第25話 スピンオフ・セイラとリオンの「君にまた会えたら~」③
“時を超えて、想いは届く――”
小さな騎士と王女が交わした、あの日の約束。 長い時間を経て再会したふたりが、ようやく本当の気持ちを言葉にする時が来ました。
セイラとして、セリーナとして、そしてリオンと共に歩む“今”を描いた やさしくて、ちょっと照れくさい、ふたりだけの特別な時間です。
「時を超えて、守りたかった君へ」
あの後、数時間続いた言い合い(雑談)
は終わり、ミアーナがゼノを連れて行き、幕を閉じた。
リオンはゼノとミアーナを見送ったあと
そっとセイラの手を取った。
「……少し、歩かないか」
「うん」
ふたりは庭園の小道を並んで歩く。
昔二人で歩いた庭園だ。
風が葉を揺らし、淡い光が木々のすき間からこぼれていた。
沈黙が続いたあと、セイラがふとつぶやく。
「……リオン、ここでよく剣を練習してたね。思い出したよ。全部」
「……そうか」
「セリーナだった頃のこと……あなたが小さな体で、必死に剣を振っていた姿。あの瞳……まっすぐで、まるで誰よりも強くて、凛としていて、かっこよかったよね」
セイラは小さく笑う。
「でも、今はあなたのほうが年上だなんて、当時は私の方が年上だったんだよ。……なんだか不思議だよね…時を超えて再会して、今こうして隣に立ってるなんて」
リオンは、はにかむように視線を逸らした。
「……あの頃の俺は、未熟で、君の手をとって助ける事ができなかった。すまない…」
「ううん。私は、あのときのリオンも大好きだったよ。小さいのに誰よりも頼もしくて……。たぶん恋はしてたのかなって思う。……立場的には恋をしたらダメだったかもしれないけどね!」
セイラはそっと、リオンの腕に自分の腕を絡めた。
「でも、こうしてもう一度“今”を生きられて……あなたより年下になって、ただの“セイラ”として、戻ってきたの。だから今、リオンの隣にいられることが、すごくうれしいの」
リオンの目が、少しだけ見開かれる。
「……お前ってやつは……本当に、ずるい」
「えっ?」
「そんなこと言われたら……嬉しくて…調子に乗るぞ……」
顔を赤くしながら、リオンは小さく呟いた。
「俺の隣で笑ってくれたらそれだけで、どれだけ救われるか……君が何歳でも、過去がどうであっても……“今”の君が、俺にとって待ち望んでた君なんだよ。」
セイラは、胸がじんわりとあたたかくなるのを感じた。
「……うん。リオンがどんな時でも“リオン”だって事知ってる。昔も、今も、あなたは私を守ってくれる。変わらず、ずっと……私の騎士様だった」
ふたりは噴水の前で立ち止まり、自然と距離が縮まる。
リオンは少し恥ずかしそうに目を伏せながら、ぽつりと呟く。
「……君にまた会えた“から”……もう二度と、離したくない。俺は……ずっと、君を想ってきた。やっと、手が届いた。だから……」
セイラはゆっくり目を閉じ、リオンに微笑む。
「……もう、離れないよ。リオン。私は今、あなたの隣にいる。――“セイラ”として、生きてるよ。あなたと…」
リオンはその瞳に吸い込まれるように、そっと彼女の頬に触れ、額を寄せた。
ふたりの影が重なり、風がそっと舞い上がる。
時を越え、心が重なった、ふたりだけのやさしい世界。
──過去の約束も、運命のいたずらも越えて。
ただいまの言葉のように、心がそこにあった。
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「そういえば…リオンは今何歳になったの?」
っふと思い出したかのように聞いた質問に、顔色変えずに淡々と答えてくれた。
「君より年上。今は29で今年30になる。」
「え……。」
心の声が漏れてしまった。。
あんなに可愛かった私の王子様が…
まさか、私のおじ……。
「今、何を考えた??まさか”おじさん”なんて言わないよな?」
っドキ!っビク!っやば!なんて表そう。
考えてる事がお見通しと言わんばかりに、こちらを見つめてくる私のおじ…王子様。いや、騎士様にしよう。
と心に誓った…。
「そ、そっか私より大きくなったんだね…。あんなに小さかった手は、こんなに大きくなった。私を抱きしめてくれた小さな、お…騎士様はこんなにも、頼れる騎士様になった。すごい運命だよね。考えても不思議だわ。」
ふくれっ面をしたリオンの頬を、セイラは両手でぷにっと挟むようにして笑いながら言った。
「どんなリオンでも、私はリオンが好き。昔も今も変わらず…私を想ってきてくれてありがとう」
セイラの両手を、そっとほどいたリオンは、次の瞬間、迷いなく彼女を抱き上げた。
「ちょ、ちょっとリオン!」
驚いて顔を赤らめたセイラを、お姫様抱っこのまま抱きしめるようにして、リオンはにやりと笑う。けれどその表情の奥には、どこか照れたような温もりが宿っていて──
彼はそのまま、セイラをしっかりと腕に抱きながら、王宮の庭園の奥へと静かに歩き出した…。
今回のお話では、ようやくリオンとセイラ(セリーナ)が本当の意味で“今”のふたりとして心を通わせる瞬間を描きました。
幼かった小さな騎士様が、いまは頼もしい中年へ。笑。
年齢のカミングアウトには思わず笑ってしまいますが、それも含めて“時を越えた恋”です
次回はふたりの恋がもう一歩進む、
「恋から始まる愛の物語」へと続いていきます。
また“君に会えたら”、ぜひ読みに来てくださいね。




