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クールで一途な白雪さん  作者: 隆頭


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三十七話 満喫する夏休み

 事を終え、今は繭奈と笹山を送っているところだ。笹山はだいぶしおらしい。

 繭奈とはいつも通り手を繋いでいるが、笹山は俺を挟んだ反対側におり、肩が触れそうなほどに距離が近い。

 未だに顔を赤くしながら、チラチラとこちらの顔を見ているところを見るに、色々と(へき)を狂わされたようだ。


 夏休み初日だと言うのに、激動だったなぁ……



 そして翌日、繭奈とのデートのために彼女の家に向かった。


「待ってたわ龍彦くん。おはよう」


「おはよう繭奈」


 いつも通り二人で抱擁をして、挨拶(あいさつ)を交わす。相変わらずの抱き心地の良さだ、たまらない。


「むふぅ♪龍彦くんの匂い……すんすん♪」


「ちょ……」


 早速俺の肩に顔を埋めて、すんすんを鼻を匂いを嗅いだ繭奈が恍惚とした表情になった。

 さすがというかなんというか、彼女らしいと言う方が正しいだろう、可愛すぎる。


「はは、繭奈は龍彦くんが大好きなんだな」


「おはようございます」


 抱き合っている俺たちを見て笑っていたのは舞智(まさと)さんだ。挨拶をすると、彼もおはようと返してきた。


 それから俺たち二人は舞智さんに見送られつつ街へと繰り出し、昨日行こうとしたのだが結局行かなかったボウリングへ行くことになった。


 受付を済ませて靴を取り、俺たちに割り当てられたレーンに向かった。

 ボールを取って順番を決めた。


「ボウリングなんて久しぶりだな、上手く投げれるか心配だよ」


「ふふ、龍彦くんなら大丈夫よ」


 レーンの前に立ちボールを構え、狙いを定めてボールを転がした。





「はぁぁ……」


「まぁまぁ、そう落ち込まないで?慣れてなかったのなら仕方がないわ」


 ボウリング場を後にした俺たちだが、今は繭奈に背中を撫でられているところである。つまりフォローされているところなのだが、どうしてこうなっているのかというと、俺の点数がボロボロだったからである。


 ちなみに繭奈は普通に上手でした、なんであぁもストライク出せるの?

 三ゲーム通して彼女が出したストライクは二十回ほど。その他は全部スペアか一本残しだ。


「私はほら、付き合いで何度も行ってるからできただけよ。龍彦くんも頑張ればあれくらいは余裕よ」


「あぁ、うん」


 繭奈がそう励ましてくれるものの、彼女の元のスペックが高すぎるせいで慰めにもならない。

 最近は色々とぶっ壊れていたので、完全に忘れていたけど繭奈は運動神経もかなり良かったっけ。


「まぁその、そんなに落ち込まないで?点数で龍彦の価値は決まらないわ」


「あはは、そりゃどうも……」


 あまりにも気まずくなって、力無く返事をすることしか出来なかった。しかし繭奈はそんな俺を抱きしめる。


「ふふ、沢山甘えればいいわ。ギュってするからね♪」


「ありがと」


 別にそんなに落ち込んでいるわけでもないが、せっかくなら甘えさせてもらおう。

 沈んでいるように見えたのは恥ずかしかったからである。


 繭奈のバブみを堪能した後、二人で食事をしてその日のデートを終えた。

 今回は行為をすることは無かったが、十分過ぎるほどの時間を楽しむことができて満足だ。




 それからも何度か遊びに行く日があり、遊びに行ったり食事に行ったり、俺の家に来て課題を進めたり行為をしたりと楽しんでいた。

 もちろんそれは繭奈だけでなく、茂とも遊びに行ったりしていたし、笹山とも遊びに行くことはあった。


 そして八月に入って一週間後、夏祭りが行われるということで繭奈と待ち合わせをしていた。

 場所は近くにある大きな公園だ。緑地と名付けられている場所で行われる、毎年恒例の行事である。


 その公園の入り口は人でごったがえしているため、待ち合わせは少しだけ離れた場所だ。

 本当は浴衣が欲しかったが、そんな大層な物は持っていないので諦めた。来年には着ていきたいな。


「お待たせ龍彦くん」


「ヤホー」


 その声に気付いてそちらを向くと、そこにいたのは繭奈と笹山であった。

 繭奈は藤の花が彩られた明るい紫色の綺麗な浴衣である。

 対する笹山は浴衣ではなかった。別に期待はしてないが。


「やほやほ。別に待ってないからね、会えて嬉しい」


「んふふ、私も嬉しいわ♪」


「っかぁ~あついあつい!」


 顔を合わせるや否や抱き合った俺たちを見た笹山が、額に手を当てて大袈裟に言った。

 その頬はさっきより赤みが強く、やはりこういうことに興味があるのだと分かる。


「当たり前じゃない冬夏(とうか)、今は夏なのよ?」


「「そうじゃない」」


 笹山の言葉に対して言った繭奈に、二人でツッコんでしまった。

 気温のことをわざわざ話しているわけがないのだが、そんな勘違いをしているところを見るとやはり繭奈なんだなと安心する。


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