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やっぱりなにが書いてあるんだろう

花音は部屋の片付けをしていた。母親には、掃除をするなんて珍しいと言われた。だけど突然だろう。今日は初めてうちに来る友達がいるのだ。


「花音?咲ちゃんが来てるわよ。」


やっぱり来た。


「知っているかい藤沢。裏山にある、謎の石碑を!」


「あー今日はそれだったね」


「なんだその冷めた態度は!」


咲とは仲がいいし、なにより話している内容を全て知っているのでどうしても雑に扱ってしまう。


「そう、それでね。この町には実はとんでもない秘密があって、それがその石碑に書かれていると…」


「咲さ、もうお祭りまで二週間しかないんだよ?準備とかしなくて良いの?」


これも一応聞いておこう。もし屋台が完成しなかったら、前回と大きく違う世界になってしまって動きにくいから。


「あー、それなら大丈夫。輪ゴム鉄砲なら私が家でチマチマ作ってるからさ」


そういうとどこから取り出したのか、割り箸で作った鉄砲を手に持ち花音の額目掛けて発射した。花音は咄嗟に顔を横にずらすと、飛んできた輪ゴムを回避したのだった。


「藤沢、あんた時代が違ければ大活躍だったかもね」


「そんなことないわよ」


咲は強引に話を続けた。


「いや、今回の石碑の件はねー、実は依頼人がいるのだよワトソンくん。」


「ワトソンじゃないです」


このやりとりはしないといけない呪いにかかっているのか。玄関の方からゴトゴトと音がすると、やっぱり彼女が入って来た。真面目系眼鏡っ子女子、鈴原由奈。


「お、お邪魔しまーす…」


「ふふーん。私が呼んだのさ。」


「でしょうね。で、鈴原さん何の用?」


一応聞いておく。


「ごめんね。私、邪魔だよね。やっぱり帰るよ。」


「いやいやいや!鈴原さん、話を聞かせて!」


こうして三人は由奈の持ってきたスナック菓子を頬張りながら話を始めた。


「さあ、由奈。花音に全部話しちゃって!」


内容は前聞いたものも全く同じだった。古い本を見つけ、例の品が挟まっていたというものだ。由奈はくしゃくしゃで、所々破れた紙を机の上に置いた。そこには、こう書かれていた。


『百鬼夜行が来る!』


「なにこれー?気持ち悪ーい」


咲が軽くそう言う横で、花音は固まっていた。その字を見た瞬間、急に気持ちが悪くなった。


「ちょっと、トイレ」


そういうと花音はトイレへと駆け込んだ。震えが止まらない。あの日のことを思い出す。私はあの日、八月十九日、全てをなくしたのだ。今ここにいるのは奇跡なのだ。いや、だけど逆に考えるんだ。あの紙の謎を解くことによって、解決の糸口が見つかるのではないか?覚悟を決めた花音はリビングへと戻った。


「だ、大丈夫ですか?変なものを見せてごめんなさい」


何も悪くない由奈がとても申し訳なさそうにしている。


「いや、鈴原さんは全然悪くないよ。私に、この一件を解決するのに協力させて欲しい。」


咲は意外そうな顔をしたが、由奈は嬉しそうだった。


「あとさ鈴原さん」


「なんですか?」


「由奈、って呼んでもいいかな」


由奈は満面の笑顔で答えた。


「はい!」


花音が興味を持ったのが嬉しいのか、咲は饒舌に語り出した。


「それでね、私が独自に調査していた時につかんだ情報なんだけど、裏山の石碑ってもうなにが書かれていたか掠れて読めないじゃん?どうやら『百鬼夜行』に関する記載があったっていう噂なのさ。この紙と石碑。無関係だとは思えないだろう?」


花音は思い出した。そうだ、そういえば。祭りの日の火元は確か裏山だったはずだ。これがもし石碑と関係があるのなら……


「咲、由奈!行こうよ、裏山へ」


 こうしてまたもこの石碑の前へと三人はやってきた。前はなにもわからなかったが、今日こそは、何かがわかるかもしれない。


「由奈。百鬼夜行ってさ、火を纏ったりしてるの?」


「うーん、諸説はありますが、たくさんの妖怪が行列を成すのでそういう妖怪がいてもおかしくはありませんね」


結局その日はそれ以上は何も分からなかった。由奈から屋台作りに参加したいという希望を伝えられ、快く了承するところまで、何も変わらなかった。

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