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「カティア様。ただの婚約破棄、ではありませんよ。問題だらけですが大事なことを忘れておられますよね」

「大事なこと、ですか……?」


 心当たりがないですね。私の気持ちはともかく、問題視されているのは彼らの態度だと思いますし……


「個人的な意見ですが……俺が一番許せなくて申し訳ないと思っているのは、あなたの尊厳を傷付けるような行為をしていたことです。お気付きでしたか? 俺が留学に行く前と比べて、長期休暇などの一時帰国でお会いした時のカティア様は本当に疲れ切った顔をしておられました。毎日見ていると変化を感じづらいものなので、気付くことが出来たのは俺くらいだと思います」

「彼らの態度で私が落ち込むようなことはありませんでしたが」

「カティア様は幼い頃から我が家に通っておられたでしょう? 傷付き慣れているからそう思い込んでしまっていただけなのでは? 悲しいことですが、感覚が麻痺しているのだと思います。ああ、もう一人いましたね。メイスフィールドの皇太子殿下も俺と全く同じ意見でしたよ」


 そういえば……レオン様の留学先はメイスフィールドでしたね。学年は違いますが交換留学だったはずです。お二人も交流があったのでしょうか?


「両親も兄上も、使用人までカティア様の努力も気持ちも踏みにじって、挙句の果てに婚約破棄だなんて……本当に申し訳ないです。兄上も兄上ですよ。母上が関係しているようですが、やってしまった事実は変えられませんし……」

「レオン様が気にされる必要はありませんよ。私は自分が傷付いていたのかも、疲れていたのかも分かりません。ですが今は幸せなので大丈夫です」

「そう、ですね……取り乱してしまいました。少し上から目線に思われるかもしれませんが、一緒にいて幸せだと思える方と出会えたようで安心しました。遅くなりましたがご婚約おめでとうございます」

「ありがとうございます、レオン様」


 私に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で何やら呟いていた彼に苦笑しつつ、今は幸せであることを伝えると、少し逡巡した後でお祝いの言葉をくださいました。

 彼は婚約者がいらっしゃらないのが不思議なくらい素敵な方なんですよね。以前婚約はしないのかと聞いたことがありますが、今はまだそのつもりはないとおっしゃっていました。いつかレオン様も素敵な方と出会えたら良いのですけど。


「今日のお昼頃、再び王城で会うことになるでしょう。話し合いと言う名の断罪場です」

「はい。カティア様に言われていた通り、事前に使用人は罰しておきました。一応母上に命じられてのことだったので、ほとんど全員解雇に留めました。主犯格以外は次の就職先も紹介しています」

「ありがとうございます」


 王城に使用人を呼ぶことはできないので、彼らに関してはレオン様に一任しておりました。この屋敷にも新しい使用人を雇い入れたようですね。

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