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世界に光と花束を……


 頭上には果てしなく続いているような星空があった。

 星は昔の光をちっぽけなこの星まで届けている。

 その光は時々揺れるように瞬いては、まあるい光を金色に染めている。

 僕は泥に汚れた手を伸ばしてみた。

 やせ細り酷く貧相に見える手は、夜空に届きそうで、当たり前だけど届かなかった。

 星は目の前にあるのに……。

 ぎゅっと拳を握る。

 星は捕まえられなくて、頭上でやっぱり瞬いていた。



 平和な日は、突然姿を消した。

 僕はまだ中学生で、やっと二年になれるとか言っていた時期。

 世間ではそりゃあ色々な問題があったけど、世界的な問題なんてこんな中学生がどうこうできることじゃない。

 だから僕はどんなことがあっても、関係ないって思っていたんだな。きっと……。

 ある日のことだ。僕は当たり前だけど学校に行っていた。

 外にある桜の木は、開花までもうそろそろって頃。

 外には蒼い空が広がっているいつもどおりの授業中に、突然ノイズ音が入った。

 シャーペンを持ってカリカリとノートに落書きをしていた僕は、クラスメイトの誰もと同じように、教科担当の方へと視線を向けていた。

 不安と緊張の空気が、張り詰めた。

 どのクラスもざわついていて、廊下が嫌に騒がしくて。

 だけどそれが、全ての始まりで、終わりだった。

 第三次世界大戦が始まったんだから――。


 開戦、西暦二千百十年 三月二十二日。

 あっという間の出来事で、僕は何がなんだか解らなかった。

 だって日本は戦争の放棄っていうのを主張していたし、憲法にだってちゃんと書いてあったから。

 でもそんなことを悠長に考えてなんかいられなかった。

 空からは鉄の塊がどんどん降ってくる。住み慣れた町は昼間でも夕暮れのような茜色に染まって、黒煙がいたる所で立ち上っていて……。

 聞こえるのは悲鳴と泣き声と、鉄の塊が落ちては破裂する音だけ。

 でも、神様はそれだけでは許してくれなかった。

 天変地異って言葉。

 その言葉どおりのことが地球規模で展開されたのだ。

 日本は空が一面が暗雲に覆われて、嵐や台風が何度も起こった。

 とどめとばかりに、大地震がこれでもかというくらい頻繁に起こった。

 ダブルパンチどころかトリプルパンチを食らった世界は、一気に人口も減っていって……。

 西暦二千百十三年春。戦争は知らぬ間になくなっていた。あたりは無残な形となって残っている。


 そして、この辺りで生き残っているのは、

 僕一人だけだった……。


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