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【28】聖女様と冒険者(4)


「2(キロ)ってアイラ!20mでも200mでも無くて、2000mのことだぞ!分かってんのか?」


これはガイ。

というよりもお父さん。わたしの実年齢16歳って分かってますよね?

今日日(きょうび)。御忍び設定の12歳の子供達でも、それくらいちゃんと理解してるわよ!


どれだけわたしを子供扱いしてんだろ?

これでも成人で結婚出来る年齢なのよ!

下手すると子供だって作れるわ!


まあ。この少女の面影でそういう事する気はないけどね。

ここでノーフィスが自棄に睨みながら


「お嬢ちゃん?2㎞っていやあ、直径4000mだ。つまりあれか?お嬢ちゃんを中心に4㎞の範囲の魔物の気配が分かるってか?」

「えっと……そうなるわ。

強さがハッキリ分かるのは私から半径1㎞圏内だけだしね!全然大した事ないでしょ?」


「「「「強さも分かるのか!」」」」



またハモってるよ!

いや。ちょっと。これ。もしかして


──やらかしたかな?


ノーフィスが『どういうことだ?』と顎をクイッとあげて催促する


「まず……半径2㎞から1㎞までの圏内は、何かいるな?的な感じで魔物の存在はわかるの。そしてわたしから半径1㎞圏内は、魔物の強さが分かるの」

「もっと詳しく話してくれんか?お嬢ちゃん」


「えっと。魔物は赤い点で認識出来るけど、強い魔物程大きく感じるわ。あの地下の魔物でいえばゴブリンや魔犬は小さくて、豚さんはそれよりも少し大きいくらい 」

「強さでいえば、大体合っているな」


「それで大きさはまちまちだから、勝手に四段階に分類したの。一番小さい赤い光が弱い魔物。だから[弱]にしたの。弱いのから[中][強][最強]ね。

因みにここから1㎞範囲内には魔物が……ギルドの魔物を含めないで20体以上固まっているみたい。強くても[中]止まりだわ」

「なに?街の外か?」


「ううん。位置的に中かも?動いてないし、閉じ込められていると思うの。檻とかに。それと地下だから……えっと地下三階くらい?かな?」

「檻?地下?……クソ!あれに違いない。噂は本当だったか!だが……今は一刻を争う後回しだな。

それよりもアイラ嬢?地下なんて分かるのか?」


あれ?お嬢ちゃんからアイラ嬢に進化したぞ?


「うん。分かるよ?

半径って前後左右だけじゃないよ。魔物を探知出来る範囲は半径2㎞の球体になっているの。だから空飛ぶのや地下道とかにいる魔物も分かるよ?」

「すげえな!いや。凄まじい能力だ。

だが……冒険者にとっては悩ましいな……」


何と無く言いたい事は分かる。

冒険者にとって魔物の位置や数、強さがわかる能力は喉から手が出そうなくらい欲しい能力だと思うの。相手に備えて事前に準備出来るのは大きい。それだけである程度の実力さえあれば、簡単に冒険者のランクをあげられるしね。

でも[魔払い人]の能力が邪魔してる。

弱い魔物はその圏内に入ったら逃げちゃうし、[中][強]レベルでも1㎞範囲内なら居心地悪くて直ぐに退散する。

トレジャーハンター系の冒険者達からしたら、わたしは神だけど、狩りをメインとして素材集めなんかする冒険者には天敵だろうと思うわ!だって魔物が逃げて居なくなったら、狩れないでしょう?


じっと考え込んでいたノーフィスだが、顔を挙げた時には何かを決断した顔をしていた


「先ずはここにいる者達にギルドとして命じる。

このアイラ嬢の能力は知られたら危険だ。アイラ嬢は犯罪に巻き込まれる可能性が高い。

悪用される可能性もある。

だから秘密厳守でこの能力の口外は許さん!良いな?」


皆は頷く


「その上でだ……。

俺様は救出作戦を決行しようと思う!

何か言いたそうだな?セイバス」


ノーフィスがギロリと目をむける。

所長のセイバスは深刻な顔をして


「アイラさんの能力は、まだ全てを証明出来た訳ではありません。それに魔物の位置や強さが分かるのも、信用して当てが外れたら、それこそ取り返しの付かない事態になりかねません。

そもそも冒険者の生存が絶望的なこの状況下で、更なる犠牲を出す可能性は極力排除すべきです。ここは魔物暴走(スタンピート)に備えて街の防衛を強化するのが賢明かと存じます!」


「そうだな。それなら街の防衛はセイバス。お前に任せる!そして救出には俺様が向かおう!」


ノーフィスは決断した!

セイバスが無謀と撤回を主張したが、ノーフィスは頑なだった。そして……


「俺様も半信半疑だ。だかな!俺様はこのアイラ嬢に賭ける事にした!救出は一刻を争う!これ以上議論している場合じゃねぇ!

反論は無しだ!良いな!」


我を通すノーフィスはもはや折れない。

セイバスは諦めた……。



こうして救助に向かう事が決定した。






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