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クールで一途な白雪さん  作者: 隆頭


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四十一話 勘違い春波

 夏休みに入ってから月が変わって八月を迎え、夏祭りというイベントを迎えた。そんなタイミングを利用して蔵真くんとの時間を作ろうと思った私、春波(はるば) 告美(つぐみ)の望みは残念ながら叶わなかった。

 祭りの日を翌日に控えたその日、彼に電話をかけたものの既に先約があるとのことで断られてしまったのだ。


 いつ彼を誘おうか、そもそも誘っていいのか悪いのか、というか緊張して恥ずかしい……など様々な感情に振り回されてしまい、完全にびびり散らしていた私はこんなギリギリになってようやく彼を誘った……だから手遅れになったんだなぁと、今になって後悔している。


 とはいえ家に籠っていると自己嫌悪に苛まれそうだったので思い切って浴衣を着て、友人である山襞(レナ)と一緒に祭りに来た。


 そうして嬉しいことになんと、蔵真くんと出会うことが出来たわけなのだけれど……

 断られたという出来事も忘れていた私は、彼の近くまで距離を詰めてようやく思い出したのだ。

 誰かと一緒に回っている可能性があると。


 そう思って彼に誰かいないのかと尋ねたのだけれど、妙に困ったような、ばつの悪そうな表情をしていた。そんな彼がちょっとかわいいけれど、どうしたのかな。


 そう思っていると、横からその相手が挨拶をしてきた。白雪さんだ。


 綺麗な黒髪にスラッとした身体、女子の中でも身長が高く美しいような可愛いような彼女。

 最近やけに蔵真くんと距離が近い……というか、中学の時から彼と同じクラスで、私の知る限りでもずっとキツい口調で責め立てるようにしていた。

 高校に進学してきた一年と少し……といっても彼と同じクラスなのは二年になってからではあるけれど、それでも白雪さんの蔵真くんに対する態度は良いものではなかった。


 夏休みに入る前のテスト、その勉強を共にしていたり二人きりでお話をしたりと、それなりに仲良くなってたみたいだけど、まさか祭りを二人で回るだなんて……


 もしかして、白雪さんも蔵真くんが好きなのかな?だとしたら、相当な強敵になりそうだ。

 今まで通りの冷たさであれば問題ないけれど、もし彼に強いアピールを始めたとすれば、それは大変なことだ。


 彼女の綺麗さは相当なものであり、同じ女である私から見ても、初めて見た時は思わず唸ってしまいそうになったほどだ。

 当然見た目では太刀打ちできそうもない。

 だからこれからももっとたくさん遊びに誘って、彼との時間を作って仲を深めなきゃいけない。


 その第一歩として今日は蔵真くんの隣を独占したいと思った。

 白雪さんだって、まだそこまで彼と遊べてはいないハズだ。確証はないけど、私の方が最初に仲良くなったし、中学時代には色々とあったみたいでそれが尾を引いてるはず。


 だから少しでも傍にいようと思いそうしていると、蔵真くんがたこ焼きを買ってすっごく美味しそうに食べていた。

 熱々のたこ焼きで火傷しないようにと、中を上手に冷やしながら はふはふと食べているその表情に、思わず美味しそうだと思って見つめてしまった。なにより、すっごく可愛い♪

 すると、それに気付いた彼がたこ焼きを一つ食べるかと聞いてくれたので、私は迷うことなく頷いた。


 まさかのあーんで踊りそうなほど喜んでいる私と、白雪さんに睨まれたであろう彼。

 そしてそれを羨ましがるレナだけど、残念ながらこの場所は譲れない。もし望むなら白雪さんに替わって貰うのが一番だと思うな。



 なんにせよ、今の蔵真くんと私の関係値はそこまで低くないのではなかろうか?

 きっと白雪さんだって彼とは仲が良いだけで、好きということではないはず……まだチャンスはある!

 そう思った私は、思わず彼に声をかけた。


「蔵真くん、今から二人きりで回ろうよ」


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