付いていた。
灰色の髪を隠す帽子に口元を隠す鉄のマスク、女性が来ていそうな黄色の菱形の入った緑のケープ、恐らく後ろ姿だけで彼を見たら女性と間違えそうだった。
シルティーンは、考えていた。
さて、これからどうしようか。まず安めの宿を探して、コイツの餌を、だな。
なんて思っているとサハタを見失った。
「あれ、アイツ何処行った!?」
親鳥を失ったひな鳥は、街中を歩き回った。
遂に歩き疲れたのか傍にあったベンチに腰をかける。
「そう言えば結構色んなジョブの人が居るんだなー。ギルドってのも行かないと金が……」
通行人の中に紛れる自分と同じ様な人達を1人1人数えていく。
暇つぶしには丁度いい。
すると、シルティーンの目に驚くべき光景が映った。
蒼いポンチョを3つのベルドで身体に固定した銀色に薄桃と黄緑が混じった長い髪、そんな少女が体から離れている褐色の両腕と勾玉の様なものが5つ付いた羽を軸に空を飛んでいるのだ。
「待ちなさい、待ちなさい!!待てと言ってるのが分からんか!ストォオオオオオオオオオオオップ!!!ウェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイトッッッッ!!!」
その後を男の叫び声が追う。
本当に一瞬だったが、自分の目の前を神父が通った。
いや、本当に神父服を着ていたのだが、顔全体が包帯で巻かれ、手と足を使った4足でゴキブリの様に地面を這っていた。
「何だったんだ……」
「待って下さいですー、神父ゥ……」
余程走りつかれたのか、例の神父の後を走っていた蒼と白の単調な司祭服を着た水色の髪の少女がその場で何度も息を整えていた。
すると、先程走って行った神父(らしい男)が戻ってきた。
「もうバテたのですか?メアーユ・リームレイン司祭。困りましたね……」
▼神父(らしい男)がこちらをずっと見ている……
え、俺にお守をしろ、と……
「という訳で『君達』に頼んでいいかね。私は王の為に先程の人外を追わねばならないのでな」
そう言うと神父はシルティーンに無理矢理メアーユを抱き抱えさせる。
「やーい、神父ー。もう終わりなのカー?ウイッカ全然楽しくないゾー」
先程の少女が遠くの方で聞こえた。
「テメェの五体引きちぎって犬の餌ごっこだよ、人外ォオオオオオオオオオ!!」
先程の4足走法で神父は去って行った。
あれ?さっき、神父君達て言ったよな。
と、左側に気配を感じ、視線をやってみた。
「なに?」
目が隠れるほど長い前髪(右目側だけが少し短い、何故だろう……)。肩にマントを乗せた暗い雰囲気の少年が座っていた。
「え、と、お、俺シルティーン。いきなり、こんな感じになって大変、だよな」
「……めんどくせえ。自分、もう行くから君、その子よろしくね」
と言って少年は立ち上がる。
「それは許しませんよぉ、リフルベ・ウォイド」
去ろうとしたリフルベの肩に痩せこけた骨の様な右手が乗っかった。
「私が頼んだのです。彼女は、この街の司祭。分かりますか?司祭とは、王の為にクソッタレな偶像に祈るのです。偶像などはどうでもいいが、王の為に、なのです。そんな彼女が疲れているのですからこの国の者は命を賭してでも看病せねばいかんでしょう。ねェ?リフルベ」
あまりの抑えつける力にリフルベは無理矢理またベンチに座らされる。
2人は、殺気籠った背後をゆっくりと確認してみた。
先程の神父だ。
既に少女は、左脇に抱えられている。
「御苦労。礼をしたい、のですがこの状態です。まったくもって不愉快極まりないが、君達を王の元にお連れしましょう。さ、君達も」
と、神父が背後に居る2人に呼びかけた。
1人は、この国に来た時シルティーンが見失ったサハタだった。
もう1人は、赤い水晶の付いた杖を持った十字架の装飾の付いたキュロットを着る少女。
「サハタ=ムスターファ、リフルベ・ウォイド、シルティーン、エミル。先程、レビィから連絡があったので君達を知りましたが、ようこそ。我が王の国へ」
怖い。正直言って今目の前に居る神父が怖かった。
包帯で包んだ頭から見えているのは、右目のみ。
その右目は常に血走っている。
「さて、メアーユ。用事は済みました。さっさと起きなさい。王の元へ行きますよ」
そう言ってまだグッタリするメアーユを右脇に抱え、神父は4人を連れて行った。