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クールで一途な白雪さん  作者: 隆頭


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四十八話 噂の二人

 祭りが終わりにそれから数日後、繭奈と街で遊ぼうということになった。二人で手を繋いで街を歩く。何しようかな?

 どうして特に何処へ行くという話もしないでデートをしているのかというと、単純に二人で一緒にいたかったからだ。好きな人との時間というのは、一緒にいるだけでも楽しいだろ?


 お互い特に示し合わせる訳でもない、もはやただの散歩であった。

 じきに昼を迎え、適当な店にでも入ろうと思い、ちょうどランチをやっている喫茶店に入ってみた。

 扉を開けると、カランカランと音が鳴る。


「いらっしゃいませー!」


 その音に気が付いた店員さんが、こちらを見てやってくる。随分と美人さんだなぁなんて思いつつ、案内された席に着いた。

 二人でメニューを見て、好きにランチを選ぶ。


 注文を終えてなんとなく周囲を見てみると、昼時だからだろうが、客が多いことが窺えた。ほぼ満席で、これでは捌くのも大変だろう。

 他人の事のようにそんなことを考えていると、配膳をしている人物に見覚えがあった。

 見覚えはあるのだが、明確に誰だか分かったわけでもないので、これ以上気にする事はやめておく。


 そうして繭奈と喋って十分ほど経つと、注文した料理が運ばれてきた。しかしその人物が、先ほどの見覚えのある人であった。


「あれ?二人ともこの間の祭りにいたよね?冬夏(とうか)ちゃんの友達の」


「あっ、はいそうです。冬夏と祭りに行ってました。たしか好透(こうすけ)さん、でしたっけ?」


 俺の言葉に彼は頷く。こんな所で、しかもこんなすぐに会うだなんて誰が予想できただろうか。

 とはいえ今の好透さんは仕事中だ、彼はすぐに料理を並べる。


「今はあまりお話できないけど、また会ったらよろしくね。あと、冬夏ちゃんにもよろしく」


 彼はそう言って手を振って戻って行った。はっきり言って爽やかが過ぎるだろう。

 そりゃ小春さんのように惚れる人だっているはずだ。


 そんなこともあったが、それからは普通に食事を終えて、会計に向かう。対応してくれたのは先程の美人さんだ。

 今日は繭奈に見栄を張りたいので、俺がお金を出した。彼女のことなので多分別でお金を出すだろうけど。


「さっき好透とお話してましたけど、お知り合いですか?」


 会計を終え、お釣りを渡してくれた店員さんがそう言った。まさかとは思うが、とりあえず彼女の質問に頷く。


「知り合いといいますか……俺たち、冬夏の友達でして、先日少しだけ会ったんです」


「そうだったんですね!私、好透の彼女なんです。(しおり)っていうから、また会ったらよろしくね!」


 彼女はキラキラとした笑みでそう言った。

 なんと、小春さんから聞いた名前の人物とまた会えるとは驚きだ。今度 冬夏に会ったら話をしておこう。




 喫茶店を後にして、再び繭奈と街を歩く。すると彼女が、せっかくなので水着を買いに行こうと言い出した。


「まだ海にもプールにも行く予定はないけれど、先に用意してもいいでしょ?せっかくだし龍彦くんに決めてもらいたいの、私があなたの物だってちゃんと印して欲しくて」


「大袈裟スギィ……」


 別に水着を選ぶのは構わないのだが、それがどうして俺の印になるというのか、繭奈の考えていることはイマイチ分からない。

 とはいえ断る理由もないので、近くのショッピングモールを目指す。水着を買ったあとは色々と遊んでも良いだろう。


 そんなわけでやってきたショッピングモールだ。中に入って目指すのは、服が売っている店である。いわゆるアパレルってやつだね。

 大体そういう場所には水着も売っているので、無難な選択だろう。


「そういえば、俺も水着は学校のしかなかったし、せっかくなら買おうかな」


 なんとなくそう言ったのだが、繭奈は目をキラリと光らせてこちらを見る。


「いいじゃない!せっかくなら私が選んでもいいかしら?」


「えっ、別にいいけど……そんな興奮することかな?」


「えぇ!だって龍彦くんが身につけるものを私が選ぶのよ?もはやマーキングじゃない、考えたら興奮してくる!あとでホテル行きましょう、それか龍彦くんのおうちね♪」


 なにやら熱く語っている繭奈である。相変わらずのブレのなさに思わず声を漏らすが、そんな繭奈もとても良い。


 だが、そんな話をしている俺たちにとある出会いが訪れた。


「あれ、龍彦?」


「えっ、(しげる)……」


 そのまさかの出会いというのは、茂たちカップルであった。


 さて、どうする?


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