第26話 スピンオフ・セイラとリオンの「君にまた会えたら~」④
ここまで読んでくださってありがとうございます。。
時を越えて出会い直したふたりが、ようやく辿り着いた“愛のかたち”。
名前が変わっても、姿が変わっても、
想いは変わらなかった――
そんな「運命の続きを生きる物語」を、
どうか最後まで見届けてください。
「恋から始まる愛の物語」
──あの日、ふたりの心が重なってから。
アルセイラ王国には、長く穏やかな陽が射していた。
戴冠式を終えた新王・ゼノと、婚約者となったミアーナが中心となり、王宮の空気は以前にも増してやさしくなった。
そして──
王宮の西の離れ。
そこには、静かに暮らす“ふたり”の姿がある。
「……ここ、落ち着くね。庭もあって、窓から朝陽が入るの。やっと落ち着く毎日になった感じ。」
セイラがカップを手に、木漏れ日の差す窓辺で微笑んでいた。
その隣で、リオンは静かに頷く。
「この離れ、もともとは王妃様が“姫のために”って残していた部屋らしい。誰にも使われないままだったんだとさ」
「そっか……。母上が……」
そのとき──
コンコン、とやわらかなノックが響く。
「失礼します……」
扉の向こうから、静かに現れたのは、セリーヌ王妃だった。
長いローブをまとい、気品と温かさをそのままに抱くような眼差しでふたりを見つめる。
「母上……!!」「王妃様!!」
セイラは驚きながらも、すぐに駆け寄り、ぎゅっと抱きついた。
その細い肩を、セリーヌはやさしく抱き返す。
「……セリーナ!あなたが笑っているだけで、私はそれで幸せです。
この部屋で……セイラとして生きることを選んでくれて、本当に良かった。。」
「ありがとう……母上」
リオンは少し離れて、静かに頭を下げた。
「王妃様、私のような者がセリーナ様と…いや、セイラと共にいれること……心より感謝いたします」
「……私の“娘”を、よろしくね。リオセンス。」
静かに交わされた言葉は、ふたりの関係を誰よりも深く認めてくれる、やさしい祝福だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
それから数日後。
王宮から客人が訪れた。
「──お邪魔するよ。セイラ!リオン!」
「ゼノ殿下!? えっ、ミアーナ様も一緒に!?」
「ふふ。ちょっとしたお祝いに来たのよ。セイラ、リオン。おめでとう」
二人は顔を見合わし、なんの事だか…
わからなかった。
ゼノは肩に外套をかけ、少し照れくさそうに招待状を差し出した。
「……お前らの、婚姻届と式の準備が整った。
父上が退いた今、俺が“許可”を出す立場だからな……正式に、婚約を認める」
「それって……!」
「はい。王族のセリーナ姫としてではなく、“セイラ”として。
王宮の記録には、『王家の庇護下にある騎士と平民の結婚』として処理してある。
つまり、お前たちはこの世界で夫婦になれるいうことだ。」
「……ゼノ様……!」
セイラは心からの笑顔で、ゼノとミアーナに深く頭を下げた。
「ありがとう……!」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
その夜。
王妃セリーヌの用意した衣装室では、
ミアーナとセイラが並んで鏡を見つめていた。
「ふふ。セイラは何着ても似合うわね。」
「……これが“花嫁”なんだ……。私は、この世界でリオンと一緒になるのか…」
セリーヌが、そっと後ろから髪を梳かす。
「何か…ひっかかることが?」
「母上…私はセリーナだけどセリーナじゃない。セイラなの。ルシアも気になるし…私だけこんな幸せでいいのかな?」
セリーヌは何も言わずに鏡に映るセイラをセリーナと重ねて、静かに口を開く…
「セイラ…あなたは今まで、この国の為に、記憶を持って大災の責任を抱えて扉に消えてしまいました。
私が…あの時、扉に入れば良かったと、何度も後悔をしていました。
ですが、私はあなたに会えた。
それが答えです。
私はあなたに生きて欲しいと。幸せになって欲しいと心から願っていました。セイラおめでとう。本当によく頑張りましたね」
セリーヌはそっとセイラに手を添えた。
その手はやわらかく、どこまでもあたたかい。
鏡越しに目を合わせた三人の女性たちが、まるで血より深い絆で結ばれているように思えた。
「ルシアは大丈夫。あの子はどこかの世界で必ず生きて幸せになるはず…だってあの子は私の子どもで、セリーナとゼノの弟だもの。」
◆ ◆ ◆
その夜、リオンはひとり、
部屋のテラスで星空を見ながら、お酒を片手に立っていた。
「……ただの憧れの王女様だったのに……。
強くて優しくて暖かくてか弱くて……。あんなセリーナ様がまさかのセイラだったなんて、夢みたいだ。」
そこへ、そっと背後からセイラが現れた。
「……お酒ばっかり飲んじゃって!明日はゼノ王やミアーナ様や母上たちが用意してくれた、結婚式なんだよ!!飲みすぎたらだめだよ!」
振り返ったリオンの頬が、ほんのり赤く染まる。
「……セイラ…綺麗だ。ずっと君とこうしていたい。」
「……ちょっと酔っ払ってるのー?リオンたら。やっぱりリオンと結婚するのやめよーかな。」
慌ててセイラの方見たリオン。
体制を崩し、倒れかけるが、身のこなしが最強な護衛騎士様。クルっと一回転の跪きで安定した。
「ぷはは、、リオンたらっもう本当に好き」
リオンは手を取り合い、静かに口付けをし、月明かりの中で二人で寄り添った。
──これは、“運命”を超えて歩き始めたふたりの物語。
恋を越え、愛にたどり着いた――
それは、ふたりだけの「世界」の始まりだった。
次の日はリオンとセイラの結婚。
セイラが明日、寝不足で大慌てで大変な一日になる事は…
ここだけの話です……
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リオンとセイラ(セリーナ)の再会と約束、
ゼノとミアーナの不器用で誠実な愛、
そしてそれぞれの「君にまた会えたら」の意味。
書きながら、私自身も何度も涙して、笑って、
登場人物たちにたくさんの想いを重ねました。
そして何より、読んでくださった皆さまの温かい応援が、
物語をここまで運んでくれました。
さて、次で完結いよいよ最終回です。
ぜひ最後までお読みください。




