コンビニ
この週末は文フリ東京36に出店するので助手の妹を連れて東京に滞在した。東京で自炊はできないので(ホステルにキッチンはついているが本格的に自炊するのはやはり手間)旅先ではいつもコンビニに世話になっている。
土曜日は東京在住の中学からの友人と遊ぶことになり、待ち合わせ場所に指定されたのは銀座だった。3時間電車に揺られ、朝ごはんに食べてきたのは食パン1枚。流石にお腹もすくお昼どき。妹は
「ザギンでシースー!!」
と冗談を言っていたが手持ちは帰りの交通費込みで一万円。馬鹿をお言いでないよ。
「コンビニ探すか!」
となり、コンビニを探した。しかし一抹の不安があった。──銀座のコンビニって、ナチュラルローソンみたいなお高い店しかないんじゃないか??
東京メトロ銀座駅からいちばん近いコンビニは、みゆき通りのファミマじゃなかろうか。とりあえずファミマに入った。
いつものクセでサンドイッチを手に取る。値段を見る。200いくらか、よかった。わたしは心の底から安堵した。馬鹿な話だがわたしは本当に銀座の物価は高いと思っていたのでコンビニですら値上げされていると思っていたのだった。ちょうどコメダ珈琲の一番くじが置いてあって、シロノワールのぬいぐるみがふてぶてしく鎮座していた。
「銀座のコンビニもちゃんとコンビニだったわ」
と友人に言うと
「全国一律の価格なのがコンビニのいいところなので」
と言われてしまった。そのとおりであった。
私たちはみゆき通りのファミマ前でスーツケースとリュックを抱え、大荷物のおのぼりさんの雰囲気を漂わせながら、一心不乱におにぎりやサンドイッチを食らっていた。道行く人に見られること、恥ずかしかった。
その後、宿泊するホステルに荷物を預け、渋谷松濤美術館でエドワード・ゴーリーの展覧会を見物し、友人とは別れた。
宿に帰る途中、穴守稲荷の駅前にはセブンがある。セブンは実家の最寄りコンビニということもあり、気心のしれた、というのはおかしいが、馴染みのコンビニであるので、安心して弁当を買った。朝ごはんの買い出しにいちいちホステルを出るのは大儀なので、夜と朝のぶんを買った。
そして文フリ当日。流通センターにローソンがあることは知っていたが、皆考えることは同じなので、昼どきにろくなものが置いてあるとは限らないと判断し、宿の近くのスーパーでパンを買っていった。妹はおにぎりを買った。実家の最寄りスーパーではおにぎりなど一個100円以下で売っているが、羽田のスーパーではおにぎりが129円した。スーパーには地価が付与されるようである。
文フリではふたり体制だったので、トイレもごはんも不自由しなかったが、うっかりしていて椅子を2脚頼むのを忘れていたので、売り子に徹する方は立たねばならなかった。これは教訓として覚えておいて、次回からは2脚頼もうと思う。
フォロワーが買ってくれたので売上ゼロは回避したが、売れ行きは悪かった。純文学、詩集、歌集と売っていて、フリーペーパーは短歌と詩だったので、純文学ブースでこれはどういうことかと一般客は思ったことだろう。次回からどうしようか考えものであるが、次回までにホラー連作を本にしておきたいので、やはり純文学スペースになるだろうか。まあいい、次回のことは次回までに考える。
文フリを終えて、モノレールから京急に乗り換える道すがら、妹と話していた。わたしは文フリ直前、バイトができていなかったので、めちゃくちゃ金欠の貧乏旅行であることを妹に申し訳なく思っていた。
「次回はもっとお金のある旅行にして、コンビニ弁当から卒業したいね」
というと、
「そう? 毎食コンビニなのめっちゃリッチじゃん。こんな贅沢したことないよ」
と妹は言った。実家は超絶貧乏で、毎晩もやし料理になる期間もある。コンビニ弁当など給料か政府からのお手当が入ったときくらいしか買えない。やはり、もっとお金があれば、と思ってしまうのだった。
先程、次回はコンビニ弁当脱却、と言ったが、文フリに臨むのであれば戦利品を多く手に入れるために財布は膨らんでいたほうがいいだろう。そうなると、どうしても一個単価が安価なコンビニ弁当になってしまう。わたしはサンドイッチ、妹はおにぎり。コンビニから離れられそうにない。
食べ物もそうだが、コンビニにはいろいろ売っている。今回の東京滞在では、東京に行く直前に、妹が足の裏の皮を擦りむいた怪我をしていたので、絆創膏が不可欠だったのだが、うっかりしていて絆創膏を持ってくるのを忘れてしまった。どこかで買わないと、と言っていたが、コンビニが救世主となった。
前回の東京滞在では(ひとりぼっちの弾丸帯広旅行に付随して)マスクを持ち物リストに入れるのを忘れた。コロナ禍も始まって1年くらいの頃で、マスクなしではまだ怖かった。ホステルの最寄りにファミマがあったので、食料とともにマスク、それからヘアピンを買った。髪の毛がくせ毛で、どうにもならないのでヘアピンが必須なことも忘れていたのだった。
コンビニは一昔前に比べると劇的な進化を遂げている。マイナンバーカードがあれば役所の窓口より安く住民票の写しを出せるし(自治体による)、納税もできるし、荷物の発送、受取もできるし、さまざまな決済に対応している。現金がなくてバーコード決済の無償ポイントに頼っているわたしは心の底からコンビニに感謝している。
これからさらに進化していくのだろうと思うと、コンビニを愛さずにはいられない。




