表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クールで一途な白雪さん  作者: 隆頭


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/77

七十四話 反省会

「さて、それじゃあ反省会をしましょう」


「格好はつかねぇけどな」


 行為を終えて、下着姿のまま始めた繭奈にそんなツッコミを入れる。顔つきもキリッとしているが、少し視線を落とせばその絵面はだらしないという他ないだろう。

 まぁそれはこの部屋にいる俺を含めた三人ともが同じなので、人のことは言えないが。


「んーで、反省会(はんせーかい)ってのはなにやんのー?」


 学校での姿より一段とラフな態度の冬夏が、そう首を傾げた。繭奈は彼女を見て顎を引き、その質問に答えた。


「あなたのことよ、冬夏」


「んぇ、アタシ?」


 学校では絶対に出すことのない、とってもマヌケな声で冬夏が首を傾げる。心当たりとかないんかコイツは。


「当たり前でしょ。あなた、学校で龍彦くんと親しくしすぎよ。私たちはあくまでクラスメイトという体でしかなくて、それ以上の関係にはなっちゃいけないの。学校ではね」


 分からないといった様子(ふう)の冬夏に、繭奈が丁寧に説明する。それは暗黙のルールと言ったところであるが、冬夏は眉根を寄せて えー…と嫌そうに返事をした。


「なんでダメなのさ。龍彦と仲良くしたらなんかバチでも当たンの?」


「そういうわけではないけれど、龍彦くんだって余計なバカに絡まれるかもしれないでしょ」


 繭奈がそう言うと、クラスメイトのイケメンとのやり取りを思い出したのか、あー…とめんどくさそうな表情をした。ある意味ではバチが当たるとも言えるな。

 要は、俺たちの関係に余計な口出し手出しをしようとする連中のことを考えると、あまり関係を知られたくないという考えがあるのだ。それを冬夏も理解してくれたらしい。


「それは分かったけど、アタシの場合はもう今さらじゃん。だから繭奈は我慢してよね」


「お前が言うなやお前が」


 繭奈が言うならともかく、一番やらかした側である冬夏がなにを偉そうに言っているのかと、思わず肩を叩いてしまう。

 繭奈からは、ピキッと聞こえてはいけない音が聞こえてきた。


「へぇ……別に良いのよ?私が本気で龍彦くんへの気持ちを出しても。そうしたらきっと、冬夏の脳は溶かされてしまうわね」


「なにをするつもりなんですか」


 いったいなにを張り合っているのか、繭奈がなにやら不穏な発言をしている。しかし冬夏は口を尖らせて、反抗的な態度で返す。


「良いじゃんちょっとくらい、どうせ学校 終わったらイチャイチャするクセにさ。さっきだって繭奈ばっか優先しちゃって、アタシは部屋で放置されてたんだし、愛人枠として大目に見てくれてもさー」


 それはついさっきの、繭奈が一人で俺の家に来た時の話だろう。そもそもの優先順位が全然 違うのだから仕方ないのだが、どうやらそれが少し寂しかったらしい。

 それはともかく愛人枠ってなんだ愛人枠って、始めて聞いたぞソレ。


「それなら少しは反省しなさい。一番 困ってたのは龍彦くんなのよ?」


「それはゴメン」


 学校でのことをチクリと言われて冬夏は素直に謝った。なんだかんだ言いつつも、多少なりとも反省はしているのかもしれない。

 とはいえ、だいぶ周囲に見せつけてしまったので今さら取り返しがつくレベルではない。それなら、変に距離を置くよりは多少仲良くした方が自然かもしれないな。

 そんな話をして、今日の反省会は一旦の解散となった。


 くっつきたい(ざか)りの冬夏は可愛いが、それはそれ、これはこれだ。学校でいちゃつくわけにはいかないので、やりすぎ注意ということに決まった。

 そうじゃないと、さすがに繭奈が本気になる可能性もあるし、なにより冬夏が軽んじられるかもしれない。押せばヤれるとか、そんなことを考える輩がいないとも限らないだろう。


 まぁ、俺以外の男子に見せるあの素っ気ない態度を見て、そう考えられるというのなら中々の()(モン)だけどね。


 そう考えると、わざわざ隠す必要はあるのだろうか。あんまり無理に引き剥がすのも少しかわいそうかなとも思ってしまう。

 いつかは、みんなに知られる日も来るのだろうか?



 そして翌朝、場所は教室。相変わらず、登校してきた冬夏に絡まれていた。


「おはよう龍彦」


「おはよ」


 昨日に比べれば大分落ち着いてはいるが、それは俺からすればの話。夏休みに入る前は関わりのなかった俺たちが、夏休みを終えた途端に笑顔で挨拶していれば驚きもするだろう。

 まぁ笑顔なのは冬夏だけだが。


 俺は俺で、周囲からグサグサと突き刺さる視線に冷や汗が止まらない。繭奈からの睨みも止まらない。


「ねぇねぇ、龍彦くん?」


「はい」


 突然(いきなり) 隣の告美から呼ばれたことで、妙に畏まった返事をしてしまう。彼女と麗凪から向けられる視線もどことなく、緊張したようなものに感じる。


「もしかして、笹山さんとは付き合ってたりするの?」


 再来する告美の質問は尤もだった。とはいえ付き合っていないのは本当だし、胸を張って違うと言い張れる。


「そういうわけじ──」


「ちょいちょい春波ちゃん、そんなこと聞くなんて野暮じゃない?そーゆーのはご想像(そーぞー)に任せるって」


「あっ、うん……」


 俺の返事を遮って、冬夏が答えてしまった。誤解が強くなるばかりだが、コイツは反省していないのだろうか?


 くっついてこないだけでも反省会の意味はあったのかもしれないが、これでは昨日と大差ないじゃないか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ