9
「レモーネ公爵家についてですが、先代公爵夫人はこの話し合いが終わった後、わたくしと少しお話しをしましょう。よろしいですね?」
「……はい」
不満そうですね。当然、嫌って見下していた小娘が実は自分より格上の存在で、下手に扱うことのできない立場だと分かったのですから言いたいことくらいあるでしょう。それを口にできるかと聞かれたら、それは首を横に振るしかないでしょうけど。
「レモーネ家は降爵も考えましたが、ローデント家と並んで国を支えている家柄なので、今回は爵位はそのままということになりました。ですので先代当主には当主の座を降りて次代に譲ること、レイモンド様の跡取りの座の剥奪を命じました。わたくしとレイモンド様の二人でお話しした際、彼は正しい判断をしてくださいましたので、約束通り平民落ちはなしです。その後についてはご家族で話し合ってくださいませ。そして最後に……」
「この先十年以上、十五年未満を条件にレモーネ家は我がローデント公爵家の傘下に入っていただきます。目的は三つ。本当に降爵しなくても良いのか見定めるため、今後同じようなことを繰り返さないために両家の関係改善、そして信頼が地に落ちたレモーネ家を立て直すためです」
私の言葉に続いて現当主であるリオンお兄様が説明してくださいました。帝国民である私達からするとレモーネ公爵家の今後など心底どうでも良いのですが、ローデント家はお父様の生家ですからね。今となっては原因すら分からないのに、いつまでも不仲でいるわけにはいかないでしょう?
レモーネ家の現当主は我が家に敵意を持っていないレオン様、ローデント家はそもそも争う気がない。関係の修復をするなら今が絶好のチャンスというわけです。そしてレオン様が当主になった時点で、時間は掛かっても信頼を取り戻せるのは間違いないと思います。ですが王国を支える重要な家ですから、できる限り早めに立て直すのが理想的ですね。
今まで争ってはいてもローデント家と共に王国を支えてきたのです。あれだけ嫌い合っていてもお互いを蹴落とさなかったのですから、どちらかが崩れたら国を支えきれなくなってしまうのは明白ですよね。王国が潰れてしまうと周辺諸国も困ります。
それもあって、今回一番時間をかけて相談していたレモーネ家の罰はこのようになりました。
「傘下に入っていただくことについては国王陛下の許可も得ていますので、異論はなしでお願いします」
「……ということですので、そのおつもりで」
『詳しいことは後程お兄様よりお聞きください』とだけ告げ、メインである元男爵令嬢一家の話に移ります。ここまでスムーズに話を進めることができていましたが……問題はここからですね。非常に残念ですが、ここからの話は時間がかかることでしょう。
「……どうせこれで最後ですし、最後くらいはお付き合いして差し上げましょうか」
恐らく隣にいたリオンお兄様だけは私の言葉が聞こえていたでしょう。その証拠に普段のお兄様からは想像もつかないような悪いお顔を、それこそ物語に出てくる悪役のような顔をしておられましたから……
ご覧頂きありがとうございます。よろしければブックマークや広告下の☆☆☆☆☆で評価して頂けると嬉しいです。




