第23話スピンオフ・セイラとリオンの「君にまた会えたら~」①
※本話は、前作『君にまた会えたら~』
リオンセイラのスピンオフ作品です。
小さな騎士が交わした、幼き日の“約束”──
それは、時を超え、心に刻まれ続けていた。
記憶を失った少女が、すべてを思い出したとき──
運命の糸は、ふたたび結ばれる。
これは、セリーナとリオン。
そして、セイラとリオンの、
“恋”と“誓い”の物語。
「約束と真実と運命」
──その夢を、何度見ただろうか。
風が吹いていた。灰色の空。
炎の匂い。土埃にまみれた地面に、
小さな影が、震える手を伸ばしていた。
「……セリーナ!! あなたが、この大災を止めなければならないのですか……!?」
少年の声は震えていた。
剣もまともに扱えぬ、小さな騎士の見習い。
けれど、その瞳には、確かにひとりの少女を想う強さが宿っていた。
「……まだ、私には……あなたを救う力がないんだ。……だめだ、、くそ。」
少女──セリーナ・グランリュード。
アルセイラ王国の第一王女にして、“鍵”を継ぐ運命の子。
「せめて──僕に力がありさえすれば……っ。ごめん、セリーナ……」
必死に言葉をつなぐリオンに、セリーナは静かに微笑んだ。
炎の中で、その笑顔はやけに儚くて、でも、綺麗だった。
「……セリーナ……君に、君にまた会えたら、そのときは──
何があっても、必ず君を守るよ。……約束だよ……だから必ず戻ってきてくれ。。」
──その約束だけが、リオンを生かした。
「……リオン」
セイラの声が、風の中で響く。
テラスの静寂のなか、彼女はそっと手を胸に当てていた。
あのときの記憶──
大災の中、誰かに強く抱きしめられた感触。
その人の声、言葉、そして──あの涙。
「……あなたが、あの時の“リオン”だったのね……?」
その言葉に、目の前の騎士はゆっくりと頷く。
かつての面影を残しながらも、今は国を背負う最強の剣士となった男。
リオセンス・フェルグラン──
彼の名を思い出した瞬間、セイラの胸が、静かに震えた。
「……君にまた会えたら、そのときは……
何があっても、必ず君を守るよ。……覚えていますか?」
リオンの声は、かすかに震えていた。
それでも、その瞳はまっすぐに彼女を見つめていた。
セイラの頬を、涙が一筋流れる。
「……思い出した。……だからあなたは……
いつもわたしを……守ってくれていたのね。……ありがとう、リオン」
──運命は、ただ巡るものではない。
誰かの“想い”によって、もう一度繋がれるものだ。
セリーナとして過ごした過去。
セイラとして歩んできた今。
そして、再び出会った、リオンという存在。
すべてが交差し、いまここに、新たな未来が生まれようとしている。
「なぁ、セイラ」
リオンが、不意に彼女の手を取った。
かつて小さな少年だった手は、今や大きく、あたたかい。
「……もう二度と、手放したくないんだ。
だから……これからは、俺の隣にいてくれ。危ない事はしないでくれ。運命がどうであれ、今の俺は……君を…セイラを選びたい」
その言葉に、セイラは頷いた。
心の奥に刻まれた、あの“約束”を抱きしめながら──
「うん。わたしも……リオンの隣にいたい。
セリーナでも、聖良でもなく、この世界の“私”セイラとして……あなたと歩いていきたい」
──それが、“運命”に抗い、“真実”を手にしたふたりの、
新たな始まりだった。
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読んでくださってありがとうございます!
いよいよ始まりました、セイラとリオンのスピンオフ。
小さなリオンが交わした“約束”、そして今のふたりが選ぶ“運命”。
第1話ではその核心に迫る再会と回想を描きました。
次回、第24話「君にまた会えたら、もう離さない」では、
“心”が揺れる夜と、少し大胆なリオンの想いが描かれる予定です。
お楽しみに──!




