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【5】聖女様の屋根裏部屋(5)


叔父はわたしが少し元気になったので、秘密裏にメイドに指示を出してスープに入れる毒の量を増やした。


それでもわたしは顔色がよかったので、日に日に毒の量を増やしていった。


わたしはそのスープを飲みながらキュアやヒールを自分にかけまくって一日かけて完食した。

毒はいつしか致死量を完全に越えていた。


でも食べなかったら餓死しちゃうかも知れない


食べても地獄

食べなくても地獄


わたしは生きる為にひたすら自分に治療魔法を掛けまくった。もし餓死なんかしたら、叔父夫婦やシャノンに負けたような気がするからね。


吐き気がしようが目眩がしようが、身体が痙攣しようが血を吐こうが、わたしは食べて命を長らえる道を選んだ。



そして月日は経ち……14歳の今に至る



もうスープは完全に猛毒になっていた。

わたしの身体に多少は毒耐性が付いたとはいえ、もう一口食べれば普通の者なら即死レベルだ。


事実わたしの糞尿の処理にも困るほどだった。

以前肥溜めに混ぜたら周りの植物が枯れ、虫や小動物が死んでいた。


だから今は深く穴を掘って、そこに入れて埋めているらしい。ちなみにわたしは用を足すのはオマルにしているけど、汚物に触れただけで皮膚が爛れるみたいで、完全に蓋をして道中溢れない容器になった。


わたしの治療魔法も進化した。

いちいち毒を抜くキュアと内臓に負った毒の傷を、代わり番子に治すのは面倒だから一度に治す治癒魔法を開発した


「キュール」


キュアとヒールを混ぜた造語。

上手くいった。


でもいちいち唱えるのも面倒だから、ダメージを負う度に自動的に回復する魔法


「キュリオネ」


これもノリで決めた。

何回か練習したら、唱えてから一時間は自動回復が続くようになった。


だから朝夕二回唱えて、その各一時間の間にパンとスープを半分づつ味わって食べれるようになった。


けれど盛られる毒の量もいい加減なので、たまにわたしでもヤバいレベルの猛毒のスープの時があるの。それ飲んで真面目に半分死にかけたから、復活の呪文ホーリーザレクの進化派生系の[ホーケンリーク]という最早原型が分からない魔法を開発した。

これは即死、即、蘇生する復活の呪文なの。


いわば想定外の毒に体が耐えきれず、即死した時に自動で復活魔法の[ホーリーザレク]が発動する呪文ね。

何かの時の保険なの。


発動期間は唱えてから丸一日。

一度蘇生呪文の[ホーリーザレク]が発動すれば、効果が消えてしまう。だから[ホーケンリーク]の効果が消えたら、自動的に[ホーケンリーク]が発動する術式も開発した。

つまりわたしは病気や寿命で死なない限り、頭を吹きとばされようが、心臓に穴が開こうが、ゾンビみたいに即、完全復活する死なない身体を手に入れた事になるのよ。


不発の事が殆んどだけど、開発して良かった。


何故ってわたし、ここで完全に猛毒で三回も死んだの。


この[ホーケンリーク]を開発してみたものの、検証しようも無くて行き当たりばったりだったけど、無事[ホーリーザレク]が発動してわたしは死者蘇生した。そして術式のお陰で直ぐ[ホーケンリーク]が自動的に掛かったので、これで[ホーケンリーク]の無限ループが完成したわ!


しかも蘇生する度に魔力総量が馬鹿みたいに上がった。


一回目の蘇生で約10倍。

二回目の蘇生でまた10倍!

三回目の蘇生でこれまた10倍!


つまり元の魔力総量よりも1000倍に上がったの!


これはわたしには何と無く分かるんだけど、わたしきっと歴代最高峰の魔力持ちで無いかしら?


しかも魔力ただ漏れはマズいから、魔力総量を抑えて普段は封印することも訓練で出来るようになったの。

昔見た本の中で魔力が多く持つものは、王家の人間とかと結婚させられて自由を奪われる物語もあったわ。

だからもうすぐ15歳で何らかの形で殺されるかもしれないけど、もし生き残ってこの屋根裏部屋と侯爵邸から脱出できたら、魔力持ちを隠して自由に生きてみたいの!


というよりも……わたし……もう死ねないのかもしれない!


殺されて、即、復活しちゃったら、捕らえられて王家に売られる未来しか見えないわ!







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