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【37】聖女様と救出劇(6)


突入したダンジョンは薄暗くて、すごく不気味。


どういう理屈か壁がぼーっと淡く光っていて、灯りがなくてもなんとか視認できるの。でもここは(あか)りを(とも)して、大事を取って突入。


魔物や人の位置を知らせるサーチは機能しているけど、何の反応もない。つまりこの階層には魔物も生存者も居ないってこと。


そしてわたしはフォーメーションの中心で、相変わらずガイの背中で椅子に座っている。で、第一階層は3時間足らずで呆気なく踏破。

フロアボスもサーチの通りに空振り。


無人の野を行くが如く進むので、反って緊張感を維持するのが大変みたい。下層の第二階層に到着。


今は夜の7時過ぎ。ここで夕食。

階段を降りたすぐの部屋には魔物が出現しない安全なエリアなの。だからこの階層のアタックにむけての準備もするらしいけど……敵とも戦わなかったし物資も殆んど減ってないし、わたしのお尻が痛いこと以外は順調に進んでいる


「え~っと……。ここダンジョンよね?

こんな呆気ないの初めてで、変な気分だわ!」


シャナさん。みんなに力を与える[リフレ]という魔法を掛けている。リフレは少し体力が回復するし、気分が爽快に成るのでダンジョン攻略にはもってこいの魔法ね


「わたしこのダンジョンは何度かトライしているけど、こんなに簡単に進めるなんてね。以前はそれはもう生きるか死ぬかの戦いの中でようやくここまで辿り着いて、ヒーヒー息も絶え絶えだったのに……アイラちゃん。あんた本物だわ!」


何だかシャナさん。わたしを尊敬の眼差しで見ている。

そして


「わたしをシャナって呼び捨てしていいわ!

わたしまだあんたを子供扱いするかもしれないけど、子供だからね、でも馬鹿にしないって誓う!

仲間だって認めるわ!

そして……もしわたしが遭難した時はアイラちゃん絶対助けに来て!

そしたらわたし……絶対生き延びて助けを待てるから!」


──もちろん!


「絶対助けに行きます!だからといって決して無理しないで下さい。わたしの[魔払い人]の能力もいつまであるのか分からないので、皆さん命を大切に行動してくださいね。でもわたしもこの力が生きていたら、必ず助けるのでそこは信じて下さい」

「アイラ。ボクの事もターインと呼び捨てで構わない。

街で会ってもそう呼んでくれ。

ボクは命を掛けるに足る人物は全て、名前で呼びあっている」


ターインさん……ううん。ターインが爽やかに笑って握手を求めてくる


「ありがとうターイン。わたしを認めてくれて」


「我の事もドゥオンで頼む。今は何も役に立てていないが、いつもは悔しくて仕方ないのに今は心地よい。

我も危機の時にはアイラを助けよう。

危険に見舞われたら、我を頼ってくれ」

「嬉しいわドゥオン。わたし弱いから頼るかも?

その時は宜しくね」


「ああ。任せな。男に二言はない」


ドゥオンさんは盾をダンと盾を床に付いて音をたてる。

きっと誓いの意思表現だと思う。ノルンはすかさず


「あたしはアイラの身内になるから、ノルンと呼び捨てしていいよ。むしろ呼び捨てしてくれないと怒るからね!」

「どういう意味だノルン!」


割って入ったのは、もちろんガイ


「身内って聞き捨てならねぇ。俺がなんでお前さんと身内になるんだ?」

「そんなの決まってる。あたしはガイに惚れたの。

あたしの初めてはガイにあげるし、あたしはガイの第二夫人になるの。乙女の裸に抱きついた責任は取って貰わないと、もう何処へも嫁にいけないわ!」


「ちょ……ノルン……それは……」


ガイ。絶句している。

ノルンはその太い腕に抱きついて


「大丈夫よ。アマンダさんはあたしが責任持って説得するから、大船に乗ったつもりでいて!」


それは普通……男のガイのセリフではなかろうか?


でもノルン。その時凄く小刻みに震えていた。

本当は押しつぶれそうな不安に苛まされて居るのに、こうして目の前のガイにすがり付く事で、何とか平静を保っているみたい。軽口言ってるけど、その瞳はずっと涙を必死に堪えている。

だからガイも何時もならもっと強く否定して、突き放すだろうに、今日はノルンの好きにさせている。


休憩中はずっとガイに触れているけど、ガイは咎めたり嫌がったりしない。わたしにも「何も言うな」と目で訴えている。やっぱり父さんは優しいよ。

このままではわたしの実年齢と同じお母さんが出来そうだけど、まあ、わたしももしもの時にはノルンと一緒にお母さんを説得しよう。


でもアマンダさん。

そんな必要もなく、全て察して受け入れてくれそう。


何気にガイに2人目の奥さんを進めていたしね。

アマンダさん。若い頃に患った病気のせいで子供を産めない身体になっているらしいから、ずっと気にしていたみたい。だからわたしが娘になった時に、すごくすごく喜んで受け入れてくれたの。


わたしも恩返ししないとね……。







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