表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/13

3

「───皆様、お久しぶりです」


 先日、お母様のお話を聞いた後に皇帝皇后両陛下とアルバート様に一時帰国する旨をお伝えし、約三日かけて王国に帰ってきました。お久しぶりと言うにはそれほど時間が経ってないようにも思いますけれど、お父様やお兄様方は私の帰国を待ち望んでくださっていたそうです。


「長旅お疲れ様。昼まではゆっくり休むと良い」

「ありがとうございます。ですが約束がありますので、少し外出して来ますわ」

「約束?」

「はい。……レモーネ公爵家のレオン様と」


 ◇


「お目に掛かれて光栄でございます」

「ええ、お会いするのはいつぶりでしょうか。あなたからのお誘いがなければ、二度とここに来るつもりはありませんでしたよ」

「それは申し訳ないです」

「冗談です。ご招待ありがとうございます」


 二度と来ることはないと思っていたレモーネ公爵邸。到着するなりレオン様自ら出迎えてくださり、お屋敷の中のサロンに案内していただきました。お茶会という名目ですが、この部屋にいるのは私とレオン様と傍で立っている護衛の三人だけ。人払いされているようですね。この時点で話の内容は大体想像がつきます。


「レオン様のお話というのは例の婚約破棄の件ですよね。世間話もしたいですし、先にこの話を終わらせましょう?」

「そうですね。まずはご存じでしょうが、俺がレモーネ家の新当主になりました。元より人望のなかった家ですから離れていく者も多いと思いますが、今後同じことを繰り返すことがないよう多方面に気を配るつもりです」

「そうですか。苦労することになると思いますけれど、陰ながら応援していますわ。レモーネ家の中で親切にしてくださったのはレオン様だけだったので、あなたにはとても感謝しています」


 レイモンド様が洗脳……という言い方は私が勝手にしているだけですが、あのようになったのは彼が家を継ぐことが決まっていたからでしょう。お二人は双子なので、レイモンド様とレオン様の境遇が入れ替わる可能性もあったと思います。レモーネ家って、先代当主が婿入りだったそうなのですよ。つまり直系は元公爵夫人の方。だから元公爵以上に夫人の方がローデント公爵家への恨みが強かったのだと思います。

 洗脳するつもりはなかったのかもしれません。でもその恨みがローデント家や私のありもしない悪い印象を、次代当主であったレイモンド様に刷り込む結果となったのではないでしょうか。


「俺は親切にしていたわけではなく、大事な公爵家のご令嬢に対して当然の振る舞いをしていただけです。元々何が原因でこの二家が不仲になったのかなんて、この時代に生きる誰も知らないでしょう。いつまでも原因の分からないしがらみに囚われているから、今回の騒動に繋がったのです。何度謝罪しても足りるとは思いませんが、本当に申し訳ございませんでした」

「頭を上げてください。レオン様が謝る必要はありません。こう言ってはなんですが、ただの婚約破棄でしょう?」


 問題視されているのは婚約破棄の件よりも私達への態度なんですよね。公爵家である前に他国の皇族ですから。なので貴族である以上仕方がないとはいえ、巻き込まれているだけのレオン様が本当に不憫です。もちろん、その婚約していたのが皇族である私だったからこの騒動が続いているわけですし、婚約破棄の件も大きな問題であることに変わりはありませんが。

ご覧頂きありがとうございます。よろしければブックマークや広告下の☆☆☆☆☆で評価して頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ