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美容室

 先日髪の毛を切ってきた。


 中途半端に長い髪の毛が邪魔で、実写版の金田一少年の事件簿の金田一くんみたいなチョロリとした縛り方をしていたので、自分としてはお金さえあれば即刻切り飛ばしたかった。


 美容室は、もう10年以上の付き合いの美容師さんにやってもらっている。個人店とかではなく、結構大きめの会社で、関東のショッピングモールには大抵入っているようなところである。そこで、いつの間にやらトップスタイリストになった、劣化版ジョニーデップみたいな顔の美容師さんが我々家族の担当なのである。


 彼は、いや、彼だけではなく、美容師さんはみな、切りごたえのあるお客様に当たると嬉しいらしい。特に女性は、毛先10cmだけ切って、前髪重めで……みたいなのが多くて切った気がしないと、別の美容師さん(女性)がわたしに言ってくれたのをよく覚えている。


 我々家族は、みな毛量が多く、バッサリいかなくても、すいてもらうだけでめっちゃ切った人みたいに毛が床に落ちている。これだけでやりがいがあるらしい。そして、いつも家族みんなで押しかけるので、暇な日を予約時に選ぶとはいえ、迷惑だろうなあと思っていた。が、自分も仕事をし始めると、『めっちゃ暇な日』に仕事がないのは苦痛であることを知ったので、「仕事、持ってきました」という顔で行っている。やりがいは十二分であろうと推測する。


 わたしはいつも、美容室に行くときは「かっこよくしてください」と言って、襟足を刈り上げてもらって、サイドはツーブロックをいれている。涼しいしかっこいいし毛量減るし最高なのだ。童顔なので前髪は作らない。幼く見えてしまうからだ。ハンサムショートと呼ばれる髪型なのだろう。よくわからないがそれにしている。


「女性にバリカン使うの結構好きなんだよね」


と美容師さんは言う。ためらいなく刈ってもらえるとこっちも満足する。母も、かなり刈り込んで行くので、美容師さんたのしいだろうなあと思う。


 余談だが、母は前髪のクセが微妙に気に食わないらしく、伸ばして後ろで縛ろうと考えて、どんなのがいいか調べていたときに、偶然だかなんだか知らないが、東京卍リベンジャーズの『ドラケン』の髪型が頭の中にぽっと出てきて、それ以来「お母さんドラケンになりたい」と言っている。なんてファンキーなアラフィフだ。それを聞いて美容師さんは


「ドラケンの髪型、あのタトゥーのところ、髪の毛で作ろうと思えば、バリカンうまく使ってできる気がしますよ、めっちゃ大変だけど(笑)」


と乗り気であった。ただ母はドラケンみたいに金髪にする予定もないし、三つ編みにもしないから、単なるイメージなので、「マジすか!」と喜んではいたが、原作も読んでいなかった気がするから……うん(笑)



 話は変わるが、昔は美容室が嫌いだった。昔連れて行かれた美容室は、祖母の古い付き合いの美容師さんの個人店で、おばちゃんのたまり場みたいなところだった。七五三で髪型と着付をやってもらったときに行ったが、ほんとうはスタジオアリスみたいなところでキラキラとやってもらいたかったところはあるので微妙な心境だった。


 七五三が終わって、着付と髪型を解いたあと、短く切ってもらったがそのときも、すきばさみではなく毛量を抑えるカッターみたいなものを使っていて、それが髪に引っかかって痛かったのを覚えている。痛いのと闘って、じっとして、出来上がったのは、当時覇権ジャンルだったおしゃれ魔女ラブ&ベリーの『モンキーベリーショートヘア』だった。小学生女児、なんの心構えもなかったベリーショート。ちょっと悲しかった。


 明日からどうやって学校のみんなに顔を合わせたら良いのだろうと、悩んだ結果、パーカーを着ていって、フードをずっと被っていることにした。だけど結局、先生に「長尾ちゃん、フードを脱ぎなさい」と言われるのでフードを取るしかなく、「わあ、男みてえ!!」「長尾くんじゃん」「モンキーベリーショートヘアじゃん、だっさ」と言いたい放題の小学1年生たちの苛烈な暴言に涙目で耐えていたのを昨日のことのように覚えている。


 結果、その美容室が嫌いになって、けれど、あそこだけには連れて行かないで、と言えないまま、十数年、成人式の写真でもお世話になった。髪型は短い髪の毛だったので、「ボリュームがたりないわね」と、なんかよくわからないモジャモジャをつけられて、微妙な心境になったのは言うまでもない。つけられた髪飾りも微妙で、かつみ・さゆりのさゆりちゃんみたいになっている……と思った。妹たちにはそういう目にはあってほしくないので、着付だけにして髪飾りは自分で買ったほうがいいと言った。




 いまは納得して好き好んで短くしているが、心構えなしのモンキーベリーショートヘアは辛いものがあった。同級生たちに笑われたのがいちばん辛かった。よく、「ショートが似合う女性はほんとうの美人」とは言うが、見慣れるかそうでないかの違いではなかろうかと思う。わたしは別に美人なわけではなく、ずっとショートだから見慣れているだけで、どんなブスでも、ショートヘアのキャラなら、似合うのだ。その手の言説には惑わされないほうがいい。


 それを言い始めれば、どんなブスでも、男は短髪だ。中にはロン毛もいるが、どんなブスでも似合う似合わないの問題ではない。髪型と顔はそんなに関係ない。そう思う。

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― 新着の感想 ―
 長尾さんと長尾さんのご家庭の様子が描かれていてなんかほのぼのしました。  私は今でも髪切るの好きじゃないです。会話も最初の挨拶、注文、最後の挨拶くらいしか話しません。切ってるときずっと目を閉じてるw…
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