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大斧の女戦士ビアンカの結婚(特別任務で辺境伯を探るつもりだったのに気が付いたら円満な結婚生活を送っていました)  作者: 風野うた
共闘した結婚3日目

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31/91

29ー1 助っ人待ち

楽しい物語になるよう心がけています。

どうぞ最後までお付き合いください!!


 このイリィ大陸でツィアベール公国は領土が二番目に小さい。――――ちなみに領土が一番広いのはローマリア王国で、一番狭いのはサルバントーレ王国だ。


 ただ、ツィアベール公国の公都ムラーノには大陸一の貿易港ベリードがある。そのため、ツィアベール公国は他の大陸との交易で多額の利益を得ており、イリィ大陸の中で一番、裕福な国という印象が強かった。最近までは・・・。


 また、公都ムラーノは急勾配の高い山々に囲まれており、ローマリア王国から陸路で向かう際はいくつもの難所を越えなければならない。――――その結果、ローマリア王国とツィアベール公国は運河を利用して、人や荷物を船で安全に輸送するのが主流となった。


(ごく稀に馬で荷物を運ぶ猛者もいるらしいが・・・。運べる量も少ないし、険しい山々を超えるのは危険が伴う。どう考えても運河を利用した方が賢いだろう)


 ビアンカはベリード港が良く見える岩山の展望台から、もうすぐ朝日が昇って来そうな水平線を眺めていた。――――彼女はユリウスの転移魔法でここに辿り着き、今はユリウスと共に彼の部下アントンがここへ到着するのを待っている。


(ユリウスは王太子妃たちの連行でサジェとXが抜けたから急遽、アントンを呼んだと言っていたが・・・)


 ビアンカはユリウスがどのタイミングでアントンと連絡を取ったのかが、全く分からなかった。


(前々から気になっていたが、魔法使いたちには何か特別な連絡方法があるのだろうか?)


「アントンは何処からこちらへ向かっているのですか?」


「ポリナン公国の片田舎からです」


(片田舎か・・・。いや、ポリナン公国は大陸の反対側じゃないか!!)


 ビアンカはイリィ大陸の地図を頭に思い浮かべる。ツィアベール公国は北東、ポリナン公国は南西、言わずもがなイリィ大陸の端と端だ。


「それはまた随分と遠くから・・・」


「ええ」


 ユリウスはビアンカに一歩、近寄る。


(他国の魔法使いがユリウスの指示に従って動くということが、国軍に所属していた私には信じられないのだが・・・。――――魔塔とは本当に国を超えた組織なのだな)



 ビアンカは魔塔のことに興味が無いわけではないが、これ以上追求するつもりは無かった。あまり知り過ぎると碌なことにならないような気がしてしまうからだ。


「大丈夫です」


「――――何が?」


 意味の分からない『大丈夫』を言い放ったユリウスに、ビアンカはツッコミを入れる。


「まもなく到着します」


 彼は空を見上げた。釣られてビアンカも・・・。


(あ、何かが降って来る!!)


 まだ薄暗い空から、青いような・・・、黒いような・・・?何かが落ちて来るのが見えた。


「あ~る~じ~!!お待たせしましたー!」


(あ、女の子だ!――――おおおお!かなりの美少女!!そして、ユリウスとお揃いのミッドナイトブルーのローブ!!)


 美少女はビアンカの前にフワリと舞い降りる。――――そう、天使のように・・・。彼女の腰まであるサラサラの金髪とサファイヤのような青い瞳があまりに美しくて、ビアンカは釘付けになってしまう。


「初めまして、主の奥様!!あたしは魔塔所属の魔法使いアントンで~す!」


「初めまして、アントン。出来れば主の奥様ではなく、ビアンカと呼んでくれないか?」


 アントンは碧眼を大きく見開く。


「きゃ~!!素敵!!ビアンカ様~!!実物、めっちゃ美しい~~~~!!カッコイイ~~~~!!あたしのことはアンって呼んで下さ~い!!」


 アンは胸の前で両手を組んで、ピョンピョンと嬉しそうに跳ね回っていた。


(やけに可愛い子だな!魔法使いに対するイメージが変わってしまいそうだ)


「ああ、よろしく!アン!!」


 ゴホン!――――隣で二人のやり取りを黙って聞いていたユリウスがわざとらしい咳払いをする。


「アン、任務中だ。落ち着け」


「――――は~い!主!!」


 彼女の返事は全く反省の色が見られなかった。ビアンカはユリウスに同情する。


(人を束ねるというのは本当に大変だ。この天真爛漫少女アンをコントロールするのは難しいだろう。――――というか何故、この一番重要な場面で彼女を助っ人に呼んだのだ!ユリウス?)


 ビアンカはユリウスの人選に疑問を持つ。大公を捕らえるという大仕事に呼ぶ人員は、もっと落ち着いた者の方が良いのではないかと考えたからだ。


「ビアンカ。ここへ大公を呼び出します。準備を!」


「えっ?ここに呼び出す!?私たちが城へ踏み込むのではなく?」


「はい、大公も魔法使いを雇っていますから、闇雲に踏み込むのは危険です」


 ユリウスは淡々と語り続ける。


「それに城の周りには住宅が密集しています。魔法使い同志の戦いになってしまうと周辺の建物にも被害が広がり、関係のない人々まで巻き込んでしまう可能性があります」


「それはダメですね・・・」


「はい」


(建物が崩れて被害・・・?これまでに私が見たことのある魔法使いの戦い方は、相手を弾き飛ばして鎖でグルグル巻きにしていた・・・。ん?んんん?あれは相手が普通の兵士だったからか!!――――魔法使い対魔法使いなら手加減をする必要もない。だから建物を破壊してしまう可能性があると・・・。うーん、例えばユリウスが全力で魔法を放ったら、どのくらいの威力があるのだろう。ん~、絶対ヤバそうだ。本気の魔法使いとは対峙したくないな・・・、ハハハ)



★ミニ情報★

アントン 魔塔の魔法使い ポリナン公国出身 美少女

特技 人を連れ去ること


最後まで読んで下さりありがとうございます。

面白いと思ったら評価、感想のほど、どうぞよろしくお願いいたします。


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