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Re:始まりの夏

薄い木製の壁にどん、と何かが当たったような音がしたと思ったら、それをきっかけとして「みーん、みーん」と蝉が鳴き始めた。部屋の中なのにとっても暑い。身体中が嫌な汗でべったりだった。窓を開けようと思ったが、窓にも蝉が張り付いていたためそれをやめて読みかけの雑誌へと視線を戻す。


 (少しお腹が減ったな…)


一階へ降り台所へと向かうと、机の上には置き手紙があった。


『ママは少し買い物に行ってきます。お腹が減ったらこれを食べてね。』


その横には丁寧にラップに包まれたおむすびが三個ほど皿の上に並んでいた。スマホ片手におむすびを口に運び始めると、玄関の戸を叩く音が聞こえた。


「藤沢ー!!いるかーー???」


花音は玄関へ向かい戸をガラガラと開くと、親友である砂町咲を迎え入れた。


「言っておくけど、あんたに出すお菓子とかもうないからね」


呆れた風に花音がそう言っても、咲はニコニコしたままだ。


「おーい、なんだーその態度は?私はお客様だぞ?ガハハ」


「で、今日は何の用なのよ」


「そうそう藤沢ー。今日もまた面白い噂を持ってきてやったぞー?」


「なんで私が噂を持ってきてもらう側なのよ」


なんだかんだで花音は咲に麦茶を用意しながら、少し笑顔を交え会話をしていく。


「藤沢、三番地の駄菓子屋を知っているだろ?」


「そりゃ知ってるけどさ」


「なんとだな、私が掴んだ機密情報によると、あの駄菓子屋にこの前、人が出入りしていたらしい!!」


鼻息を荒くして近づいてくる咲の顔を手で押さえる。


「ちょっと待って。こんな話、前もしなかった?」


花音が疑問を感じるも、咲はぽかんとした顔をしている。いや、やっぱりおかしい。私はこの話を知っている。オチは確か…


「それさ、駄菓子屋のおばあちゃんの息子さんとかなんじゃない?」


「えーつまんなーい!でもやっぱし、不審者の可能性もあるわけだしさ。行こうよ藤沢!」


どうしても気が進まない。根拠はわからないが、絶対に不審者とかではない気がする。


「じゃあさ咲、一旦確認しに行こうよ」


 そうして、花音と咲は神社を訪れた。


「ねえどう思う神主さん?」


神主は少し渋い顔をした後、


「なるほど。事情はわかりました。少し確認して来ます」


 そうしてわかった真相。今回の結末。駄菓子屋に出入りしている謎の人物は、やはりおばあちゃんの息子さんだった。おばあちゃんがつい最近亡くなり、遺品を整理しに来ていたらしい。咲はつまらないと連呼していたが、どう考えても間違えて高橋さんを取り押さえてしまうよりはマシだろう。

 晩飯と風呂を済ませた花音は、部屋に戻ると昼に読んでいた読みかけの本を棚へと戻した。その時だった。ぱら、と何かが落ちた。クマさんの絵がついた絆創膏。


(この絵どこかで…?……!!!)


思い出した。オカルト研究会のこと、祭りの準備のこと、屋台のこと、大雨の日のこと、そして……

 花音はすぐさま日付を確認した。七月十九日。祭りはちょうど一ヶ月後の八月十九日。


「も、戻ってる…?」


昼に花音が読んでいた漫画もこういう内容だった。


「まさか、私は……タイムリープをしている?」

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