あばらかりんとう
急に
あばらがかりんとうになっちゃった。
口にすると恐らくあの素朴でのっぺりとした甘さを味わえるのだろうな、という予感だけが僕の脳内には存在しているけれど、そもそもどうやって食べれば良いのか分からずにいる、今日この頃……
あ、とれちゃった。
僕のあばらのかりんとう。
一口齧ってみよう。あら美味し。黒糖のコクのある甘みとサクサク生地?っていうのかな?かりんとうの本体。その本体の歯応えがやけにクセになるや。だけどいっぱい食べたら胃もたれしちゃうかも。だけど止まんないなー。何でだろ。
僕はあばらのかりんとうをひたすら貪り続けて、まるで初めて砂糖の快楽的な甘みを知った赤ちゃんみたいに、ただ無心で平らげてしまいました。
あーあ。無くなっちゃった。
肋スッカスカ。
あれれ
待って。
肋を平らげた後、僕は気付いてしまった。
今度は前歯がとうもろこしになってない?
試しに一つ前歯を抜いてみると、歯とは思えないくらい簡単に抜けて、それはやはりコーンになっていました。もう一回口に放ひこんで、奥歯で噛みしめてみます。ほんのりとしたコーンの甘みが口内にうっすら広がって、脳にその情報を伝達します。うん、美味し。けど前歯が無くなっちゃったから、ちょっと喋りづらいかも…
ん?
途端に視界が片方無くなっちゃいました。
ぼやけた視界でふと下を見ると、そこには目玉が転がっていました。それが僕の目玉であることは、何となく分かりました。そしてそれは、ぶにぶにと弾力がありそうです。食べられそう。そして甘そうだな。食べてみました。するとそれはグミでした。グミのようにハードな弾力で、僕の奥歯を跳ね返してきます。だけど噛むたび溢れ出るケミカルな甘さが、僕を咀嚼中毒にさせます。あれ、こんどは爪がべっこう飴になってるぞ?食べちゃお。うん、目玉とのマリアージュ。美味しい。指の皮が、クレープ生地になっている。ささくれがパイになっちゃってるぞ?全部美味しい。まるで僕が僕じゃないみたいだ。僕は今、子ども達の夢の具現化なんだよ。甘くて美味しいお菓子の人間なんだ。しかもそれを、自分ではべへふんはよ。食べれるんだよ。あかん、もう喋れなくなってきちゃった。糖質が頭に回って、眠たくなって来ちゃったかな?けれど、食べるのをやめられないんだ。どうしたら良い?どうしたらーー
ーーブラック・アウト。
あ、視界が完全に消えたよ。
どうやらもう一つの目玉も落ちたみたいだ。
目玉、目玉…
なんてメガネを探すみたいに、自分の目玉を探しているこの構図、側から見たらめっちゃ面白くない?しかもその目玉が甘くて食べれるんだよ?そんなことある?
あ、今ベロもお菓子になった。これは何だろ。チューイングキャンディーかな。目玉はまだ見つかって無いけど、とりあえずベロ食べよっか。3、2、1、
ガブリチュウ!
ベロをガブリチュウしました。
すると鮮血のトマトジュースが、その断面から吹き出してきてーーごくごくごくごくごくごくって、溢れてしまわないように上を向きながら飲むと、それはもう痛快。
トマトジュースのドロっとした飲み心地が、喉にこべりついた糖分と絶妙に混じり合わなくて、逆にクセになります。
あー、
なんて最高なんだろう。
気がつくと僕の身体は穴だらけ、欠損だらけ。
全身甘い。甘み人間。
だけどそれで良いんです。
これは僕が望んだことだから。
僕の身体のお菓子は、誰にも渡さないよ。
僕がぜーんぶ、喰らってやるんだから。
足が、ふ菓子。になった実感だけがある。(見えてないから)
ふ菓子のあの脳天に直撃するような重たい甘さ、良いじゃないですか。僕は好きですよ………
いただきまーす。
…足も、何となく切り落として食べました。
しばらくして
僕の身体はほとんど消えてしまったけれど、
渋ーいお茶だけ最後に欲しいなーなんて思っていたら、
かぽーん。
そこは日本庭園。
ずず。
渋ーい抹茶をひと口。
あーーー…………
ご馳走様でした。
なんて言いながら、
悠々自適な休日は、まったりと続いていきます。
休日万歳……!!




