表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/114

第七十七話

作業も終わり、店はすっかり元のガラクタだらけのレイアウトに戻った。皆で作業していたから、賄いも使っていなかった。

「……さて」 埃を払った店長が、タバコに火をつけながら言った。

「飯、食いに行くか」


ラキたちが「「よっしゃあ!」」と沸き立つ。店長は、継人を見た。

「バイト君も、もちろん来るよね?」

「え、あ、はい! 行きます!」 断る理由もなかったので、行く事にした。


(店長、昔お酒で失敗した事があるって言ってたし、居酒屋ではないだろうな) 継人がそう思っていると、連れてこられたのは意外にも、モクモクと煙の立つ大衆焼肉店だった。

(……ああ、ここならタバコ吸えそうだ) 継人は店長の意図をすぐに察した。


席は、自然と分かれた。 タバコを吸う店長とトラさんが、換気扇に一番近い端に座る。 その隣に、カネさんとラキさんが(煙の)壁を作るように陣取り、継人はくまさん、ホシさんと並んで座ることになった。


(あ……店長と、離れた席になっちゃったな) 継人が、無意識にそう思っていると、目の前のホシさんがジロリと継人を睨んだ。

「なんだよ。あーしじゃ不満か?」

「えっ!? ま、全くそんな事ないです!」 継人は慌てて首を横に振った。


「すみません、カルビ10人前、ロース10人前……」 流れるような口調でトラさんが肉を注文し 、店長は早速タバコに火をつけた 。 すると、店員が人数分の中ジョッキを運んできた 。

「あれ? 俺ウーロン茶って言いましたけど……」 継人が戸惑っていると、ラキがニヤリと笑った。

「今日は特別なんだよ」


ラキによると、年に一回だけ、このハロウィンのバタバタが終わった時だけ、酒呑童子である店長は、酒を解禁するのだという 。


継人の前にも、ビールジョッキが置かれる。 店長が、珍しくタバコを置き、自分のジョッキを持った。

「……お疲れ様」 店長の乾杯の合図で、店長を含めた部下たちが、一斉にジョッキを煽り、飲み干した 。

  「「「かーーーっ!!!」」」 全員、実に美味そうに飲んでいる 。 (うわ、店長がお酒飲んでる……)


継人が、その貴重な光景に目を奪われていると、目の前のホシさんが、自分のジョッキ(もちろん空だ)をドンと置いた。 「バイト君は、自分のペースで飲みなよ」


継人は「あ、はい」と頷き、自分も一口、ビールを飲んだ。

この後、あんな事になるなんて――この時の俺は、知る由もなかった 。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ