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第24話 スピンオフ・セイラとリオンの「君にまた会えたら~」②

記憶も想いもすべてを取り戻した、あの夜から。

これは、“君にまた会えた”その後の物語。

いま、そばにいる君を……もう、二度と離さない。



「君にまた会えた“から”もう離さない」



──風がやさしく吹いていた。


戴冠式から数日。アルセイラ王国は、平穏な光に包まれている。


王宮の中庭では、セイラが小さな花を摘みながら、そっと歌っていた。


その横で、リオンが少しだけ離れた場所に立ち、彼女を見守るようにしている。


「……そうやって花を摘むのは、セリーナの頃と変わらないんだな…」


リオンがぼそりと呟いた。


セイラはくすっと笑いながら、手にした花をリオンの胸元に差し出す。


「はい、騎士様!!私とセリーナからよ。……記憶も、ちゃんと戻ってるから。」


リオンの頬が、わずかに赤くなる。


「──君にまた会えたら、そのときは必ず守る、って言ってくれたよね!」


「……ずっと、ずーと覚えててくれて、ありがとう」


どこか照れたように言って、リオンはそっと彼女の手から花を受け取る。


その様子を、背後からそっと近づいて来る人物がいた。


「……。」


気配を察知したリオンは、セイラを守るように、守りのため剣を抜きその人物へと目をやった。


振り返ると、そこにいたのは新たな国王となったゼノ殿下だった。


「ゼノ殿下……!!」


リオンはすぐに剣をしまい、敬礼と釈明のために跪く。


「……はは、まさか、一国の主に向かって剣を突き立てるとは…笑」


リオンは申し訳なさそうに跪き、胸に手を当てて、こう言った。


「申し訳ございません。国王ゼノ様に向かって…侵入者かと…。」


(侵入者か…。まぁ、今の雰囲気からすると私が君らの侵入者であることに違いない。)


そう心で問いかけると、ゼノは静かにセイラの前に立ち、頭を下げる。


「姉上…。いや、セイラ。今まで、すまなかった。……私は君にも酷い仕打ちをしてきた。王子と言う立場で、君を利用しようとしていた。君はずっとリオンを想い。また、リオンも君を想っている事がわかり、心から祝福したいと…王という立場で礼を伝えたい。」


「今まで苦労させて、すまなかった。本当にありがとう。」


戴冠式を終えた一国の王様が頭を下げた。


セイラは、セリーナとしてやってきた、苦労や苦悩が一気に解き放たれ、優しいゼノ様が戻られた最高の光景であった。


「ゼノ様…私はセリーナの時からあなたが優しくて誠実でとても男らしい誇らしい弟だと知っています。全部思い出しましたから。だから、頭をお上げください。私は…今とても幸せです。」


そう微笑むセイラの横で、リオンがわざとらしく咳払いをした。


「……セイラは私が守ります。何があっても。何も心配しなくても大丈夫です。ゼノ様はもう、セイラに”ちょっかい”は出さないで頂ければと…」


「お、お前な……!俺がどれだけ悩んで、ここまで来てると思ってるだよ!」


「さて?でも私は最初から気づいてましたよ。“姉上”が誰を想っていたかくらいは。。」


リオンの軽い皮肉に、ゼノはぐっと言葉に詰まる。


だが、セイラと、心配したミアーナがそのやり取りを笑い飛ばす。


「……二人とも、その辺にしといてよ。」


「ふふ、そうですね。でも、ゼノ様楽しそう。」


セイラは二人を見て、呆れ笑いをしてる横で、静かに気品のある笑い方とゼノを見つめる愛しい人に向けての眼差しをする。


さすがのミアーナ王妃様。

そっとふたりを包んでいるかのように。


リオンはセイラの横に並び、やわらかく囁いた。


「ゼノ様の事はもう、忘れろ。セイラ、君に、君に”また会えた”んだから、絶対に渡さない!!」


「は?セイラは俺の姉上で……。弟だぞ?いや、弟の前に、俺はこの国の王様だぞ!!」


ふたりの言い合いは続いている。

しかし、いがみ合いというより、冗談交じりでどこか、楽しげだ。


リオンもセイラも、ゼノもミアーナも

その瞳には、もう何の迷いもなかった。


──お互いが“君にまた会えたから”。


それは、再会だけでは終わらない。

四人が新たに、共に歩むこれからの時間の証だった。



忘れられていた記憶。すれ違っていた想い。

でも、君にまた会えた“から”──もう離さないと、今ここで誓える。

次回は、ふたりの過去が交差する夜──“心臓の鼓動”が語る真実へ。


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