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第九十話

「……信頼する?」 店長は、継人の意外な言葉に、目を見開いたまま固まっている。

「はい」 継人は、真剣な顔で頷いた。


「……私が、騙してる……とか、疑わないのか?」 「え?」 継人は、その問いに、思わず笑ってしまった。 「散々、『私は人を騙さない』って言ってたじゃないですか、店長。それはないですよ」


「……」 店長は、継人の屈託のない笑顔に、一瞬言葉を失った。

「あ、あれ?」 継人は、ふと最初の疑問に立ち返った。 「でも、それだと……一番最初に俺がここで働くことになった、『弁償』って話は……?」


店長は、タバコに火をつけ直すと、短く答えた。

「……それは、半分本当」

「半分?」

「ああ。本来、弁償が必要なのは事実だ。だが……もう半分は、お前を近くに置いて、あの『飴玉』の影響で、体や他に変化が出ないか、確認しようとした」


「……やっぱり」 継人は、納得した。

「じゃあ、店にいない時の俺の様子とか……どうやって?」 継人は、前に店長が大学の休講を知っていたことを思い出した。

「大学が休講だって知ってたのも、それですか?」


「ああ」 店長は、あっさりと認めた。

「知人に頼んでいる。外での君の見守りをな。だから、君の学校の休講も知ってた」

「知人……」 (使いつかいま的ななにかを……?) 継人は、一人で合点がいった。


店長は、タバコの煙を吐き出すと、継人を見た。

「……他に、聞きたいことはあるか?」


もう、隠し事はない、と言わんばかりの真剣な眼差しだった。 継人は、一瞬考え、そして、満面の笑顔で言った。


「あ! 味噌汁の作り方、教えてください!」

「……は?」

「いや、こないだもらったやつ! あれ、マジで美味すぎて、ずっとあの味忘れられなくて!」


「……ぷっ」 店長は、継人の(状況にそぐわない)あまりにも真剣な願いに、思わず吹き出し、そして優しく笑った。

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